2025年7月9日
新電力のイーネットワークシステムズ(東京都新宿区)は7月3日、宮城県涌谷町で、町有地に新設する太陽光発電所を活用し、再エネ100%の電気をふるさと納税の返礼品として提供するプロジェクトを始動すると発表した。域外からの資金流入を促進し、涌谷町の持続的な発展に役立てる。
このプロジェクトには、イーネットワークシステムズ、涌谷町のほか、太陽光システム販売・施工を手がける日本エコテック(福島県郡山市)、ハンファジャパン(東京都港区)が参加する。
具体的には、涌谷町が日本エコテックに町有地などを貸し出し、日本エコテックが太陽光発電所「涌谷町かがやき発電所」を建設し、管理・運営までを担う。イーネットワークシステムズは、太陽光由来の再エネ電力と環境価値を調達し、「涌谷町産再エネ100%の電気」として供給する。
また、再エネ電力は町内の温泉施設や研修施設などの公共施設に供給し、地産地消として地域で消費する。さらに、災害時には非常用電源としても活用する計画だ。
なお、ハンファジャパンは主催するSDGSパートナーシップ制度「グリーンアライアンス」の太陽光発電システム寄贈プロジェクト「グリーンギフト」を通じて、太陽光モジュール240枚を寄贈した。
涌谷町ふるさと納税でんきの受付開始は今秋の予定。
遠藤 釈雄涌谷町長は、今回の取り組みについて、「これまでになかった革新的な企画である」とし、「関係人口の創出や町政運営の進展につなげたい」と抱負を述べた。また、日本エコテックの木下 繁雄代表取締役は、「今回の取り組みは今後の全国自治体のモデルケースになる」と取り組みの意義を強調した。
ハンファジャパンの「グリーンアライアンス」は2024年6月の発足以来、再エネや住宅関連企業であるパートナー企業と協働し、クリーンエネルギーの供給を中核に、地域貢献やグローバル連携など社会課題の解決に取り組んでいる。6月に開始した第2期では、38社のパートナー企業とともに、太陽光発電システムを無償提供する「グリーンギフト」やマングローブの植林活動などに取り組んでいる。
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2025年7月8日
日鉄エンジニアリング(東京都品川区)は7月3日、福岡県古賀市の「青柳ソーラーパークI」が稼働を開始したと発表した。同社独自のAI技術を活用したエネルギーアセット最適運用支援システム「Think EMXS」を導入し、蓄電池の充放電を行う。
同発電所は、2018年に商業運転を開始した2.634MWのメガソーラーだ。今回、FIP制度への移行に併せて、パワーエックス(東京都港区)製の定置用蓄電池「Mega Power」を3台導入した。パワコンの出力は1.75MW、容量8.226MWh。
同社の「Think EMXS」は、電力系統全体の需給バランスの効率化や安定化、蓄電池の最大限活用に向け、JEPXや需給調整市場など複数の電力市場での最適取引、リアルタイム制御によるインバランス低減、需給逼迫への対応など、蓄電池システムのマルチユース運用を行う。
この取り組みにおいて、同社は、「Think EMXS」による太陽光・蓄電池の最適制御・運用に加え、事業化支援や電力取引代行、発電計画の作成・提出などの需給管理までを手がける。なお、同発電所は、SMFLみらいパートナーズ(東京都千代田区)が、出資する特別目的会社(SPC)のイロハエナジー(同)を通じて所有・運用する。
再エネ普及が進む中、日中の太陽光発電設備の発電量が需要を上回ることによる出力抑制の急増や、FIT制度による国民負担の増大が社会課題となっている。こうした状況を受け、政府は、再エネの主力電源化に向け、経済産業省主導の下、FIP制度の導入促進を図っている。
日鉄エンジニアリングは、エネルギープラントなどの建設・操業で培ったエンジニアリング技術と20年以上にわたる小売電気事業者としての運用ノウハウを融合し、再エネの活用・普及を促進する電力ソリューションを開発・提供している。今後は、高圧の太陽光発電所に加え、10MW以上の特別高圧の太陽光発電所にも「Think EMXS」を導入し、同様の取り組みを展開していく考えだ。
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