2025年5月17日
環境省は5月8日、ソーラーカーポートなど駐車場を活用した太陽光発電設備のほか、定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)、車載型蓄電池、充放電設備、充電設備などの導入を支援する補助金の公募を開始した。公募期間は5月8日から6月5日正午(必着)まで。
この事業では、駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備を導入する事業に対して、対象設備の導入を補助する。
たとえば、補助額は太陽光発電設備が定額で8万円/kW。車載型蓄電池は定額で2万円/kWh。定置用蓄電池は、目標価格以内の場合、補助率が1/3、目標価格を超える場合、業務・産業用が3.9万円/kWh、家庭用が4.1万円/kWh。このほか、充放電設備と充電設備は機器費(補助率1/2または1/3)と設置工事費(定額)を補助する。いずれも上限額が設定されている。
執行団体は、一般社団法人 環境技術普及促進協会(大阪府大阪市)が務める。
事業の詳細は、公募要領などを確認のこと。概要は以下の通り。
駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポートなど)の導入を行う事業であって、以下に示す要件をすべて満たすもの。
(1)駐車場を活用した以下のいずれかの太陽光発電設備を導入すること。
(2)導入設備による発電量の50%以上を導入場所の敷地内で自家消費すること。
(3)パワーコンディショナの最大定格出力の合計が10kW以上であること。また、積載率(太陽光発電モジュール容量÷パワーコンディショナの最大定格出力)は、1以上であること。
(4)停電時に電力供給可能とするシステム構成であること。
(5)事業によって得られる環境価値のうち、需要家に供給を行った電力量にひもづく環境価値を需要家に帰属させるものであること。
(6)再エネ特措法に基づく固定価格買取制度(FIT)の認定またはFIP(Feed in Premium)制度の認定を取得しないこと。
(7)電気事業法に定める接続供給(自己託送)を行わないものであること。
(1)太陽光発電設備
太陽光発電設備(設備タイプ) | 補助対象設備 | |
ソーラーカーポート | 太陽光発電一体型 | 太陽光発電モジュール一体型カーポート、パワーコンディショナなど |
太陽光発電搭載型 | 太陽光発電モジュール、架台、カーポート、 パワーコンディショナなど | |
その他駐車場を活用した太陽光発電設備(充放電設備を導入する場合に限る) | 太陽光発電モジュール、架台、パワーコンディショナ |
(2)太陽光発電設備の受変電設備(太陽光発電設備などの補助対象経費として計上)
(3)定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)
(4)車載型蓄電池(電気自動車・プラグインハイブリッド車。外部給電が可能なもので、通信・制御機器、充放電設備を導入する場合に限る)
(5)車載型蓄電池の充放電設備または充電設備
(6)エネルギーマネジメントシステム(EMS)
家庭用定置用蓄電池、車載型蓄電池、充放電設備、充電設備は、2024年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)における補助対象車両・設備であること。
交付額の算定方法は、公募要領の別表(上限は1億円)に掲載されている。
基準額は、以下の通り。
対象設備 | 基準 | |||||||||||||
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太陽光発電設備 | 定額 8万円/kW×パワーコンディショナの定格出力の合計値(kW) ※太陽光発電設備の補助対象経費のみの費用効率性(CO2を1t削減するのに必要な費用)が地域区分における費用効率性の上限げ設定されている。 |
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定置用蓄電池 | 目標価格以内の場合:補助対象経費×1/3 目標価格を超える場合:
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充放電設備 (公共施設または災害拠点) |
機器費 | 補助率1/2 (上限は最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」) |
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設置工事費 | 定額(上限は95万円/基) | |||||||||||||
充放電設備 (上記以外の施設など) |
機器費 | 補助率1/3 (上限は最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」) |
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設置工事費 | 定額(上限は15万円/基) | |||||||||||||
充電設備 | 機器費 | 補助率1/2(上限は最新のCEV補助金(車両・充電インフラ等導入事業)の「補助対象充電設備型式一覧表」の事業毎の補助金交付上限額) | ||||||||||||
設置工事費 | 定額(上限は最新のCEV補助金(車両・充電インフラ等導入事業)の「事業毎の設置工事に係る補助金交付上限額」) |
補助事業期間は単年度。実施期間は、交付決定を受けた日から2026年1月31日まで。
民間事業者・団体など
事業名は、設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業のうち、建物等における太陽光発電の新たな設置手法活用事業。2024年度(補正予算)と2025年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)の事業のひとつ。
2次公募を6月25日から7月15日正午(必着)まで実施する予定。なお、1次公募で予算額に達した場合は、2次公募を実施しないことがある。
【参考】
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2025年5月16日
ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE/東京都港区)とエクソル(同)は5月8日、複数の発電所を同時並行的に開発・建設することで大規模な発電容量を確保する「バルクスキーム」での低圧太陽光発電所の開発で協業すると発表した。
第1弾として中部エリアにて、2026年までに50件・合計設備容量5MW規模の発電所を順次着工・建設し、2026年中にすべての発電所の運転開始を予定している。
この協業では、エクソルが開発・建設した太陽光発電所をEREグループが譲り受ける。
オフサイトコーポレートPPAに対するニーズが高まる一方で、国内における大規模な太陽光発電所の適地は減少している。低圧太陽光発電所については年間約1,200件、17MWの建設実績(屋根上含む)があるエクソルと、発電所開発に加え蓄電池活用やコーポレートPPA(電力購入契約)による売電に強みを持つEREグループが協働することで、開発難易度が高まる事業環境の中でもスピード感を持って発電所の開発を進めていく。
EREは、ENEOSグループで、再エネ発電事業を手がけている。
たとえば、EREは2024年5月、西日本旅客鉄道(JR西日本/大阪府大阪市)と関西電力(大阪府大阪市)と、コーポレートPPAを締結。このPPAでは、EREは発電事業者として関西エリアにおいて開発・運営する合計約1万8000kW規模の太陽光発電所からの電力を関西電力に供給し、関西電力は小売電気事業者としてJR西日本に再エネ由来の電力を供給する。JR西日本は購入した電力を山陽新幹線(新大阪駅~岡山駅間)の列車運転のために使用し、CO2排出量を削減する。また、EREは2024年8月、AmazonとコーポレートPPAを締結している。
さらに、EREは2024年6月に、WAKO(広島県広島市)、ALLアセットパートナーズ(AAP/広島県広島市)と中国・四国エリアにおいて、バルクスキームでの高圧太陽光発電所の開発で協業を開始すると発表した。WAKOグループが開発・建設した太陽光発電所をFIP転換したうえでEREが譲り受け、AAPがO&Mを担う。2027年中に88件49MW規模の発電所の運転を開始する予定で、この事業の発電所で発電した電力は将来的にオフサイトコーポレートPPAによって需要家へ提供する計画だ。
また同年12月、H.Eエナジー(北海道札幌市)と、東北エリアでバルクスキームでの低圧太陽光発電所の開発で協業を開始すると発表した。H.Eエナジーが開発・建設した太陽光発電所をEREグループが譲り受け、運営管理はH.Eエナジーが担う。2025年までに50件・設備容量5MW規模の発電所建設に順次着工し、2025年中の運転開始を予定している。
エクソルは、太陽光発電事業の専業企業として、太陽光発電システムの設計・建設・メンテナンスを全国に提供している。エクソルには、オフサイトコーポレートPPAに関する相談が多く寄せられている。
再エネ導入に積極的な企業が増えたことで、「コーポレートPPA」の導入が広がっている。なかでも、需要家の施設とは異なる場所に設置された太陽光発電所で発電された電力を、一般の送電網を通じて供給するオフサイトコーポレートPPAが、自社に設備を持たずに再エネを導入できる手段として注目されている。そのため、FIT(固定価格買取制度)に頼らず、発電した電力を市場や需要家に直接供給する野立てのNonFIT型低圧太陽光発電所の建設が活発になっている。
エクソルは、全国のEPCとネットワークを形成し、工事仕様、設計思想など、日本全国の「太陽光発電所品質の統一化」を行い、「品質の良い発電所」の建設を進めている。このようにして建設された太陽光発電所を集約し、小売り電気事業者を通じて欲しい所に欲しいだけ再エネの提供を可能にする「オーダーメイドPV開発サービス」を展開している。今後も、全国の需要家や発電事業者のニーズに応えられるサービスを充実させていく。
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