2025年5月3日
JTOWER(東京都港区)は4月25日、大型商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと安城」(愛知県安城市)において、インフラシェアリングを活用した4G・5Gの通信環境を整備し、新たに開発した共用装置を運用開始したと発表した。
消費電力を35%削減する独自開発の5G対応の新型共用装置で、今回が初めての運用。全4キャリアに対応しており、環境に配慮した建物内の電波環境整備に貢献する。
同社は、自社の技術開発部門で、携帯キャリアの要求品質を踏まえた共用装置の開発を行っている。2020年に開発した5G対応共用装置は、同年に東京都庁が国内で初めて導入し、その後は累計133物件(2024年12月末時点)への導入実績を持つ。
今回導入したのは、さらに改良を重ね、開発をした新しい共用装置。5G Sub6帯域に対応しており、消費電力を約35%削減を実現するもので、今回が初めての運用となる。
新たな装置の導入では、携帯キャリアとの仕様検討・接続試験、携帯キャリア側での認証取得、携帯キャリアとの運用フロー構築などのプロセスを着実に経ることで、通信インフラの一端を担う高い通信品質を提供するという。
インフラシェアリングは、商業施設やオフィスビルなどにおける携帯電波環境整備において、携帯事業者が個別にアンテナを設置、配線、中継装置の設置など実施していたものを、共用設備を用いて一つにまとめて実施する方法。5G整備が積極的に進められる中、ネットワーク整備の効率化や、設備投資・運用コストの削減、環境配慮の観点から、インフラシェアリングを活用するケースが増えており、今後も市場拡大が見込まれる。
JTOWERは、通信インフラシェアリングの分野においては後発の日本において、世界最先端のインフラシェアリングの整備を目指し2012年に設立した。主な事業は、情報通信インフラの設計・構築、通信関連ソリューションの設計・開発、情報通信サービスの提供を展開している。
なお「三井ショッピングパーク ららぽーと安城」は、大型商業施設で、三井不動産(同・中央区)が2025年4月に開業した。
記事内容へ
2025年5月2日
東京大学は5月1日、丸紅(東京都千代田区)ら企業8社と共同で、「フュージョンシステム設計学」社会連携講座を開設する。丸紅のほかには、Starlight Engine(同・大田区)、京都フュージョニアリング(同)、電源開発(Jパワー/同・中央区)、フジクラ(同・江東区)、古河電気工業(同・千代田区)、日揮(神奈川県横浜市)、他1社が参加する。
フュージョンエネルギーとは、水素などの軽い原子核同士が高温・高圧下で融合して別の重い原子核に変わる際に発生する「核融合エネルギー」のこと。カーボンフリーな上、連鎖反応や爆発のリスク、高レベル放射性廃棄物がなく、脱炭素社会の実現とエネルギー安全保障の観点から早期の実用化が期待される。
近年は世界各地で発電実証に向けた競争が激化。日本においても内閣府主導の下、世界に先駆けて2030年代の発電実証の達成を目指し、Starlight Engineが推進するフュージョンエネルギー発電実証プロジェクト「FAST」などがすでに始まっている。
フュージョンプラントの構成は、閉じ込め方式、用途(試験、商用発電、RI製造、工業用熱源など)、規制法・規格に大きく左右されるが、現在これらの設計を支える学術体系、技術体系は未だ構築段階だという。今後は、フュージョンエネルギーに携わる次世代人材の戦略的な育成が求められる。
今回、東京大学らが開講する社会連携講座では、核融合研究の第一人者である同大学院新領域創成科学研究科の江尻 晶教授を担当教員とし、2025年4月1日に新設した同研究科附属フュージョンエネルギー学際研究センターとともに、フュージョンプラント設計に関する学術の基礎を築く。
また、フュージョンプラントを構成する以下の要素などについて産学連携で進める。
今後は、現在フュージョンに関連する勉学を志している学生とともにフュージョンシステム設計に関する研究を推進し、これらの設計を支える学術体系および技術体系の整備と、フュージョンエネルギーの早期実現を目指す。またフュージョンエネルギー人材を育成し、産業界の発展に貢献していく。
【参考】
記事内容へ