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2026年3月12日

神戸製鋼、水素の「供給と利用」を実証 工場の熱脱炭素に向け燃焼炉導入

神戸製鋼所(兵庫県神戸市)は3月9日、工場の熱エネルギー脱炭素化に向け、兵庫県の高砂製作所に水素燃焼バーナを用いた直接式金属加熱炉を導入し、水素燃料の利用実証を開始したと発表した。

同社は、水素供給技術として開発する「ハイブリッド型水素ガス供給システム」の実証も同製作所で進めており、水素の「供給」と「利用」の両面から工場の熱脱炭素モデルの構築を進めている。今回の実証では、化石燃料を使用する工業炉を水素燃焼へ転換することで、製造プロセスにおけるCO2排出削減を目指す。

 

「水素利用」に関する実証、工場の熱エネルギー脱炭素を図る

今回導入した加熱炉は、水素と都市ガスの混焼比率を柔軟に変更でき、水素専焼にも対応する。燃焼容量は2791kWで国内最大級の規模となる。

実証では主に以下の項目を検証する。

・水素混焼および水素専焼での工業炉運転

・金属加熱プロセスへの影響/

・水素供給から燃焼利用までの一体的運用

 

自社工場では年間3.6万tの水素需要ポテンシャル

神戸製鋼所は2023年6月、高砂製作所でハイブリッド型水素ガス供給システムの実証試験を開始した。

この取り組みでは、液化水素気化プロセスと再エネを活用した水電解式水素発生装置をパラレル配置したハイブリッド型とすることで、供給コストの低減と再エネ特有の供給不安定性解消の両立を図る。

また、工業炉やボイラなど水素利用設備の稼働状況を遠隔監視し、水素使用量の変動に応じて供給設備を最適制御する。さらに、液化水素の気化時に発生する冷熱を工場内の設備冷却や空調、ヒートポンプなどに活用することで、製造プロセスの効率向上や省エネ化にもつなげる。

産業分野の脱炭素では、電力よりも「熱」の対策が課題とされる。日本の最終エネルギー消費の約6~7割は熱利用とされ、その中でも産業部門の割合が大きい。工業炉やボイラなどが主な熱需要設備となっている。そのため、天然ガスや重油などの燃料を水素へ転換する技術は、製造業の脱炭素化の有力な選択肢として注目されている。

同社の試算では、高砂製作所で稼働する100基以上の加熱炉で消費される化石燃料を水素に置き換えた場合、年間最大約3.6万tの水素利用ポテンシャルがあるという。熱エネルギー主体の製造拠点では、水素需要が大きくなる可能性を示すデータといえる。

 

NEDO・水素社会構築技術開発に関する取り組み

今回、同社が行うシステム実証の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「水素社会構築技術開発事業」において、調査委託および助成事業に採択されている。

調査委託では、「熱によるエネルギー消費が主体の工場の脱炭素化に向けた水素利活用モデルに関する調査(2021年12月3日採択)」を行う。

具体的には、熱によるエネルギー消費が主体の工場の脱炭素化に向けた手段の1つとして、主要なエネルギー消費設備である工業炉・ボイラーなどでのCO2フリー水素の利用を目指した調査を実施する。高砂製作所で実稼働する設備の運転状況の調査により、水素へ燃料転換する場合の技術課題を整理し、水素製造・供給・利用モデルを構築するのが狙いだ。

また、助成事業では、「液化水素冷熱の利用を可能とする中間媒体式液体水素気化器の開発」を行う。

2030年の水素発電商用化に向けてガスタービンの水素混焼・専焼実証が計画されており、これに伴い大型の液化水素気化器も必要となる。同事業では、同社の液化天然ガス気化器で実績のある中間媒体式気化器の要素技術を活かして、冷熱回収型液化水素気化器の小型実証機を試作し、液化水素を用いた実証試験を行うことで液化水素気化器の伝熱性能や機械的データを取得し、大型化に向けた基盤開発を行う。

同社は、これらの実証試験を通じて、水素社会の実現に向けたソリューションを提供し、今後も同社グループならではの価値を創造していくとしている。

 

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2026年3月10日

太陽光発電、用地選定の時間を9割削減 災害リスク・農振法区分も自動判定

東京大学発AIスタートアップ企業のDataPrism Technologies(東京都文京区)は3月4日、シーラソーラー(愛知県名古屋市)と共同開発した「発電所適地判定システム」について、提供範囲を拡大し、SaaSとして提供を開始すると発表した。

両社は今回、実運用で得た知見を踏まえて提供範囲を拡大し、複数の再エネ事業者に提供できる体制を整えた。今後は事業者ごとの運用フローや対象エリアに応じた初期設定を行い、導入検討から活用定着までの支援も行う。

 

スピード、スケール、競争優位性でメリット

発電所適地判定システムは、再エネ発電所の候補地選定に必要な複数の地理情報を一画面に集約し、候補地のスクリーニングと比較検討を支援する地理情報システム(GIS)だ。

再エネ発電所の開発では、日射条件や地形、災害リスク、系統接続制約、土地利用条件、許認可要件など多くの要素を横断的に確認する必要がある。こうした情報は複数の資料やツールに分散していることが多く、候補地が増えるほど調査・比較の手間が増えるため、1件の評価に数週間を要するケースもあるなど、用地開発のリードタイム長期化が業界共通の課題となっている。

同システムは、農地面積や農振法区分、災害リスク、系統空き容量などの条件を総合的に評価し、適地を自動判定する機能などを備える。候補地リストはCSV形式で出力でき、住所や緯度経度、送電線名・変電所名などからの検索にも対応する。直感的なUIでは、候補地を地図上にワンクリックで表示。面積や地目、系統容量、災害リスクを同時に確認し、抽出結果は関係者間で共有することで、地主や自治体との交渉へと迅速な移行を可能にする。

シーラソーラーでの導入実績では、用地選定にかかる時間を従来比で約10分の1に短縮するなど、再エネ事業の開発スピード向上につながっているという。

 

AI・地理情報活用で機能拡張、再エネ開発の意思決定を支援

今後は、日射量や土地の傾斜などの自然条件データの統合・可視化、土地価格情報の取り込み、候補地に紐づく案件管理機能などを段階的に追加する予定。さらに、衛星画像や航空写真を活用した土地利用解析や搬入路の確認、案件進捗に応じた次アクションの整理など、AIと地理情報技術を活用した機能拡充も進める。

最終的には、接続検討結果や工事費負担金など関連コストの管理、稟議資料の自動生成など、再エネ開発の意思決定を支える情報基盤としての活用を目指す。

 

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