2025年5月15日
商船三井(東京都港区)は5月7日、大型液化CO2船の実用化に向けて、同船に関するCO2ガス拡散を評価する事業者を公募すると発表した。
商船三井は2021年、日本CCS調査(東京都千代田区)が進める新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の一部である、大型液化CO2輸送船の社会実装に関する研究開発を受託した。
日本CCS調査が手がける事業は、年間100万トン規模のCO2を長距離・大量輸送する際のコスト低減化に向けた新たな輸送技術を研究開発するもので、実証試験および関連調査を実施している。商船三井は今回、2025度の大型船社会実装に関する研究開発の一環として、CO2ガス拡散シミュレーション評価の請負業者を募集する。受付期間は5月7日から5月20日まで。
採択された事業者は、2022年度に船舶基本設計を実施した大型液化CO2輸送船を対象に、船体・船上搭載機器・装置をモデル化した3次元ガス拡散計算を用いて、同船と周辺環境への影響を評価する。
具体的な評価項目は以下の通り。
期間は、契約締結日から2026年2月28日までの予定。
商船三井は2021年に、液化CO2船を船舶管理するラルビック・シッピング社(LS社/ノルウェー)に出資し、液化CO2海上輸送事業へ参画した。このほか、米国の石油大手Chevron Corporation(シェブロン)や関西電力(大阪府大阪市)、コスモ石油(東京都港区)、JX石油開発(同・千代田区)と、CCUS・CCS向け液化CO2海上輸送事業に関する協業を開始している。
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2025年5月14日
スズキ(静岡県浜松市)は5月8日、アイゼン(同)および中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)と共同で、「遠州脱炭素プロジェクト」初となるオンサイト・オフサイトPPAサービスを開始したと発表した。
「遠州脱炭素プロジェクト」とは、静岡県の遠州地域に拠点を持つ参画企業が、中部電力ミライズと連携し、太陽光発電の導入量最大化を図るというもので、遠州地域の脱炭素化への貢献を目的としている。
スズキは今回、部品の取引先であるアイゼンとともにプロジェクトに参画し、再エネのシェアに取り組む。
具体的には、アイゼンは静岡県浜松市の小沢渡東工場屋根上スペースに出力約341kWの太陽光パネルを設置する。発電した電気は、中部電力ミライズが提供するオンサイトPPAにより、同工場において自家消費するとともに、休業日などに生じる余剰電力は、中部電力ミライズのオフサイトPPAを活用し、スズキ本社に供給する。年間発電量は約39万kWh(スズキ:約15.1万kWh、アイゼン:約23.9万kWh)の見込み。
太陽光発電所の設置および運営は、中部電力ミライズのグループ会社、シーエナジー(愛知県名古屋市)が手がける。
「遠州脱炭素プロジェクト」では、今回の取り組み同様、参画企業の敷地内に、その企業の電力需要以上の電気を発電する設備を設置し、発電した電気のうち自家消費することができない余剰電力を、その時間帯に電力を消費できる別の参画企業とのマッチングを行い、参画企業内で融通するスキームを採用している。
これにより、遠州地域の電気を「選んで使う」企業は、これまで有効活用できていなかった屋根上などの設置スペースを最大限生かし、遠州地域の電気を「増やす」ことが可能となり、参画企業は、遠州地域の再エネの「追加性」に貢献できるようになる。
3社は今後も、「遠州脱炭素プロジェクト」などを通じて再エネの導入量の最大化と有効活用を実現し、遠州地域の脱炭素化を目指す。
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