2026年6月4日
使用済み事業用太陽光発電パネルのリサイクルを義務付ける「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が5月29日、参議院本会議で可決、成立した。
大量の事業用太陽光発電パネルを廃棄する事業者には、廃棄前の実施計画の届出とリサイクルへの取り組みを求める。届出受理後30日間は原則として撤去・廃棄に着手できないため、発電所の解体やリプレースを計画する事業者には工程管理にも配慮が求められる。
政府は2030年代後半以降に本格化する太陽光発電パネルの大量廃棄を見据え、リサイクル体制の整備を進める。
同法律案では、多量の事業用太陽光発電パネルを廃棄しようとする太陽光発電事業者などに国が定める判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けている。また、費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定する制度を創設し、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を不要とするなどの措置を行う。
主な措置事項は以下の通り。
主務大臣(環境大臣と経済産業大臣)は、太陽電池の廃棄の抑制と事業用太陽電池廃棄物の再資源化などの推進を総合的かつ計画的に図るため基本的な方針を定める。
基本方針では、国や地方公共団体、太陽電池廃棄者など各主体の役割、リサイクル目標、施設整備の促進、費用低減・技術開発などの施策の方向性を提示する。
※廃棄をしようとする事業用太陽電池の重量が政令で定める要件に該当する事業用太陽電池廃棄者
・再資源などのための太陽電池廃棄物の収集・運搬などの事業(太陽電池廃棄物再資源化など事業)を行おうとする者は、当該太陽電池廃棄物再資源化など事業の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認定を受けられる。
・認定事業者は、廃棄物処理法の規定による許可を受けないで、太陽電池廃棄物再資源化など事業を実施できることとし、所要の規定を設ける。
・認定事業者は、廃棄物処理法の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、認定計画に従って行う太陽電池廃棄物(産業廃棄物に限る)の収集もしくは運搬または処分を行わなければならないこととし、所要の規定を設ける。
製造・輸入業者と販売業者に対する措置
太陽電池の製造・輸入業者と販売業者に対して、環境配慮設計の実施や、含有物質に関する情報提供などの措置を講じる。
政府は、太陽電池の排出量の見込み、最終処分場の残余年数、リサイクル費用の状況などを勘案して、必要があるときは、太陽電池の幅広い廃棄に関係する者を対象とした再資源化などの義務付けを検討し、制度を見直す。
使用済み太陽光発電パネルは、現行の廃棄物処理法に基づき適正処理が義務付けられている。再エネ特措法に基づくFIT/FIP制度における事業用太陽光発電設備(10kW以上)には、廃棄など費用の積立制度を措置している。
一方、日本では、2030年代後半以降に廃棄される太陽光発電パネルの量が顕著に増加し、年間最大50万t程度に達すると予想されている。これらをすべて埋立処分した場合には、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生ずる恐れがある。しかし、太陽光発電パネルのリサイクルについては、現時点では埋立費用とリサイクル費用との差額が大きいことや、全国的な処理体制が構築途上であることなどが課題となっている。
同法律案では、こうした状況を踏まえ、社会全体のコストの抑制を図りつつ、リサイクル体制を構築する観点から、最終処分量の減量と資源の有効利用に向けた太陽光発電パネルのリサイクルの推進に関して、所要の措置を実施する。
経済産業省と環境省は1月23日、太陽光発電パネルのリサイクル制度に関する新たな法制度案を公表した。
1月の制度案から4月の閣議決定法案で、制度の方向は変わっておらず、法律として運用できるように定義・責務・手続・施行時期が具体化された。
制度案では、多量の事業用太陽電池廃棄物の排出者に対するリサイクルの取り組みの義務付け、国の認定を受けたリサイクル事業者への廃棄物処理法上の特例措置、製造・輸入・販売事業者による環境配慮設計や情報提供の促進などを柱とする制度の方向性が示されていた。今回成立した法律は、こうした制度案の内容をおおむね引き継いだものとなっている。
制度の実効性を高めるため、政府はリサイクル技術の高度化や処理能力の拡大、収集運搬の効率化などに向けた支援策も進めている。
2025年度に分離処理コストのさらなる低減(2029年度に2,000円/kW以下)を目指した技術開発支援を実施予定である。NEDOの技術開発では、2018年度に分解処理コスト約5,000円/kW以下を達成し、2024年度には大量排出の前提条件の下、分解処理コスト約3,000円/kW以下、資源回収率80%以上を見込む分離技術の開発を完了した。
2025年度補正予算(30億円の内数)、2026年度予算案(約73億円の内数)において、省CO2型の再エネ関連製品などリサイクル高度化設備への補助事業を実施する。現時点で全国の使用済み太陽光発電パネル専用のリサイクル設備の処理能力は約15万t/年であり、排出ピーク(約50万t)に向けて設備の導入促進が必要である。
2025年度補正予算(1億円)および2026年度予算案(36億円の内数)において、使用済み太陽光発電パネルの重量の約6割を占めるガラスの水平リサイクルの技術実証を実施する。
2026年度予算案において、収集運搬効率化の実証(10億円の内数)と保管施設の導入支援(60億円の内数)の経費を計上している。
太陽光発電設備は、現在も廃棄物処理法に基づく適正処理が義務付けられている。関係行政機関が連携して廃棄物処理法を遵守するよう適切に指導し、不適正処理・不法投棄には厳格に対応する。
FIT/FIP制度においては、2022年7月から太陽光発電設備の廃棄など費用について、調達期間などの後半10年間において毎月の買取価格などから差し引く形での外部積立てを求める制度(廃棄など費用積立制度)を措置している。
非FIT/非FIPの太陽光発電設備については、太陽光発電設備特有の放置の実態やそれが公益に与える影響、規制的措置を実施する場合に太陽光発電事業者に生じる事業制約の度合いなどに鑑みながら、引き続き措置の在り方を検討する。
1月23日に開催された中央環境審議会・産業構造審議会合同会議では、委員から制度案に対しておおむね賛同する意見が示された。
一方で、判断基準の具体的内容、多量排出者の対象範囲、非FIT/非FIP事業への対応、リサイクル費用と埋立処分費用の差額が大きい現状での経済合理性の確保、製造業者などへの実効的な措置の在り方などについて、今後さらなる検討が必要との指摘があった。
制度設計の検討過程では、製造業者などにリサイクル費用の負担を求める案も議論されたが、法制上の課題などから制度化は見送られた。
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2026年6月3日
ハンファジャパン(東京都港区)は5月28日、主宰するSDGsパートナーシップ制度「Green Alliance(グリーンアライアンス)」において、神奈川県川崎市が所有・運営する「生田緑地」の東口ビジターセンターに、太陽光発電システム(発電容量4.8kW)および蓄電池(定格容量9.7kWh)を寄贈したと発表した。
年間発電量は約5,600kWh。同センターで消費する電力の約10%が自家消費で賄われることとなる。
この取り組みにより、CO2排出量が約2.2t/年削減されるとともに、年間の電気代は約16万円コストダウンする見通し。また、蓄電池は災害・停電時における非常用電源として機能し、地域の防災力強化およびエネルギーレジリエンスの向上に貢献する。
生田緑地は、1941年に川崎市都市計画緑地第1号として指定された、首都圏を代表する都市緑地の一つ。敷地内の東口ビジターセンターは、生田緑地の来訪者に向けて、地域の自然情報の発信や施設案内、イベント情報などを提供する拠点。同センターへ再エネを導入することにより環境配慮型の施設運営につなげていくという。
グリーンアライアンスは、加盟するパートナー企業と協力し「グリーンアクション」を通じてSDGs実現に貢献するため、ハンファジャパンが2024年に設立。具体的には、太陽光発電システムの寄贈、開発途上国支援、太陽光による電気を電源とするEVやeーBikeを活用した環境関連イベントなどを実施している。
また、自治体やパートナー企業と連携し再生可能エネルギーを「五感で学ぶ」体験型プログラムを用いた児童向け環境教育などにも取り組んでいるほか、社会課題とされる耐用年数の過ぎた太陽光パネルの廃棄・リサイクルにかかる課題についても、全国規模の効率的な回収ネットワークを構築していく展望を持つ。
今回の生田緑地への再エネ設備の寄贈は、グリーンアライアンスと川崎市が2025年8月21日に締結した「太陽光発電の普及拡大および環境教育の推進に関する連携協定」に基づくもの。グリーンアライアンスが展開する「グリーンギフト」プロジェクトの一環で、地域における再生可能エネルギー導入のモデルケースとなることを目指す。なお再エネ発電設備の設置工事は、グリーンアライアンスにパートナー企業として加盟しているゴウダ(大阪府茨木市)が担った。
グリーンアライアンスと川崎市は、この連携協定の締結後、脱炭素社会の実現と環境教育を軸とする取り組みを継続的に実施してきた。2025年11月には同市が主催するイベントで幼児向け環境教育を目的としたワークショップを実施、2026年2月には川崎市環境局が主催する「第2回スキルアップセミナー(太陽光市場のこれまでとこれから)」にグリーンアライアンス事務局が登壇し、業界の課題や知見の共有などを行ってきた。
また、同アライアンスは2025年7月16日に、大阪府とも同様に太陽光発電の普及と環境教育の推進に関する連携協定を締結し、「グリーンギフト」による児童福祉施設や学校教育施設等の再エネ設備導入を実施した。
同年7月14日には宮崎県日向市と太陽光発電設備寄贈契約を締結し、老朽化を理由に建て替えが進められている「日向市総合体育館」に対し、太陽光発電モジュール32枚(出力13.12kW)、パワーコンディショナー2台、ハイブリッド蓄電システム1台を寄贈すると発表した。
ハンファジャパンは、2025年6月12日、「Green Alliance(グリーンアライアンス)」第2期が始動したと発表した。第2期では、38社と連携した第1期の経験を活かし、以下の重点施策に取り組んでいる。
企業や自治体を対象とした太陽光発電システムの無償寄贈プロジェクト「グリーンギフト」の取り組みを拡大する。現在、新たな自治体への導入を検討している。また太陽光パネルに関して、今後の廃棄問題を念頭に、使用済み太陽光パネルの回収から適正処理までを一貫して行うサービスの提供を開始する。リユース可能なパネルは「グリーンギフト」に活用する。
家庭設置の太陽光発電設備によるCO2削減量を、J-クレジットとして創出し売却益の一部を、開発途上国支援プロジェクトのマングローブ植林活動に充当する。マングローブ天然林の植林活動は規模を拡大し、1万本を植林する予定だ。
太陽光発電システム寄贈を契機とした環境教育の推進活動を全国で展開し、次世代を担う子供たちにエネルギーマネジメントやサステナビリティの重要性を体験的に学ぶ機会を提供する。
EVバイクなど持続可能な移動手段に関連するイベント協賛を継続する。
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