2026年4月26日
帝人(大阪府大阪市)は4月21日、愛媛県松山市の松山事業所北地区で、都市ガスを燃料とするガスコジェネレーションシステムによる自家発電設備が2月に本格稼働したと明かした。
同設備は、川崎重工業(兵庫県神戸市)製の水素混焼対応可能なDLE燃焼器を搭載した「PUC80D」。発電時に発生する排熱を有効活用し、電力と熱を同時に供給し、 CO2排出量の大幅な削減とエネルギー供給の安定化を両立する。計4基で構成され、合計出力は約30,000kWに達する。
今回稼働した新設備は、受配電設備の更新を含め投資額は百数十億円に上る。将来的には水素燃料への転換にも対応する。
同設備の本格稼働により、松山事業所のCO2排出量は2018年度比で年間約20万t削減される見込みで、エネルギー利用効率の向上や供給の安定化に加え、事業継続計画(BCP)の強化にも寄与する。
なお同事業所は今回、自家発電における石炭使用を廃止し、完全な脱石炭化を達成した。日系化学繊維メーカーでは先行事例に当たるとしている。
帝人グループは、重要な経営課題として「気候変動の緩和と適応」を掲げ、2050年度までにCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成を長期目標とする。同社最大規模の生産拠点である松山事業所におけるエネルギー転換は、グループ全体の環境負荷低減に向けた重要な取り組みとなる。
松山事業所ではこれまで、石炭および石油燃料を使用した自家発電設備を運用してきたが、設備の老朽化への対応と環境負荷低減が課題となっていた。これに対応するため、同社は2022年10月、同事業所北地区の自家発電設備を都市ガス燃料のガスコジェネレーションシステムへ転換することを決定した。
川崎重工業は、顧客の多様な水素利用ニーズに対応するため、水素混焼から専焼(水素100%)まで対応可能なガスタービン燃焼器を展開しており、さらなるラインアップの拡充に向けた開発を進めている。
同社のガスタービンコジェネレーションシステムは、国内外で700台以上の導入実績を持つ。中核機種の「PUC」シリーズは、食品や化学分野などの産業用途で採用が進んでおり、日清オイリオグループ(東京都中央区)の横浜磯子事業所向け案件など個別導入も広がっている。今回の帝人による採用もその一例となる。
日清オイリオが導入したのは、水素混焼に対応した8MW級のコジェネレーション設備で、同社は食用油生産に適したエネルギー供給設備と評価している。
同設備により、予備力を含む十分な供給力を確保するとともに、JFEエンジニアリング(同・千代田区)の多拠点一括エネルギーサービス「JFE-METS」を活用し、省エネ化を図っている。
設置に際しては、供給力を維持したまま設備更新を可能としたほか、水素など次世代エネルギーへの対応を見据えたレイアウトやゾーニングを採用。これにより、同事業場では安定性・効率性・持続性・発展性の4つの効果が見込まれるとしている。
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2026年4月25日
Linkhola(東京都港区)は4月21日、運営するボランタリークレジット制度「EARTHSTORY」において、AI空調制御による省エネを対象とした新たな方法論を策定し、運用を開始したと発表した。従来の制度では評価が難しかったAIによる空調最適化を対象とする国内初のボランタリークレジット方法論だ。
この方法論は、民間事業者が所有・運営する建物の空調設備にAI制御システムを導入し、電力消費量を削減した際のCO2削減量を科学的に算定・クレジット化するための算定ルール。
LIXIL(東京都品川区)およびクールインテリジェンス(同・港区)が協働で実施している実証事業から得られる技術的知見などの提供を受け、技術・専門家ヒアリングと、EARTHSTORY制度運営委員会の審議を経て策定された。LIXILとクールインテリジェンスは今後、本方法論やクレジット化などの活用について検討を進める方針。
J-クレジットや海外クレジットなど既存のクレジット制度では、AIを活用した空調最適化という省エネ手法は適切に評価・対象化されておらず、企業は削減効果をクレジットとして収益化することができなかった。今回の方法論は以下の点がポイントだという。
・対象は、新設・既設を問わない民間建物(オフィス・商業施設・工場・飲食店・コンビニ・医療施設など)。地域は全世界可。
・既存の空調設備にAIシステムを後付けするケースも対象で、日本全国の既設建物が潜在的な申請対象となるため、クレジット市場の裾野を大幅に広げる。
・AI最適制御の前後の電力消費量データを比較するシンプルかつ信頼性の高い算定アプローチを採用。専門家ヒアリングと制度運営委員会の審議を経て科学的妥当性を担保している。
・dMRV(デジタル計測・報告・検証)との親和性が高く、将来的な自動化・効率化にも対応。
・方法論は、ICVCM(炭素市場の整合性に関する自主イニシアチブ)が定めたCCP(コアカーボン原則)などの国際的な評価基準をベンチマークとして、その算定ロジックや適用要件(主にベースライン設定、定量化の精度、リーケージの重視ポイント)などを踏まえて設計している。
・方法論の適用範囲は国内に限定せず全世界を対象としており、ASEAN諸国など省エネ需要が急拡大する海外市場での活用を視野に入れている。日本発の省エネ技術の海外展開を方法論の側面から後押しする設計としている。
Linkholaは、気候テックベンチャーで、カーボンニュートラル支援事業や、コンサルティング、地方創生事業を展開している。2022年にアジア航測(東京都新宿区)と脱炭素化に向けた事業モデルの構築を進めるため、業務提携。2023年にアジア航測と地域・自治体向け「移動型」脱炭素アプリ「地域版こつこつ(CO2CO2)」の全国展開を開始している。
また、2024年6月に、民間主導のクレジット「ボランタリークレジット」の申請、審査、発行までをワンストップで提供する「EARTHSTORY」の提供を開始した。このプラットフォームでは、従来のクレジット制度とは異なる民間主導の柔軟な設計により、企業の脱炭素経営を実践的に支援する。最短3カ月でのクレジットの発行や第三者審査によるプロジェクトとクレジットの信頼性の確保、海外拠点の自主的なカーボンオフセット・ASEAN展開案件などにも適用が可能。
2026年1月、アースアンドウォーター(東京都千代田区)と、節水を軸としたカーボンクレジットの方法論開発とクレジット化に向けたプロジェクトを開始したほか、シロキコーポレーション(愛知県名古屋市)とミラクール(東京都文京区)が遮熱塗料による省エネ効果によるカーボンクレジットを算定する方法論を確立した。今後は「EARTHSTORY」において審査・発行される予定。
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