2026年4月24日
ダイヘン(大阪府大阪市)は4月21日、国内初の消防認定を取得したリチウムイオン電池を採用した非常用電源「防災用蓄電池パッケージ」が、「ジャパン・レジリエンス・アワード2026」において「内閣総理大臣賞」を受賞した。
この製品は、災害時には病院をはじめとする重要施設において、消防設備や避難設備の動力源として機能する一方、平常時には電力需給の調整を担い電力系統の安定化や再エネの普及拡大に貢献する。
ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)は、災害やリスクに強い次世代のレジリエンス社会構築に向けて、先進的に取り組む企業・団体を評価、表彰する制度だ。レジリエンスジャパン推進協議会(東京都千代田区)が主催、2014年11月の創設で、今回は第12回となる。
「防災用蓄電池パッケージ」の受賞ポイントの1つとして、国内に約20万台設置されている非常用電源(主にディーゼル発電機)が蓄電池に置き換わることで、電力系統の安定化や再エネの普及拡大を支える調整力として機能し、将来の国土強靭化に貢献することが期待されることが挙げられている。
非常用電源は、介護施設、病院、工場、商業施設、ビル、公共施設などに約20万台が設置されているが、現在は大半が非常時のみ稼働するディーゼル発電機となっている。
このほか、受賞ポイントとして、下記が挙げられている。
・常用・非常用の双方に対応するリチウムイオン蓄電池として消防認定を取得した国内唯一の製品(2026年4月時点)
・平常時から蓄電池として使用することで、常に稼働状態を維持でき、非常時の不始動や異常停止のリスクを低減できる
・従来のディーゼル発電機と異なり、稼働時の振動や排気ガス(黒煙)、騒音等が発生せず、環境負荷の低減に寄与する
消防法、建築基準法に基づき、病院、ホテル、百貨店など、不特定多数の人が出入りする建物や災害時に避難援助を必要とする人が利用する施設「特定防火対象物」には、非常用電源の設置が義務付けられている。非常用電源は、停電時にスプリンクラーや火災報知器などの消防設備や、非常照明や非常用エレベーターなどの避難設備を稼働させる重要な設備となる。
2025年7月の消防法改正により、常用・非常用兼用のリチウムイオン蓄電池が非常用電源として設置可能となったことを受け、ダイヘンは2025年12月に、リチウムイオン電池を採用した「防災用蓄電池パッケージ」を販売した。
同社は、この製品について、非常時だけでなく平常時の再エネ活用拡大などでも有益で、「低騒音」「振動・排気ガスなし」「電気料金・メンテナンス費用削減」など、蓄電池ならではの価値を多く備え、非常用電源市場の新しい選択肢となると考えている。
「ジャパン・レジリエンス・アワード2026」では、内閣総理大臣賞1件を含む上位賞5件のほか、最優秀賞、優秀賞、優良賞の各賞を決定し、4月21日に授賞式を開催した。
タカラレーベン(東京都千代田区)は、太陽光発電と蓄電池を備えた、防災マンションシステム「MIRARESI(ミラレジ)」で国土強靱化担当大臣賞を受賞した。タカラレーベンは3月、「MIRARESI(ミラレジ)」をマンションブランド「LEBEN(レーベン)」と都市型コンパクトマンション「NEBEL(ネベル)」シリーズなどの新築分譲マンション全物件に対して標準搭載を目指すことを発表している。
林養魚場(福島県西白河郡西郷村)は、「レジリエントな日本の水産業へ向けて、日本初のサーモン循環式陸上養殖」でグランプリ賞を受賞した。同社は、海水を使った陸上循環濾過方式の養殖施設で、国内初となるサケ科魚類の養殖事業を開始している。
2025年12月から販売を開始した同社の「防災用蓄電池パッケージ」は、同社が国内初の消防認定を取得。
仕様は、定格出力が50kW。リチウムイオン電池の蓄電池容量は50kWh(初期公称容量)。騒音値は約75dB(設置条件により対策が必要な場合があり)。一般的なディーゼル発電機の騒音値は約105dB。
製品の特長として同社は、安定・安全な稼働とコストメリットを挙げる。
平常時も活用することで、非常時の不始動や異常停止を未然に防止することができる。また、一般的なディーゼル発電機と比べて低騒音で、振動・排気ガス(黒煙)の発生がなく、稼働時の環境負荷を軽減する。
コストメリットでは、電気料金やメンテナンス費用の削減などにより運用開始後20年間でディーゼル発電機と比較しトータルコストを10%以上削減できると試算している。
電気料金は、平常時に電力のピークカットや、電力量単価が安い時間帯の電気を充電し使用することで削減する。自家消費型の太陽光発電設備を設置する施設では、余剰電力を蓄電池に貯めて使用することで、さらなる電気料金の削減ができ、脱炭素経営にも貢献する。
メンテナンス費用は、ディーゼル発電機で必要となる負荷試験、燃料・オイル・冷却水などの消耗品交換が、蓄電池ではすべて不要なため、大幅削減が可能となる。負荷試験は、実際に発電機を稼働させて消防設備などへの電力供給に問題ないかを確認する試験で、消防法で年一回の実施が義務付けられている。このほか、設置場所や周辺環境により必要となる騒音・振動・排気ガス対策費用が不要となる。
不特定多数の人が出入りする建物や災害時に避難援助を必要とする人(要介護者や障害者、入院患者など)が利用する施設「特定防火対象物」には、消防法、建築基準法に基づき非常用電源の設置が義務づけられている。
非常用電源は、停電時にスプリンクラー、屋内消火栓、火災報知器などの消防用設備や非常照明、排煙装置、非常用エレベーターなどの避難設備を稼働させ、有事の際に人命や財産を守る重要な設備で、使用時には確実に始動することが求められる。
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2026年4月23日
環境省は4月20日、建築物のライフサイクル全体での脱炭素化を促進するため、先導的に低炭素型の建材を活用してZEBを新築する事業を支援する補助事業の公募を開始した。
この事業では、新築業務用建築物において、断熱、空調・給湯、再エネ、蓄電池など「ZEB化設備」と、環境配慮型の鉄・コンクリートの「低炭素型建材」の導入に伴う費用について、合計で最大5億円を補助する。公募期間は5月15日17時まで。
事業名は「令和8年度 低炭素型建材活用新築ZEB支援事業」。「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」のうち、「ライフサイクルカーボン削減型の先導的な新築ZEB支援事業」内の1事業。執行団体は静岡県環境資源協会(静岡市)。
この事業は、新築の業務用建築物(地方公共団体の所有施設と民間業務用建築物など)において、ZEBの実現に必要な省エネ・省CO2性の高いシステムや高性能設備機器などを導入するとともに、ライフサイクルカーボンの算定と削減に係る取り組みに加え、低炭素型の建材を導入する事業を対象とする。
事業の概要は以下の通り。詳細は公募要領などを確認のこと。
環境性能、エネルギー利用、環境性能の表示、ZEBリーディング・オーナーとZEBプランナー、建築物のレジリエンス性、ライフサイクルカーボン、低炭素型建材活用などに関する要件が設けられている。たとえば、次のような要件が挙げられている。
・BEMS装置などの導入により、エネルギーの計量・計測を行い、データを収集・分析・評価できるエネルギー管理体制を整備すること
・建築物の環境性能に関する第三者認証による評価(建築物省エネルギー性能表示制度(BELS))においてZEBのいずれかの省エネルギー性能評価の認証を事業開始後速やかに取得(複数年度事業においては、初年度中に取得すること)すること
・この事業に申請する場合は、ZEBリーディング・オーナーに登録すること。すべての事業についてZEBプランナーが関与する事業であること
・申請時点と事業完了時点において、算定ツールを用いて調達、施工、運用、修繕、解体・廃棄の全ての段階におけるライフサイクルカーボンの算定を行うとともに、ライフサイクルカーボン削減に資する取り組みを行うこと
・GX推進のためのグリーン鉄、または、環境配慮型コンクリートの低炭素型建材を躯体部分に1つ以上導入すること
・再エネ発電設備を設置すること。その発電分は主に自家消費されることを原則とする。一方、対象施設の休日などにより発生した、蓄電池の充電完了後に発電される余剰電力を、一般送配電事業者との個別契約に基づき電気事業者の系統へ連系する(逆潮流する)ことは妨げない。なお、再エネの固定価格買取制度(FIT)などを活用して売電することは認めない。
・この事業で導入する「太陽光発電設備」「蓄電池設備」「太陽光発電設備または蓄電池設備の出力制御を行うBEMS」において、情報処理推進機構(IPA)によるセキュリティ要件適合評価とラベリング制度3(JC-STAR)における適合ラベルが取得できるIoT製品を導入する場合は、★1以上の適合ラベルを取得した製品とする。
また、建築物木材利用促進協定に基づき木材を用いるZEBと、CLT(直交集成板)などの新たな木質材料を用いたZEBについて優先採択枠を設ける。
低炭素型建材のうち、鉄は経済産業省「GX推進のためのグリーン鉄研究会」で定義づけられる「GX推進のためのグリーン鉄」が対象。コンクリートは、高炉セメントC種、高炉セメントC種相当を用いたコンクリート、または製造時のCO2排出量が通常に比べて60%以上削減したコンクリートを対象とした。
それぞれ、低炭素建材であることを証する資料(削減証書等)を添付できることを求めた。CO2排出量を通常と比較する場合は、その算定過程と算定結果をエビデンスとともに資料提出できることとしている。
なお、対象となるのは、躯体(耐力が求められる構造体)に使用されるもので、内装、造作材などへの使用は対象外となる。
面積(申請者別に要件を規定)と用途の要件を満たす業務用建築物を事業の対象とする。
・面積:地方公共団体など(地方独立行政法人、公営企業を含む。ただし都道府県、指定都市、中核市、施行時特例市、特別区を除く)が所有する業務用建築物は面積の要件はない。建築用途が病院などの場合は、都道府県、指定都市、中核市、施行時特例市、特別区も対象となる。それ以外の者が所有する業務用建築物は、建築用途が事務所など以外は延べ面積10,000m2未満に限る。
・用途:その建築物の主たる用途が、事務所、ホテル、百貨店、マーケット、学校、飲食店、図書館、体育館、映画館などの用途に供される業務用施設であること。住宅、工場などは対象外。
補助対象となるのは、要件を満たす断熱、空調・給湯、換気のための設備や、再エネ関連設備、BEMS(自動制御機器含む)などのほか、WEBPRO未評価技術23項目の設備費・工事費と、省エネルギー性能表示に関わる費用。
再エネ関連設備は、再エネ発電設備、再エネ熱利用設備、コージェネ(燃料電池を含む)、蓄電システム、創蓄連携に必要な機器・制御盤(再エネなどにより発電した電力などを蓄え、有効利用するものに限る)を対象としている。
なお、ZEB Ready、ZEB Orientedの事業については、レジリエンス機能に関する加点要件を満たす事業のみ再エネ発電設備、蓄電システムを補助対象とする。ZEB、Nearly ZEBの事業については、上記要件は不要で同設備・システムを補助対象とする。
「太陽光発電設備」は、2026年度に導入する場合は補助対象となり得るが、2027年度以降に導入する場合は設備費の内、太陽光パネル(モジュール・アレイ)は原則として、補助対象外となる。なお、複数年度事業として採択された事業で、2026年度に補助対象として納入(検収・支払を 含む)が完了した太陽光パネルを2027年度以降に設置工事をする場合は、その工事費などは補助対象になり得る。
補助金を申請できるのは、民間企業、個人事業主、各種法人、地方公共団体(都道府県、指定都市、中核市、施行時特例市、特別区を除く。ただし、建物用途が病院などの場合は対象となる)など。補助対象事業の目的に即した機器などを国内の業務用建築物などに導入する者(建築主など)であって日本国内で事業を営んでいる者。
「ZEB化設備」と「低炭素型建材」の合計で上限は5億円。
原則として補助対象経費(ZEB関連経費部分)の次の割合を補助する。
CO2削減量の補助金額に対する費用対効果を求める算定式から算定した補助金額の上限も設けている。また、車載型蓄電池、充放電設備、充電設備については、別途補助額を定めている。
低炭素型建材については、新築建築物のZEB化に関する部分に追加して補助する。具体的には、低炭素型でない従来品と比較したかかり増し経費の1/2を補助する。申請者がGX率先実行宣言を行う場合、補助率は2/3を上限とする。
2026年度予算にて執行される今回の補助事業の実施期間は、原則として交付決定日以降から2026年1月末日まで(単年度事業)。ただし、複数年度事業(国庫債務負担行為の事業)は、補助事業の実施期間を3年度以内とすることができる。
建築物のライフサイクルカーボンの削減を目指す先導的な取り組みを促進するため、2026年度から新たに始めた事業だ。ライフサイクルカーボンは、建築物の構成部材の調達や設備の製造から解体に至るまでのライフサイクル全体において発生する温室効果ガスをいう。
政府は3月、建物の使用時だけでなく、建材製造や施工、解体までの省エネ・省資源・脱炭素の取り組みを評価する「ライフサイクルカーボン評価制度」の創設を盛り込んだ法律案を閣議決定している。
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