2026年5月23日
アイシン(愛知県刈谷市)やパナソニックホールディングス(大阪府門真市)など主要メーカー5社は5月15日、ペロブスカイト太陽電池の量産化・標準化に向け、一般社団法人「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)」を設立した。
品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築など産業化に向けた共通課題を、業界横断で解決する狙い。資源エネルギー庁が20日に開催した「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業力強化に向けた官民協議会」で公表された。
設立時の会員は、アイシン、パナソニックホールディングス、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)、リコー(東京都大田区)の5社。このほか、量産化を進める企業を中心に、東京大学や広島大学の研究者も理事・監事として参画する。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟で、壁面や耐荷重制約のある屋根など従来型太陽光パネルでは設置が難しかった場所にも導入できる次世代型太陽電池として期待される。
一方、量産化・社会実装に向けては、品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築、リサイクル技術確立など、業界共通の課題が残る。特に、認証制度や品質・安全基準の整備は、市場形成を進める上で重要なテーマとなっている。
JPSCは、こうした課題を業界横断で解決し、「日本製ペロブスカイト太陽電池」の健全な普及と国際競争力強化を目指す。
背景には、政府が推進する「次世代型太陽電池戦略」がある。同戦略では、主要原材料であるヨウ素やフィルム部材、製造装置など重要サプライチェーンの国内確立を掲げるとともに、「世界をリードする規模とスピード」での投資や推進体制構築の必要性を示している。
また、過去の技術流出の反省を踏まえ、製造装置を含めた戦略的な知的財産管理の重要性も指摘。特にフィルム型ペロブスカイト太陽電池については、製造だけでなく、運搬、施工、回収、リサイクルまで含めたライフサイクル全体で新たな産業形成につながる可能性があるとしている。
JPSCは、こうした政策方針を受けた産業側の推進組織として、量産化や社会実装を後押しする役割を担う。
JPSCは、政策提言や製品規格登録、品質性能・製品安全ガイドライン策定、国内外標準化活動、製品試験・認証などを進める。加えて、施工事業者やPPA事業者、保険事業者、金融機関、自治体などとの情報共有・連携も図る方針だ。
運営体制では、理事会の下に、運営委員会と技術委員会を設置。製品登録や認証試験、規格策定などを担う。連携機関として、一般社団法人 日本太陽光発電学会(京都府京都市)、一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA/東京都港区)、有機系太陽電池技術研究組合(RATO/同・目黒区)などとの協力も想定している。
今後は東京都内に事務所を設置し、準備が整い次第、幅広い会員募集を開始する予定。募集開始は12月を見込む。
ペロブスカイト太陽電池を巡っては、国内各社が量産投資や実証を加速している。JPSCは、認証・標準化・施工体制整備を含めた産業基盤形成の中核組織となる可能性があり、今後の活動が注目される。
記事内容へ
2026年5月22日
大和証券グループ本社(東京都千代田区)は5月19日、北海道千歳市で開発を進める系統用蓄電池事業で、あおぞら銀行(同)からプロジェクトファイナンスによる資金調達を実施したと発表した。
同蓄電所は出力38MW、蓄電池容量は160.32MWh。固定価格契約に頼らないフルマーチャント型で、2027年10月に稼働予定。事業主体は子会社の大和エナジー・インフラ(同)が出資する千歳蓄電所合同会社(同・港区)。
系統用蓄電池は、主に電力系統における需給調整機能として、太陽光や風力などの再エネをはじめとする各発電所の出力変動の平準化と、電力の安定供給に寄与するもので、千歳蓄電所合同会社は、この需給調整機能を収益化する。
具体的には、卸電力市場での売電に加え、需給調整市場での調整力提供、容量市場での容量提供などを通じて収益を得る計画で、これらの収益は固定化されたものではなく、固定価格契約に頼らないフルマーチャント型を前提とした。
大和エナジー・インフラとあおぞら銀行は、大和エナジー・インフラの豊富な電源開発経験やプロジェクト投資実績と、あおぞら銀行のこれまでプロジェクトファイナンスで培った経験やノウハウを掛け合わせ協議。フルマーチャント型の市場収益を返済原資とするプロジェクトファイナンススキームを構築し、今回の契約締結に至った 。
また、この系統用蓄電池事業では、伊藤忠商事(東京都港区)が蓄電システムを提供し、京セラコミュニケーションシステム(京都府京都市)が蓄電所の設計・調達・建設、大阪ガス(大阪府大阪市)が蓄電池の運用・電力市場での取引、大和証券グループの大和リアル・エステート・アセットマネジメント(東京都中央区)が蓄電所の運営管理を行う。
大和証券グループは今後も、社会課題の解決や国内産業の育成と持続的な成長に貢献する、エネルギー・インフラ分野での投資・ファイナンス分野での先駆的な開発を進める。
大和エナジー・インフラは、国内外の太陽光発電事業を中心に、各種再エネ発電事業への継続的な投資を行ってきたが、蓄電池を再エネの普及を促進する重要なアセットタイプと位置付け、幅広く先駆的な投資活動を展開してきた。
2023年には北海道で系統用蓄電池事業への投資を実行し、翌年2月に太陽光発電所併設の蓄電所の運転を開始した。また2025年6月に米国と欧州で、同年11月にドイツで、2026年1月には米国で系統用蓄電池プロジェクトに参加している。
国内太陽光発電事業に関しては、すでに大和証券グループの機能を活用して金融商品を開発し販売している。国内外の蓄電池事業についても、最終的には金融商品化し、機関・個人投資家に投資機会を提供することを目指している。また、証券グループの投資会社として、「皆で使うインフラ資産に、皆で資金を提供する仕組みを整える」という目標の達成を向けて取り組む。
記事内容へ