2025年5月5日
株式会社村田製作所と株式会社GSユアサは、それぞれ自社で販売する電力制御ソフト「efinnos(エフィノス)」と蓄電池システム「ラインバック メガグリッド」をセットで販売するパッケージを導入した。
ターゲットは、500kW以上の自家消費型太陽光発電システムを導入する工場や事業所。
日本企業2社による共同展開で迅速なサポートの提供などを強みとして打ち出し、自社製品の導入拡大を目指す。
「efinnos」は、気象状況や諸条件によって変動する発電量と消費量をAIで予測し、必要な時に蓄電池に吸収した余剰電力を放電することで再生可能エネルギーの自家消費率向上とピークカットにつなげる制御ソフトだ。
リアルタイムで発電や蓄電の状況を確認することもできるという。
「ラインバック メガグリッド」は、単機の出力が500kW。2~16面まで接続でき、電池の定格容量を420kWhから最大3.3MWh程度まで増減できる。
需要家の設置スペースの広さや求める容量などに応じて、柔軟にニーズに対応できるという。
村田製作所の担当者は、今回GSユアサと連携した理由について、「競争力のある蓄電池を探していたなかで、GSユアサさんの製品は非常に安全性にも優れていてサポートも手厚い」と話しており、GSユアサとしても、高品質な製品を求める点で自社と村田製作所の需要家層が似通っていると考えていたという。
2024年秋から、両社はパッケージでの提供に向けた連携の動きを進めてきた。これまでに工場での導入実績が1件と、調整・検討中の案件が複数件あるとのこと。村田製作所の担当者は、「太陽光電力は、曇ったら出力が下がり、晴れたら上がると天気によって変動が大きい。消費電力も、生産規模や稼働率に応じて変動する。需要家の再生可能エネルギー比率を高め、日本全体のカーボンニュートラルにも貢献することを目指したい」とコメントした。
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2025年5月4日
イ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)は4月30日、慶應義塾大学 未来光ネットワークオープン研究センター (山中 直明 特任教授)とともに、地域における余剰電力の発電場所や消費場所、その量を追跡する新サービス創出に向けた共同研究を開始すると発表した。仮想マッチングを実施し、再エネの付加価値を高める新たなビジネスモデルを探索する。
共同研究では、アイ・グリッドで蓄積した余剰電力のデータを活用し、発電場所と消費場所の紐づけを目指す。具体的には、アイ・グリッドの余剰電力にトレーサビリティを付与することで、余剰電力の発電・需要拠点の仮想マッチングを行う。これにより、同一企業の拠点間での余剰電力融通に加え、地域内の余剰電力循環によるエネルギーの地産地消を示すことができるようになるという。
このほかに、余剰電力含む再エネを最大限リアルタイムで消費するため、蓄電池やEVチャージャーを活用したエネルギー消費のタイムシフトに関する研究も行う。期間は2025年4月1日から2028年6月30日までの予定。
2025年2月に「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定され、2040年度におけるエネルギー需給の見通しが示された。このうち再エネは電源構成の4、5割程度とし、太陽光は23~29%程度に引き上げられた。今後は再エネ総量増に向け、追加性のある再エネ導入がさらに重要となる。一方で、再エネ導入拡大により、系統負荷増加による出力抑制といった課題が生じる。原因は電力を必要としている時間や場所と実際に発電される時間と場所の不一致にある。この問題解決に向け、両者は今回、共同研究に着手した。
アイ・グリッドは、PPAに関する独自のプラットフォームを開発。施設の屋根上に設置した太陽光パネルによる発電のうち自家消費し切れない電力を、他施設に供給する余剰電力循環スキームを生かした太陽光PPAサービスを提供している。
共同研究に参加する同研究センター長の山中教授は「EVNO(Energy Virtual Network Operator)」研究の第一人者として知られる。「EVNO」は、既存の電力網と各需要家が保有するエネルギーを結ぶ仮想発電所をつくり、送電を行う電力会社と電力配分を手がける事業会社に分けて管理するというもの。電力会社は消費者と発電者間の需要と供給に基づき、送配電システム上で特定の複数の発電源、需要家を最適にマッチング制御し、送配電コストのみを事業会社に支払う仕組みとなっている。
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