2026年9月8日
大東建託(東京都港区)は8月24日、千葉県千葉市で開発を進める大規模街区「千葉市ZOOエリアZEHタウン」に、民間企業主導のマイクログリッドを構築する計画を明らかにした。2029年3月の本格運用開始を目指す。
同街区内に330戸以上のZEH住宅を整備し、合計出力約1,800kWの太陽光発電システム、容量約7MWhの大型蓄電池、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入する。住宅などを自営線で接続し、街区内で再生可能エネルギーを融通する。
マイクログリッドは、一定の地域内にある発電設備、蓄電池、電力を使用する設備を一体的に制御する小規模な分散型電力網。今回の計画では、街区内の住宅などを自営線で結び、太陽光発電システムで発電した電力を街区内で利用する。
昼間に発生した余剰電力は大型蓄電池に充電し、太陽光発電量が減少する夜間に活用する。EMSで街区全体の電力需給を管理し、オール電化住宅間で効率的に電力を融通する。
自営線は地下に埋設し、街区内を無電柱化する。広域停電時には一般送配電事業者の電力網から切り離し、街区内で独立して電力を供給できる仕組みを整える。
太陽光発電システムは、ネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ヶ根市)が供給する。同社は導入の検討段階から、システム構成や設備計画について技術面で検討し、提案してきた。
設計・調達・施工を一括して担うEPCは、日本電設工業(東京都台東区)が担当する。冬期などに街区内の電力需要が増加した場合は、大東建託グループの大東バイオエナジー(東京都港区)から再エネ電力を調達する。
大東建託によると、脱炭素先行地域で民間企業が主体となってマイクログリッドを構築・運営する事例は国内初。同社は、この「国内初」との位置付けの根拠として、同社と千葉市が2025年10月から2026年3月末まで、脱炭素先行地域に選定された全102自治体を対象に実施したウェブ調査と現地調査の結果を挙げている。
千葉市は2022年11月1日、環境省の第2回「脱炭素先行地域」に選定された。同市は、この取り組みの一環として、3つの重点エリア「グリーン・MICEエリア」(都市エリア)、「グリーン・ZOOエリア」(自然エリア)、「グリーン・レジリエント・コミュニティ」(施設群)の整備を進めている。
「千葉市ZOOエリアZEHタウン」は、このうち千葉市動物公園周辺の「グリーン・ZOOエリア」で計画される街区。2026年6月に開発許可を取得し、7月に造成工事へ着手した。2028年度に完工し、2029年3月に本格運用を開始する予定。市は同エリアで、住宅の省エネ化に加え、太陽光発電システムや大型蓄電池、自営線を活用して街区内で再エネ電力を融通し、電力の地産地消や脱炭素化、災害時の電力確保につなげる。
当メディアでも以前、千葉市が同エリアにおいて、ZEH住宅、自営線、大型蓄電池などで構成するエネルギーシェアリングタウンの構築を目指していることを紹介した。今回のプロジェクトは、この計画の一環。
住宅街区で電力を融通する取り組みは千葉市以外でも進行する事例がある。
パナソニック ホームズ(大阪府豊中市)は2021年6月1日、兵庫県芦屋市の大型分譲地「スマートシティ潮芦屋『そらしま』」で、住戸間で電力を融通するマイクログリッドサービスを導入すると発表した。太陽光発電システムや蓄電池などを備えた全128区画の街区で、再エネ電力を有効活用する。
スマートソーラー(東京都中央区)は2025年8月14日、北海道釧路町の運動公園と周辺5施設を自営線で接続するマイクログリッドを本格稼働した。ソーラーカーポートと大容量蓄電池を活用して施設間で再エネ電力を融通し、平常時のCO2排出削減と停電時の電力確保につなげる。
サンヴィレッジグループのあびらエナジー(北海道安平町)は2026年4月17日、安平町、北海道銀行(北海道札幌市)と連携し、再エネの地産地消を目指す取り組みを開始した。北海道胆振東部地震で発生した長期停電の経験を踏まえ、約300世帯のエリアに地域マイクログリッドを構築し、レジリエンス向上を図る。同事業ではPPAなどを活用し、2030年までに町内16カ所の公共施設で使用する電力を100%再エネで賄うことを目指す。公共施設16カ所を含む計24カ所に、合計出力約5.7MWの太陽光発電システムと容量約1.7MWhの蓄電池を整備する計画だ。
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2026年9月7日
Linkhola(東京都港区)と浜屋(埼玉県東松山市)は8月24日、日本国内で回収・検査したリユース太陽光パネルをフィリピンへ輸出し、現地事業所の自家消費型太陽光発電に活用する事業を対象に、ボランタリーカーボンクレジットの新たな方法論の策定を開始し、第1号となるクレジット創出プロジェクトに着手すると発表した。
Linkholaが運営する、国内外におけるボランタリークレジット創出支援サービス「EARTHSTORY」において申請・登録する。
今回開発する方法論について、Linkholaは、国内の公的制度であるJ-クレジットや民間主導のボランタリークレジット制度で公開されている方法論の中では、国内初(2026年8月に実施したウェブ調査による)だとしている。
浜屋は、国内で不要となった太陽光パネルの調達や検品、流通を担う。今回の取り組みでは発電可能なパネルを選別してフィリピンへ輸出し、現地の事業所に自家消費型太陽光発電設備として導入する。
Linkholaは、カーボンクレジットに関する方法論の設計や制度運営の知見を生かし、対象事業によるCO2排出削減量の算定ロジックを構築する。専門家や有識者の意見も取り入れながら、方法論の策定手続きを進める。
対象となる太陽光パネルの枚数や発電容量、具体的な導入先、事業開始時期、クレジットの創出見込み量は公表していない。算定方法やプロジェクトの詳細は、方法論の策定完了時に公表する予定。
両社は、方法論開発の背景として、既存の再エネクレジット、ASEANにおける再エネ導入、日本の使用済み太陽光パネルをめぐる3つの課題を挙げる。
新設型太陽光発電によるクレジットでは、国際的な評価基準が厳格化し、クレジットによる支援がなければ事業が成立しないという「追加性」の立証が難しくなっている。このため、発電量だけでなく、透明性や信頼性を備えた持続可能な環境価値の仕組みが求められているという。
一方、フィリピンをはじめとするASEAN諸国では、経済成長に伴って電力需要が増加し、電気料金の高騰も事業者の経営課題となっている。再エネ導入への要請が高まる中、設備の初期投資が普及の障壁となっており、導入コストを抑えた自家消費型太陽光発電の拡大が求められている。
日本では2030年代半ば以降、耐用年数を迎えたり、設備更新に伴って撤去されたりする太陽光パネルの大量排出が見込まれる。
こうした課題を踏まえ、両社は、日本のリユース太陽光パネルを活用してASEANでの再エネ導入コストを抑えるとともに、その排出削減効果をカーボンクレジットとして評価する方法論を開発する。ただし、中古品の国際流通では、品質の不透明さや輸出先での不法投棄が課題となる。このため、両社は、この事業に日本国内での品質検査とトレーサビリティー管理を組み込み、リユース太陽光パネルの信頼性を確保する。
5月29日、使用済み事業用太陽光パネルのリサイクルを義務付ける「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立した。同法では、多量の事業用太陽光パネルを廃棄しようとする太陽光発電事業者などに、国が定める判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けている。また、費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定する制度を創設し、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を不要とするなどの措置を行う。
3月25日には、東急不動産が使用済み太陽光パネルを北海道松前町の小学校と町営牧場に設置する国内循環モデルの実証実験を開始すると発表した。自治体新電力の松前再エネ電力(北海道松前町)がPPA事業者として、使用済み太陽光パネルを町立小学校と町営牧場に設置する。発電した電力は各施設で自家消費し、資源循環と再エネの地産地消を両立する。
Linkholaの「EARTHSTORY」は民間主導の「ボランタリークレジット制度」の申請、審査、発行までを一括して扱うサービス。初号案件は、沖縄県宮古島におけるオンサイトPPAを活用した自家消費型太陽光発電プロジェクトで、1159tのクレジットを発行した。
今回の浜屋との取り組みは、リユース先を海外へ広げるとともに、再エネ発電による排出削減効果をボランタリークレジットとして価値化する。
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