2025年6月25日
太陽光発電協会(JPEA/東京都港区)と再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP/同)は6月17日、太陽光発電設備のケーブル盗難対策として成立した「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」を歓迎するとともに、太陽光発電事業者にさらなる対策の強化を呼び掛けた。
この法律は、6月13日付で国会にて成立した。盗難ケーブル対策には、「発電所に入らせない、取らせない、買取らせない対策」が必要となるが、今回の法律は、盗品を買取れなくするもの。
具体的には、金属くずの買い取り業者に営業の届出を義務化し、違反した場合の罰則を設けた。また、金属くずの買取時には、本人確認と取引記録の作成・保管、盗品の疑いがある場合の警察官への申告なども義務づけたほか、ケーブルカッターなどのうち犯行使用のおそれが大きな工具を、正当な理由なく隠ぺい・携帯する行為を禁止(罰則あり)するとともに、盗難防止に資する情報の周知徹底が盛り込まれた。
警察庁によると、太陽光発電設備からの銅線ケーブルをはじめとする金属の盗難が増加している。2024年の金属盗難の認知件数は2020年の約4倍、2023年の金属盗難の被害額(実務統計)は、130億円以上(窃盗全体の約2割)となっている。太陽光発電設備の被害により、長期間にわたる発電停止による経済的損失も発生している。
JPEAとREASPは、太陽光発電設備のケーブル盗難対応について、定期的に注意を喚起してきたが、いまだ全国的にケーブル盗難事故が続発しており、盗難被害は、太陽光発電の特別高圧や高圧設備だけでなく、小規模事業用発電設備や蓄電設備まで拡大しているという。
両者は、ケーブル盗難は、近隣住民の防犯に対する懸念や再エネ電力の供給停止などエネルギー安定供給のほか、地域の安心・安全の面でも無視できない問題だとし、太陽光発電設備を運営・管理している事業者に、以下の対策例を参考に、改めて防犯対策のさらなる強化と保守運営の再点検などの対応を行うよう求めた。
なお、JPEAとREASPでは、今般の損害保険会社による保険引受け条件の大幅見直し、また新規事業における原則盗難不担保の状況が、太陽光発電の普及拡大に大きな懸念となることから、業界団体、保険仲介/リスクマネジメント会社、金融会社・シンクタンクを委員とする緊急タスクフォース(TF)を組成し、抜本的な対策を検討している。
2024年10月には、「太陽光発電の持続可能な保険契約・運用の実現に向けた提言書」「太陽光発電リスク対策チェックシート」「太陽光発電所向け災害・盗難対策ガイドライン」をJPEA・REASP主導で取りまとめ、公表している。
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2025年6月24日
北陸電力(富山県富山市)と丸紅新電力(東京都千代田区)は6月17日、加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)に、太陽光発電所由来の再エネ電力の供給を開始したと発表した。これにより、年間CO2排出量は一般家庭約5000世代分に相当する約1万3000トンを削減できる見込みだ。
丸紅新電力がアグリゲーターとして、複数の太陽光発電所で発電された再エネ電力をとりまとめ、北陸電力がオフサイトコーポレートPPAで加賀東芝エレクトロニクスへ供給する取り組みとなる。
発電容量の合計は約24MW、年間発電電力量は約27GWh/年。6月から供給を開始し、供給期間は20年間。
北陸電力では電源の脱炭素化に向け、「北陸電力グループ新中期経営計画」において2030年代早期にプラス100万kW以上(2018年度対比)の再エネ開発目標を掲げる。この一環として、オフサイトコーポレートPPAなどのカーボンニュートラルサービスの導入拡大に今後も取り組んでいく。
丸紅新電力は、親会社である丸紅の中期経営戦略GC2027に則り、「グリーンへの取組を推進」し、同オフサイトコーポレートPPAを通じて脱炭素社会の実現・持続可能な社会の実現に貢献していく。2025年5月末時点で再エネ電力の取扱高が20万kWを超え、2030年、500万kW程度を目標として段階的に増やしながら、再エネ電力を広く顧客に提供していく。
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