2026年7月15日
東京応化工業(神奈川県川崎市)は7月7日、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)と連携し、熊本県内の2拠点で地熱発電を活用したオフサイトコーポレートPPAを導入したと発表した。
地熱発電を用いたオフサイトコーポレートPPAの導入は、半導体材料メーカーでは初めて(九電みらいエナジー調べ)。安定供給が可能な地熱由来電力を活用し、半導体需要の拡大を背景に電力消費が増加する生産拠点の脱炭素化を進める。
今回導入したのは、九電みらいエナジーが保有する地熱発電所の再エネ電力を、小売電気事業者の九州電力を通じて供給するオフサイトコーポレートPPA。対象は、阿蘇工場と、6月に稼働を開始した阿蘇工場 阿蘇くまもとサイトの熊本県内2拠点となる。
供給する電力は、大分県の八丁原発電所、滝上発電所、鹿児島県の山川発電所、大霧発電所の4カ所で発電した地熱由来の再エネ電力。
この取り組みにより、2拠点で年間に使用する電力量の約50%を地熱由来電力で賄う。年間のCO2排出量は約1730t削減できる見込みで、工場の脱炭素化を大きく前進させる。
阿蘇工場 阿蘇くまもとサイトは、東京応化工業が半導体需要の拡大に対応するため整備した新たな生産拠点で、6月に稼働を開始した。今回のPPAでは既存の阿蘇工場に加え、新設した同サイトにも地熱由来電力を供給することで、生産能力の拡大と脱炭素化を同時に図る。
東京応化工業は、半導体製造に用いるフォトレジストや高純度化学薬品などの電子材料を製造する。AIやデータセンター向けを中心に世界的な半導体需要が拡大する中、生産設備の増強に伴って電力需要も増加している。安定的に電力を供給できる再生可能エネルギーの確保は、生産活動と脱炭素経営を両立する上で重要性が高まっている。
今回採用した地熱発電は、太陽光や風力と異なり天候や昼夜の影響を受けず、24時間365日発電できる点が特徴だ。設備利用率は約82%と、国内の再生可能エネルギー電源の中でも高い水準にあり、ベースロード電源として活用できる。
九電みらいエナジーは近年、九州の豊富な地熱資源を活用したオフサイトコーポレートPPAを積極的に展開している。
これまでに、東京建物(東京都中央区)が所有する東京都内のオフィスビルへの導入や大和製罐(同・千代田区)東京工場への導入などを公表しており、導入先はオフィスビルから製造業まで広がっている。今回の東京応化工業向けは、半導体材料メーカーでは初の採用事例となる。
同社は、既設の地熱発電所を活用することで、新たな発電所の開発期間を要さず再エネを調達できることや、複数拠点へ電力を供給できることを特徴としている。九州は国内有数の地熱資源があり、その地域特性を生かした企業向け再エネ供給の拡大を進めている。
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2026年7月13日
公益財団法人パブリックリソース財団(東京都中央区)は7月6日、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の普及を支援する「日本気候基金」を設立し、第1期助成プログラム「農業と未来をつなぐソーラーシェアリング助成」の公募を開始した。
基金総額は最大2000万円で、1団体当たり最大1000万円を助成する。応募期間は8月19日17時まで。
支援対象となる事業は、「農業者や地域コミュニティの気候変動へのレジリエンス向上」と「再エネ普及によるGHG排出削減」の両方に資することが条件となる。
一方で、森林伐採など環境破壊を伴う事業や、未実用化技術の研究開発のみを目的とした事業、太陽光発電パネルの購入・設置を主目的とする事業は対象外としている。
応募対象は、特定非営利活動法人(NPO法人)や非営利型一般社団法人、社会福祉法人、公益法人などの非営利法人に加え、社会課題の解決を目的とする営利法人も含まれる。
支援期間は2026年11月から約1年間の予定。
同基金は、アジアでクリーンエネルギーへの移行を支援するシンガポールの財団「Tara Climate Foundation」の助成を受けて創設したもの。気候変動の影響が深刻化する中、農業者や地域コミュニティが主体となって営農型太陽光発電を普及させる取り組みをサポートし、農業経営の安定化と脱炭素化の両立を目指している。
営農型太陽光発電は、農地で営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置して、農業と発電を両立する仕組みだ。売電や自家消費による収益確保に加え、地域の再エネ利用拡大にも資する手法として導入が進められている。
今回の助成対象には、普及啓発や人材育成、地域連携体制の構築が盛り込まれており、地域の受け皿づくりを支援する。
パブリックリソース財団は、今回の基金を起点に、日本国内における気候変動分野の寄付・助成基盤の拡充を目指す。
今後は、企業や助成財団、寄付者など幅広いパートナーの参画を募り、気候変動対策に取り組む地域プロジェクトへの資金循環を拡大していく。今回の助成はその第一弾となる。
営農型太陽光発電は、再エネの導入拡大だけでなく、農業経営の安定化や耕作放棄地対策、地域活性化など複数の課題解決が期待される。一方で、地域に定着させるには関係者との連携や継続的な普及活動が欠かせない。
パブリックリソース財団は、設備導入ではなく、こうした普及活動や人材育成、ネットワーク形成を後押しすることで、営農型太陽光発電の地域への定着を図る。
パブリックリソース財団は、2000年設立のNPO法人パブリックリソースセンターを前身とし、2013年に公益財団法人として発足した。個人や企業の寄付を社会課題の解決に取り組む団体へつなぐ寄付推進財団として、テーマ基金や企業との共同基金の運営、遺贈寄付などを通じて、「意志ある寄付で社会を変える」をミッションに活動している。
Tara Climate Foundationは、2021年設立のシンガポールを拠点とするフィランソロピー財団。アジア12の国・地域でシンクタンクや研究機関、業界団体など約400のパートナーを支援し、公正なエネルギー移行や産業の脱炭素化、クリーンエネルギーの普及を後押ししている。
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