2026年3月10日
東京大学発AIスタートアップ企業のDataPrism Technologies(東京都文京区)は3月4日、シーラソーラー(愛知県名古屋市)と共同開発した「発電所適地判定システム」について、提供範囲を拡大し、SaaSとして提供を開始すると発表した。
両社は今回、実運用で得た知見を踏まえて提供範囲を拡大し、複数の再エネ事業者に提供できる体制を整えた。今後は事業者ごとの運用フローや対象エリアに応じた初期設定を行い、導入検討から活用定着までの支援も行う。
発電所適地判定システムは、再エネ発電所の候補地選定に必要な複数の地理情報を一画面に集約し、候補地のスクリーニングと比較検討を支援する地理情報システム(GIS)だ。
再エネ発電所の開発では、日射条件や地形、災害リスク、系統接続制約、土地利用条件、許認可要件など多くの要素を横断的に確認する必要がある。こうした情報は複数の資料やツールに分散していることが多く、候補地が増えるほど調査・比較の手間が増えるため、1件の評価に数週間を要するケースもあるなど、用地開発のリードタイム長期化が業界共通の課題となっている。
同システムは、農地面積や農振法区分、災害リスク、系統空き容量などの条件を総合的に評価し、適地を自動判定する機能などを備える。候補地リストはCSV形式で出力でき、住所や緯度経度、送電線名・変電所名などからの検索にも対応する。直感的なUIでは、候補地を地図上にワンクリックで表示。面積や地目、系統容量、災害リスクを同時に確認し、抽出結果は関係者間で共有することで、地主や自治体との交渉へと迅速な移行を可能にする。
シーラソーラーでの導入実績では、用地選定にかかる時間を従来比で約10分の1に短縮するなど、再エネ事業の開発スピード向上につながっているという。
今後は、日射量や土地の傾斜などの自然条件データの統合・可視化、土地価格情報の取り込み、候補地に紐づく案件管理機能などを段階的に追加する予定。さらに、衛星画像や航空写真を活用した土地利用解析や搬入路の確認、案件進捗に応じた次アクションの整理など、AIと地理情報技術を活用した機能拡充も進める。
最終的には、接続検討結果や工事費負担金など関連コストの管理、稟議資料の自動生成など、再エネ開発の意思決定を支える情報基盤としての活用を目指す。
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2026年3月9日
ニシム電子工業(福岡県福岡市)、丸紅新電力(東京都千代田区)、パワーエックス(岡山県玉野市)は3月3日、太陽光併設型蓄電池・系統用蓄電池パッケージ商品の提供を開始した。
パワーエックス製の国産蓄電池を中核に、ニシム電子工業のエネルギーマネジメントシステム(EMS)と丸紅新電力のアグリゲーション運用とを組み合わせ、高度なセキュリティ要件を満たす蓄電池パッケージ商品の長期安定稼働と事業性の両立を支援する。
九州電力(福岡県福岡市)子会社のニシム電子工業と、丸紅(東京都千代田区)子会社の丸紅新電力は1月、系統用蓄電池と太陽光併設型蓄電池のシステム提供からアグリゲーション業務までをシームレスかつ一体的に行うパッケージ商品の提供を開始した。今回パワーエックス製蓄電池「Mega Power 2500」を機器構成の中核に据え、3社連携による新たなパッケージ商品として提供を始める。
標準採用する「Mega Power 2500」は、経済産業省が主導するセキュリティ評価制度「JC-STAR」の適合ラベル(レベル1)を取得済み。重要インフラに求められる高いセキュリティ水準と、国内製造による安定的な保守体制が確保されている。
また、新たなパッケージの展開にあたっては、将来的な使用済み太陽光パネル・蓄電池のリサイクルスキームの構築も目指していく。製造から廃棄までを見据え、環境負荷低減に向けて、3社で協議・検討を進めていく。
3社は、これまで培ってきた連携体制を基盤に新たなパッケージを提供し、昨今の市場ニーズに応える。
丸紅新電力が2024年10月より運転を開始した「三峰川伊那蓄電所」(⾧野県伊那市)には、パワーエックスとして初めてとなる系統用蓄電池が納入されている。ここでは、ニシム電子工業のEMSと連携して実際の電力取引と系統運用において1年以上にわたる安定的な稼働実績を有している。この蓄電所での連携・運用実績を基盤とすることで、初期連携工数を大幅に削減し、スムーズな事業開始と安定稼働を実現する。
また、パワーエックスとニシム電子工業は2月、電力系統からの充電を行う太陽光併設型蓄電システムとして、一次調整力対応で国内初となる一般送配電事業者の認定を取得している。
パワーエックスは岡山県玉野市の自社工場で高品質な蓄電システムを製造している。蓄電システムを活用し、国産エネルギーを推進することで、エネルギーの安定供給と国内自給率アップへの貢献を目指している。
同社は3月3日、NTTアノードエナジー(東京都港区)が北海道函館市に新設した蓄電所向けに、系統用蓄電システム「Mega Power 2700A」3台(合計容量:8,226 kWh)を納入したことを報告している。NTTアノードエナジーは、全国8拠点の蓄電所において、パワーエックス製蓄電システムを導入している。両社は2月、蓄電システムの保守業務における連携をはじめ、両社の蓄電池事業の拡大に向けた具体的な協業の検討を開始することでも合意している。
また、パワーエックスは、インターネットイニシアティブ(同・千代田区)と蓄電システムとコンテナデータセンターを活用した協業の検討も始めている。
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