2026年3月20日
東急不動産(東京都渋谷区)は5月31日、同社が展開する物流施設ブランド「LOGI’Q(ロジック)」の新施設を広島県広島市で着工すると発表した。
新施設「LOGI’Q広島」では、建設資材の製造から施設運用までを対象に再エネの活用を進め、環境性能の高い物流施設の実現を目指す。
同物件では、自社再エネ発電所を活用した電力供給や蓄電池の導入、子会社リエネ(東京都渋谷区)を通じた再エネ100%電力などにより、再エネ100%による施設運営を行う。
また、限られた資源を未来につなぐ「循環」をテーマに、さまざまな環境配慮施策を実施する。
エネルギー利用では、屋上に太陽光発電設備を設置し自家消費するとともに、敷地内に蓄電池を導入する。従来は建屋内で使い切れず外部へ売電していた余剰電力を蓄電池に充電し、発電量が低下する夜間などに放電することで、再エネ利用比率の最大化を図る。
蓄電池は電力系統と接続し、需給調整や市場取引にも対応する。電力需給が逼迫する時間帯に放電することで系統の需給バランス調整に寄与するほか、リエネ(東京都渋谷区)と連携し、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントにより施設全体の電力使用を最適化する。また、停電時の自立運転にも対応し、蓄電した電力を保安負荷へ供給することでBCP強化に貢献するという。
ピークカットや余剰電力の有効活用、市場運用に対応した蓄電池をBCP電源としても活用する仕組みは、物流施設初(東急不動産調べ)となる。
同物件では、建設資材製造時における使用エネルギーの脱炭素化も推進する。
同物件の床デッキ材を製作するケンテック(東京都千代田区)は、リエネ提供の再エネ100%電力「リエネでんき」の契約を締結。東急不動産の再エネ発電所由来の再エネ電力によって製作された部材(製品名:スーパーグリーンデッキ)を同物件建設時に使用する。
また、同物件の鉄骨材料を制作するヤマトスチール(兵庫県姫路市)は同物件の梁に使用する鉄骨のおよそ半分の鉄骨に、リエネが調達した非化石価値を加えることで、鉄骨制作により使用する電力を、東急不動産の再エネ発電所由来の再エネ電力で賄う。
これらの取り組みにより、新たな循環活用モデルを実現するとしている。
東急不動産は今後、この再エネ循環活用モデルを他の新設物件でも採用し、同社の強みである再エネを用いた持続可能な取り組みを積極的に展開していく方針だ。
このほか、同物件では水素ドローンポートの設置を検討している。
同ポートは、水素ドローンベンチャーのロボデックス(神奈川県横浜市)が手がける。物流施設への導入は日本初の試み(東急不動産調べ)。
瀬戸内海に近い立地を踏まえ、最大飛行時間約120分と長距離飛行が可能な水素ドローンを活用。使用する水素は、同物件で利用する再エネ100%電力を用いたグリーン水素とする。同ポートは離島向けの物資輸送事業に活用するほか、入居テナントによる利用も可能とする。
なお、水素活用の一環として、倉庫内で使用する水素フォークリフトの導入も検討している。
同物件は、広島高速3号線の観音ICから約4km、吉島ICから約3km、広島港から約5kmに位置する。広島県内に加え、近畿、中国、四国、九州を結ぶ西日本の物流拠点として、広域配送に適した立地だ。
構造は鉄骨造5階建て。敷地面積は31,019.70m2、延床面積は77,365.02m2で、竣工は2028年4月28日。
記事内容へ
2026年3月19日
野村證券(東京都中央区)と野村キャピタル・インベストメント(同)は3月13日、台湾の再エネ事業者HD Renewable Energy(HDRE)が札幌市で開発する系統用蓄電池プロジェクト(日本・北海道Helios 50MW蓄電所)を対象に、54億円のグリーンプロジェクトボンドの組成を支援したと発表した。
系統用蓄電池事業を裏付けとするグリーンプロジェクトボンドの組成は国内初で、電力市場収益に依存する「マーチャント型」案件を対象とした長期資金調達のモデルケースとなり得る。
系統用蓄電池事業は、太陽光や風力の導入拡大に伴い、需給調整や系統安定化の調整力として重要性が高まっている。
一方で、金融面では、収益が市場価格に連動していることやFITなどの固定収入がない点、収益源が複数市場に分散するといった構造的弱点があると指摘されている。
従来のプロジェクトファイナンス市場では、FIT太陽光など長期固定収入を持つ案件が主流であり、マーチャント型蓄電池は金融機関から「難易度の高い資産クラス」とみなされてきた。今回の案件も、卸電力市場(JEPX)・需給調整市場・容量市場での取引収益のみで成立する完全マーチャント型モデルである。
マーチャント型蓄電池事業には、事業者にとって以下のリスクがあるとされる。
・市場価格変動リスク:JEPX価格・調整力価格・容量市場収入の3要素が収益を左右する。市場制度変更や価格低下が起きると、キャッシュフローが大きく変動する
・長期ファイナンスの難易度:金融機関は通常、長期固定契約や最低収入保証などを求めるため、マーチャント案件はデット調達が困難となる
・蓄電池事業収益モデルの制度変動リスク:日本の系統用蓄電池はまだ市場形成段階で、収益スタッキングの実績不足や市場制度変更といった不確実性が大きい
野村證券と野村キャピタル・インベストメントは今回、収益変動を前提とした資金構造を組み込むことで、ボンド満期20年の長期資金調達を実現した。
格付投資情報センター(R&I/東京都千代田区)は、信用格付およびグリーンボンド格付を付与するとともに、グリーンボンド原則への適合性評価を実施している。
今回の案件は、系統用蓄電池の資金調達に関して次の3点を示唆する。
・マーチャント型でもプロジェクトボンド化が可能
・収益スタッキングを前提としたキャッシュフロー管理が不可欠
・グリーンボンド化による機関投資家資金の活用
今後、数GW規模の系統用蓄電池導入が見込まれる中、市場収益型事業を支える資金調達スキームの一例となる。
記事内容へ