2026年5月3日
環境省は4月24日、オンサイトPPA(第三者保有モデル)を活用して、再エネ発電設備などの設備を導入することで複数の建物間で電力融通を行い、平時での省CO2と災害時の避難拠点を両立させる取り組みを支援する補助金の公募を開始した。
計画策定に対し最大1000万円(単年度)、設備導入は3カ年以内・各年度最大3億円を支援する。公募期間は6月9日正午まで。
この補助事業の名称は「令和7年度補正予算・令和8年度予算 民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」のうち「新手法による電力融通モデル創出事業」。
複数の需要場所間で電力融通を行う設備などを、第三者が設備を保有する(TPO)契約で導入する事業を支援することで建物間・地域内での脱炭素化を図ることを目的としている。
補助の対象は、計画策定と設備導入の2つの事業区分があるが、いずれにおいても事業本体は主に以下のような条件を満たす必要がある。
・自営線で発電場所と複数の需要場所間をつなぎ、電力融通を行うシステムを構築する
・すべての需要場所に対して、調整力強化に資する需要側設備(EV、ヒートポンプを活用した給湯、空調、冷蔵・冷凍庫、コージェネレーション設備など)を導入する
・需要側設備も第三者保有モデルで契約する
・すべての需要側設備を単一のEMS制御下に置き、発電量・需要に応じて、統合的なCO2削減効果を生む
・再エネ発電設備と蓄電池を導入する
・再エネ電力を需要場所内で自家消費し、年間を通して余剰電力を融通先で消費、さらにその余剰を蓄電池に充電し活用する(電力系統に逆潮流しない)
・再エネ発電量とエネルギーマネジメントによる制御実績(電力融通など)とCO2削減実績を記録・集計の上、報告する
・得られる環境価値を需要家に帰属させる
・FIT制度、FIP制度の認定を取得しない
・自己託送を行わない
補助率や補助上限額はそれぞれ以下の通り。
計画策定事業の補助事業期間は単年度で、補助率は3/4、上限は1000万円。
計画策定年度の後、原則設備導入を完了する必要があり、導入できない場合は交付された補助金を返還する必要がある。また、設備導入の際に補助金の交付を受けるためには、設備導入事業に応募し、その年度の要件を満たし採択される必要がある。補助対象経費は人件費、業務費など。
設備等導入事業の補助事業期間は3カ年以内で、補助率は1/2、上限は各年度3億円。ただし、地方公共団体と「災害時における拠点の利用に関する防災協定」を締結していれば補助率が2/3になる。
「TPOモデル計画策定事業」で策定した計画か、これと同等と執行団体が認めた計画などに基づき申請する必要がある。
補助対象設備は以下の通り。
・再生可能エネルギー発電設備
・エネルギーマネジメントに資する設備と設備同士を結ぶ自営線
・熱導管など(自営線地中化のための設備含む)
・受変電設備
・定置用蓄電池
・充放電設備
・充電設備
・車載型蓄電池(電気自動車・プラグインハイブリッド車)
・EMS(エネルギーマネジメントシステム)
・通信・制御機器
・運転制御可能な需要側設備(ヒートポンプを活用した給湯器・空調など調整力強化に資する需要側の設備
コージェネレーション設備など)
・需要側設備の直流受電を可とするための改造費と直流給電設備(直流にするための改造費含む)
また、原則として太陽電池モジュールは2026年度に導入(購入・設置工事)するものに限定されている。なお需要場所にオンサイトで導入する場合は、2026年度に太陽電池モジュールを購入し、2027年度以降に太陽電池モジュールを設置工事するものも対象になる。
事業の執行団体は環境技術普及促進協会(大阪府大阪市)。事業の詳細は公募要領などで確認できる。
第三者保有(Third Party Ownership)モデルとは、需要家以外の第三者が設備を保有する形態を指す。再エネ発電設備の導入においては、オンサイトPPA(Power Purchace Agreement)契約とも呼ばれる。
この事業では、このモデルを活用した複数の建物間・地域内での電力融通モデルの構築により包括的な設備導入とエネルギーマネジメントを行うビジネスモデルを確立させることで、民間企業などが有する工場・施設・営農地などに対して再エネ設備の導入加速と柔軟な需給調整の実現を支援し、総合的な脱炭素化を加速することが期待されている。
これにより民間企業や地域の脱炭素化を着実に進めるとともに、分散型電力システムを構築して地域共生型エネルギー社会の加速化を目指すものだ。
記事内容へ
2026年5月2日
経済産業省は4月24日、資源有効利用促進法に基づく識別表示の見直しの一環として、PETボトルのラベルレス化を拡大する方針を示した。
従来は箱売りなどに限定されていたラベルレス対応を、条件付きで単体販売(ばら売り)にも広げる方向で制度改正を検討する。識別機能を維持しつつ、プラスチック使用量の削減と資源循環の加速を図る。
現行制度では、PETボトルにはリサイクル識別のための「PETマーク」を、「容器への刻印」と「ラベルなどへの表示」の両方で付すことが条件だった。刻印は回収・選別段階での識別を目的とし、ラベル表示は消費者が分別排出を行う際の判断材料として機能してきた。
今回の見直しでは、このうちラベル表示の役割を再検討する。消費者における識別マークの認知が進んでいることを踏まえ、刻印のみでも従来と同様のリサイクル行動が可能であれば、ラベルへの表示を省略できるようにする考えだ。
これまで外装表示を前提とした限定的な措置にとどまっていたラベルレスを、単体販売にも広げ、商品仕様に応じてラベルの要否を選択できる制度へと拡張する。
制度改正の方向性としては、ラベルに他法令による表示が付されない場合に限り、PETマークのラベル表示を省略できるようにすることが検討されている。これにより、これまで外装に表示を集約することで認められていたラベルレスの仕組みが、より広い販売形態に適用されることになる。
背景には、識別表示を取り巻く環境変化がある。制度創設から30年以上が経過し、分別回収は社会に定着した。加えて、容器の小型化や機能性向上など技術面の進展、さらには資源循環の加速という政策要請の高まりを受け、識別表示の在り方を見直す必要性が指摘されている。
また、食品表示法など他法令との関係も制度設計に影響する。現在は、ラベルに名称や成分表示などの法定表示を記載する必要があるが、一定条件下ではキャップなど限られた面積に表示を集約することも可能とされている。こうした制度の柔軟化も、ラベルレス拡大を後押しする要因となっている。
実証的な裏付けとして、消費者アンケートの結果も示された。ラベルがない場合でも、刻印されたリサイクルマークを約9割が認識し、ほぼすべての回答者が従来通り分別できると回答。ラベル表示を省略しても分別行動が維持される可能性が確認された。
新方針の狙いは、ラベル廃棄量の削減による環境負荷低減と、消費者の分別排出の容易化にある。同省は、ラベルを剥がす手間を省くことで分別行動を阻害しないようにしつつ、プラスチック使用量そのものを減らすことを目指す。
飲料メーカーや関連企業にとっては、包装設計や製造工程に影響が及ぶ可能性がある。ラベルが不要となる製品では、フィルムや接着剤といった資材使用量の削減につながるほか、ラベリング工程の見直しも想定される。一方で、食品表示などの法定表示をどのように確保するかといった設計上の新たな課題も想定される。
ラベルレス飲料については、日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)やサントリー(大阪府大阪市)、大塚製薬(東京都千代田区)などのメーカー各社が同社商品のラベルレス化を推進するほか、プリンスホテル(同・豊島区)が客室提供のミネラルウォーターをラベルレスボトルに切り替えるなどの取り組みが広がっている。
記事内容へ