2026年6月23日
京セラ(京都府京都市)は6月17日、軽量かつ着脱可能な太陽光発電システムの開発を進める方針を明らかにした。この取り組みは、東京都と東京都環境公社が実施する支援事業の採択を受けで実施するもの。工場や倉庫などの低耐荷重屋根への導入を想定しており、実証を通じて実用化に向けた課題の抽出と解決を図る方針だ。
同社は、次世代型太陽電池との連携も視野に、荷重余力が小さく、従来型の太陽光発電システムを設置できない建物にも対応する国産軽量太陽光発電システムを開発し、これまで設置が困難だった場所の発電利用を目指す。
東京都内での実証を通じて、さらなる軽量化と信頼性向上に向けた技術開発を加速。東京都を起点に、全国の低耐荷重屋根への早期導入を図る方針。さらに、リユース・リサイクル対象の選別に役立つ寿命予測技術を組み合わせ、脱炭素・循環型社会の実現に資する技術・製品の提供も目指す。
この取り組みは、東京都と東京都環境公社が実施する「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択され実施する。同事業は、2050年の「ゼロエミッション東京」の実現に向け、脱炭素化の推進や安定的かつ経済合理性のあるエネルギーシステムの確立を目的としたもの。都内の大企業と中小企業が組織する企業グループを対象としている。
京セラが採択された事業は「次世代型太陽電池との連携も視野に見据えた国産軽量太陽光発電システムの社会実装と、寿命予測技術活用による太陽光発電パネルのリユース・リサイクルの推進」。協和ホールディングス(東京都渋谷区)を構成企業に、2026年4月から2029年3月まで実施。都内での実証は、2027年頃に実施する予定。
再エネの導入拡大が求められる一方で、太陽光発電の設置可能な適地は年々減少している。また、近年は、建物の屋根上など既存インフラを活用したオンサイトでの導入が注目されているが、特に、スレート屋根など、工場や倉庫の屋根の多くは軽量構造であり、既存の太陽光パネルを設置できないことが、再エネ導入拡大の制約となっている。
京セラは、実績のあるシリコン系太陽電池を用いながら、ガラスを使用しない構造や、施工技術を含むシステム全体の軽量化により、高い発電効率と信頼性を両立する新たな軽量太陽光発電システムの開発を進めてきた。
2022年からはデンソー(愛知県刈谷市)と共同で、軽量太陽光発電システムの実証実験も実施。デンソーが国内に保有する工場の屋根は約150万m2にのぼるが、従来の太陽光発電システムの荷重に耐える基準を満たしていない。そこで、既存の工場屋根にも設置できるよう、太陽光発電パネルを小型化し、荷重制限の厳しい工場屋根に最適な形で荷重を分散する構造とした軽量太陽光発電システムを設計した。また、主流の接着工法ではなく、金具による固定方式にしてパネル本体の交換を容易にし、メンテナンス効率を向上させた。
現在、デンソーとの実証を通じて、実際のスレート屋根における発電性能や設置方法に関する検証データを取得し、京セラが重視する製品コンセプトの実現性を裏付けるとともに、量産化に向けた技術の高度化と最適化を進めている。また、低耐荷重屋根への設置にあたっては、構造解析や顧客との協議を踏まえた設計・導入プロセスの確立にも取り組んでいる。
さらに、京セラは、軽量太陽光パネルの廃棄量抑制、リユース・リサイクル推進を目的に、太陽光パネルの長期信頼性設計・寿命予測技術「SoRelia」を開発している。軽量太陽光パネルの開発においても、同技術を活用する方針だ。
東京都の「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」は、都内の大企業と中小企業で構成する企業グループを対象に、新エネルギーや関連するシステム・製品・サービスの調査研究、技術開発、実証、実装などを支援する。助成期間は最大5年、助成率は3分の2以内で、1グループ当たり最大30億円を助成する。2025年6月18日から10月1日まで募集し、2026年3月31日に2025年度採択企業を公表していた。
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2026年6月22日
神奈川県川崎市は、多数の運動施設を有する総合公園「等々力緑地」において、主要な施設であるスタジアム・アリーナ・野球場に、廃棄物発電や太陽光発電など、すべて川崎市民由来の再エネを組み合わせた再エネ電力を7月1日から導入すると発表した。
同市によると、すべて市民由来の再エネを組み合わせた電力を市内の複数の大規模運動施設に供給し、100%再エネ電力化する取り組みは国内でも初めて。
この取り組みで供給される電力は、川崎市内の家庭から排出された普通ごみなどを焼却した市処理センターの廃棄物発電由来の電力と、市内の家庭用太陽光発電の電力を組み合わせたもの。
指定管理者として等々力緑地を管理・運営する川崎とどろきパーク(神奈川県川崎市)は、自治体新電力の川崎未来エナジー(同)と、等々力緑地の「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)」、「東急ドレッセとどろきアリーナ」、「等々力球場」における電力契約を締結した。川崎未来エナジーは、事業パートナーである東急パワーサプライ(東京都世田谷区)と連携し、それぞれが取り扱っている川崎市民が関与する再エネ電力を組み合わせ、実質100%の再エネ電力を供給する。これにより、等々力緑地の主要な施設で使用する電力(一般家庭約854戸分)は、すべて再エネに切り替わる。
電源比率は、川崎市内廃棄物発電が約80%、家庭用卒FIT電気が約20%で、いずれも川崎市内電源。これらの電源に由来する環境価値を示す証書である非FIT非化石証書(再エネ指定あり)を活用する。小売電気事業者である東急パワーサプライが供給する電気を、取次事業者である川崎未来エナジーが販売する。
電力使用量は、「Uvanceとどろきスタジアム(等々力陸上競技場)が117万3976kWh/年、「東急ドレッセとどろきアリーナ」が212万9543kWh/年、「等々力球場」が53万3146kWh/年。陸上競技場は、サッカーJリーグの川崎フロンターレ(川崎市)のホームスタジアムだ。
川崎市は、市内の家庭から排出されるごみや太陽光、そこから生まれた電気が、スタジアムやアリーナを動かし、市民一人ひとりの暮らしがスポーツの熱狂につながる「まちの中でエネルギーが循環する仕組み」をスポーツの聖地等々力緑地から発信していく。
川崎市では2050年までに市域の温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指し、再エネの地域循環によるエネルギーの地産地消に取り組んでいる。市域の再エネ利用を拡大するため、市が過半数出資して、2023年に地域エネルギー会社の川崎未来エナジーを設立した。
川崎未来エナジーが供給する実質再エネ電力はこれまでにも、ごみ焼却由来の電力を市内の小中高校や区役所などの公共施設、約300の施設で活用してきた。ヤマト運輸(東京都中央区)の高津千年営業所(川崎市)や、東急ストア(東京都目黒区)の元住店(川崎市)のほか、市役所通りイチョウ並木のライトアップでも川崎産グリーン電力を供給している。
川崎市長の福田 紀彦氏は、今回の取り組みについて、「市内の各家庭の太陽光発電の電力と組み合わせ、暮らしの中から生まれたエネルギーを組み合わせた再生可能エネルギーを、いよいよ川崎が誇る『スポーツの聖地』にも導入する。こういったカーボンニュートラルの取り組みで、都市の価値を上げ、スポーツの価値も上げる」とコメントしている。
等々力緑地は、スポーツ庁と経済産業省が推進する「スタジアム・アリーナ改革」において、地域活性化やまちづくりの核となる「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」に選定されている。スポーツ庁は、「そういった場所で、今般のような取り組みを実施することは、地域としての環境問題への取り組み姿勢を発信するものであり、さらには人々の環境意識の啓発・向上につながると考えている。引き続き、等々力緑地から、全国に向けて環境意識の向上、さらには地域活性化に資する先進的な取り組みが発信されることを期待している」とコメントしている。
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