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2026年6月5日

福岡県筑前町で出力67MWの系統用蓄電所が着工 伊藤忠、三菱地所など協働

三菱地所(東京都千代田区)は6月1日、伊藤忠商事(同・港区)、東京センチュリー(同・千代田区)と共同で、福岡県朝倉郡筑前町において、特別高圧系統用蓄電所の建設に着工したと発表した。

九州エリアでは、太陽光発電の急速な導入が進む一方、天候や時間帯による発電量の大幅な変動が系統運用の課題となっている。この事業では、約2万世帯分の1日あたり消費電力に相当する規模の蓄電池を活用し、需給調整力を供給する

 

出力67MW、容量230MWhの蓄電所 SIIの系統用蓄電所向け補助金を活用

この蓄電所の敷地面積は約26,000m2、定格出力は67MW、定格容量は230.1MWhで、これは一般世帯約21,500世帯の1日分の電力消費に相当する。商業運転を開始は2028年1月を予定。蓄電システムは、伊藤忠商事が出資・業務提携するパワーエックス(岡山県玉野市)が受注した。

 

三菱地所はプロジェクトマネジメントを、東京センチュリーは特別目的会社(SPC)の運営・アセットマネジメントを、伊藤忠商事は蓄電池システムの販売・運用・保守、AI最適化による運用を一気通貫で担う。

この事業では、容量市場・卸電力市場・需給調整市場といった複数の電力市場に柔軟に対応し、AIを活用した高度な運用によって収益性と安定性を両立する。

伊藤忠商事は、国内で先行的に系統用蓄電池事業へ参入し、AIを活用した蓄電池運用システムの先進的な開発・高度化を推進してきた。このプロジェクトでも、伊藤忠商事が提供する蓄電システムと、AIによる最適運用技術を活用する。

伊藤忠商事が、東京都との連携により2024年に設立した日本初の系統用蓄電池ファンドに、三菱地所、東京センチュリーも民間投資家として参画している。このファンドを軸に、3社による連携体制で事業運営を進める。

パワーエックスは、伊藤忠商事と共同展開するコ・ブランドパッケージ「PowerX × Bluestorage」として、10フィートコンテナサイズの蓄電システム「Mega Power 2500」を採用する。蓄電コンテナ数は102台。電池種類はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)。

この事業は、経済産業省の2025年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択されている。経済産業省が策定する第7次エネルギー基本計画における2050年のカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電など再エネの導入が加速する中、蓄電池市場は今後も大きな市場拡大が期待されている。

 

再エネ資産を共同で運営・管理する基盤を構築していく

東京センチュリーは、リースを祖業とし、国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデルを展開する金融・サービス企業。環境インフラ事業分野で、太陽光発電や蓄電池などの再エネ関連事業を展開している。主要株主には、伊藤忠商事、NTT(東京都千代田区)などが名を連ねている。

東京センチュリーは、「中期経営計画2030」において、系統用蓄電所事業を社会インフラ部門が最優先で取り組むべき最重要領域の一つと位置付けている。これまでは、主に単独出資による系統用蓄電所事業において実績と知見を積み上げてきた。今回の事業では、こうした自社の強みを活かしながら、三菱地所や伊藤忠商事といったパートナーと共同で、再エネ・蓄電池などのエネルギー資産へ投資・管理・運営するアセットマネジメント・プラットフォームの構築を目指す。

三菱地所は、「まち」を支える社会インフラのひとつとして、2024年より系統用蓄電所事業に取り組んでおり、東京都が創設した官民連携ファンド「東京都蓄電所投資事業有限責任組合」への出資や、北海道千歳市上長都における系統用蓄電所事業への参画を進めてきた。

三菱地所グループでは、長期経営計画における社会価値向上戦略の重要テーマのひとつとして「環境負荷低減に尽力し続ける」を掲げている。系統用蓄電所事業への取り組みを通じて、事業ポートフォリオを拡大することで、社会価値向上と企業価値向上の両立を目指す。

 

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2026年6月4日

太陽電池リサイクル法が成立 「廃棄実施計画」など事前届出・提出が義務化

使用済み事業用太陽光発電パネルのリサイクルを義務付ける「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が5月29日、参議院本会議で可決、成立した。

大量の事業用太陽光発電パネルを廃棄する事業者には、廃棄前の実施計画の届出とリサイクルへの取り組みを求める。届出受理後30日間は原則として撤去・廃棄に着手できないため、発電所の解体やリプレースを計画する事業者には工程管理にも配慮が求められる。

政府は2030年代後半以降に本格化する太陽光発電パネルの大量廃棄を見据え、リサイクル体制の整備を進める。

 

事業用太陽電池の廃棄抑制と再資源化を促進

同法律案では、多量の事業用太陽光発電パネルを廃棄しようとする太陽光発電事業者などに国が定める判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けている。また、費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定する制度を創設し、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を不要とするなどの措置を行う。

主な措置事項は以下の通り。

 

国による基本方針の策定

主務大臣(環境大臣と経済産業大臣)は、太陽電池の廃棄の抑制と事業用太陽電池廃棄物の再資源化などの推進を総合的かつ計画的に図るため基本的な方針を定める。

基本方針では、国や地方公共団体、太陽電池廃棄者など各主体の役割、リサイクル目標、施設整備の促進、費用低減・技術開発などの施策の方向性を提示する。

 

多量の事業用太陽電池の廃棄をしようとする太陽光発電事業者などへの規制

 

事業用太陽電池廃棄者の判断の基準の策定
多量事業用太陽電池廃棄実施計画

※廃棄をしようとする事業用太陽電池の重量が政令で定める要件に該当する事業用太陽電池廃棄者

 

費用効率的なリサイクルを促進するためのリサイクル事業者への措置
太陽電池廃棄物再資源化など事業計画の認定など

・再資源などのための太陽電池廃棄物の収集・運搬などの事業(太陽電池廃棄物再資源化など事業)を行おうとする者は、当該太陽電池廃棄物再資源化など事業の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認定を受けられる。

 

廃棄物処理法の特例

 

・認定事業者は、廃棄物処理法の規定による許可を受けないで、太陽電池廃棄物再資源化など事業を実施できることとし、所要の規定を設ける。

・認定事業者は、廃棄物処理法の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、認定計画に従って行う太陽電池廃棄物(産業廃棄物に限る)の収集もしくは運搬または処分を行わなければならないこととし、所要の規定を設ける。

 

製造・輸入業者と販売業者に対する措置

太陽電池の製造・輸入業者と販売業者に対して、環境配慮設計の実施や、含有物質に関する情報提供などの措置を講じる。

 

制度の見直しに向けた検討規定(附則)

政府は、太陽電池の排出量の見込み、最終処分場の残余年数、リサイクル費用の状況などを勘案して、必要があるときは、太陽電池の幅広い廃棄に関係する者を対象とした再資源化などの義務付けを検討し、制度を見直す。

 

太陽光発電パネルのリサイクルの推進へ所要の措置

使用済み太陽光発電パネルは、現行の廃棄物処理法に基づき適正処理が義務付けられている。再エネ特措法に基づくFIT/FIP制度における事業用太陽光発電設備(10kW以上)には、廃棄など費用の積立制度を措置している。

一方、日本では、2030年代後半以降に廃棄される太陽光発電パネルの量が顕著に増加し、年間最大50万t程度に達すると予想されている。これらをすべて埋立処分した場合には、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生ずる恐れがある。しかし、太陽光発電パネルのリサイクルについては、現時点では埋立費用とリサイクル費用との差額が大きいことや、全国的な処理体制が構築途上であることなどが課題となっている。

同法律案では、こうした状況を踏まえ、社会全体のコストの抑制を図りつつ、リサイクル体制を構築する観点から、最終処分量の減量と資源の有効利用に向けた太陽光発電パネルのリサイクルの推進に関して、所要の措置を実施する。

 

1月公表の法制度案をおおむね引き継ぐ内容

経済産業省と環境省は1月23日、太陽光発電パネルのリサイクル制度に関する新たな法制度案を公表した。

1月の制度案から4月の閣議決定法案で、制度の方向は変わっておらず、法律として運用できるように定義・責務・手続・施行時期が具体化された。

制度案では、多量の事業用太陽電池廃棄物の排出者に対するリサイクルの取り組みの義務付け、国の認定を受けたリサイクル事業者への廃棄物処理法上の特例措置、製造・輸入・販売事業者による環境配慮設計や情報提供の促進などを柱とする制度の方向性が示されていた。今回成立した法律は、こうした制度案の内容をおおむね引き継いだものとなっている。

制度の実効性を高めるため、政府はリサイクル技術の高度化や処理能力の拡大、収集運搬の効率化などに向けた支援策も進めている。

 

リサイクル技術の開発支援

2025年度に分離処理コストのさらなる低減(2029年度に2,000円/kW以下)を目指した技術開発支援を実施予定である。NEDOの技術開発では、2018年度に分解処理コスト約5,000円/kW以下を達成し、2024年度には大量排出の前提条件の下、分解処理コスト約3,000円/kW以下、資源回収率80%以上を見込む分離技術の開発を完了した。

 

リサイクル設備の導入支援

2025年度補正予算(30億円の内数)、2026年度予算案(約73億円の内数)において、省CO2型の再エネ関連製品などリサイクル高度化設備への補助事業を実施する。現時点で全国の使用済み太陽光発電パネル専用のリサイクル設備の処理能力は約15万t/年であり、排出ピーク(約50万t)に向けて設備の導入促進が必要である。

 

再生材の売却益向上

2025年度補正予算(1億円)および2026年度予算案(36億円の内数)において、使用済み太陽光発電パネルの重量の約6割を占めるガラスの水平リサイクルの技術実証を実施する。

 

収集運搬の効率化

2026年度予算案において、収集運搬効率化の実証(10億円の内数)と保管施設の導入支援(60億円の内数)の経費を計上している。

 

パネルの不適正処理・不法投棄対策

太陽光発電設備は、現在も廃棄物処理法に基づく適正処理が義務付けられている。関係行政機関が連携して廃棄物処理法を遵守するよう適切に指導し、不適正処理・不法投棄には厳格に対応する。

FIT/FIP制度においては、2022年7月から太陽光発電設備の廃棄など費用について、調達期間などの後半10年間において毎月の買取価格などから差し引く形での外部積立てを求める制度(廃棄など費用積立制度)を措置している。

非FIT/非FIPの太陽光発電設備については、太陽光発電設備特有の放置の実態やそれが公益に与える影響、規制的措置を実施する場合に太陽光発電事業者に生じる事業制約の度合いなどに鑑みながら、引き続き措置の在り方を検討する。

 

制度案への評価と今後の課題

1月23日に開催された中央環境審議会・産業構造審議会合同会議では、委員から制度案に対しておおむね賛同する意見が示された。

一方で、判断基準の具体的内容、多量排出者の対象範囲、非FIT/非FIP事業への対応、リサイクル費用と埋立処分費用の差額が大きい現状での経済合理性の確保、製造業者などへの実効的な措置の在り方などについて、今後さらなる検討が必要との指摘があった。

制度設計の検討過程では、製造業者などにリサイクル費用の負担を求める案も議論されたが、法制上の課題などから制度化は見送られた。

 

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