2025年11月25日
ファーストリテイリング(山口県山口市)は11月19日に、サプライチェーン(スコープ3)における2030年度のGHG排出量削減目標を、「従来の2019年土比20%削減」から「同30%削減」に引き上げると発表した。生産パートナーとの協業による効率化などにより、当初目標を前倒しで達成できる見込みとなったためだと説明している。
同社では、サプライチェーンにおけるGHG排出量を、同社ブランド「ユニクロ」「ジーユー」商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量と位置付け、削減に向けた取り組みを推進。2024年8月期までに18.6%削減を実現した。
具体的な進捗としては、
・自社領域(店舗・主要オフィス)におけるGHG排出量:「2030年8月期までに90%削減する」という目標に対 し、2024年8月期時点(以下同)で、2019年度比83.3%削減を達成
・再エネの調達比率:「2030年8月期までに100%達成」に対し、84.7%に上昇
・リサイクル素材などGHG排出量が少ない素材の使用割合:「2030年8月期までに全使用素材の約50%」という目標に対し、19.4%を達成
などが確認されている。
こうした各種取り組みの着実な進捗を踏まえ、今回2030年8月期までの削減目標を30%に上方修正した。同社は今後も、石炭使用量削減や再エネへの切り替えのさらなる推進、GHG排出量の少ない素材の使用拡大、工事におけるエネルギー効率改善などを進めていく方針。
同社取締役 グループ上席執行役員 柳井 康治氏は、今回の成果について、「生産パートナーとの緊密な協働により、サプライチェーンのGHG排出量削減が計画を上回るペースで進捗し、目標の引き上げにつながった」と説明。また「これからも、LifeWearを軸に、社会の持続的な発展に貢献できる新たなビジネスモデルを追求していく」と意欲を示す。
なお、新目標は、科学的知見と整合した目標として、Science Based Targetsイニシアティブより認定されている。
GHG削減の新目標は、同社の新ビジョン「LifeWear=新しい産業」に関するメディア・アナリスト説明会にて発表されたもので、併せて、豪州でのトレーサービリティの新プロジェクトやサステナビリティの主要領域における2030年度目標に向けた進捗、生産現場における取引先工場とのパートナーシップの実践についての紹介があった。
豪州のプロジェクトは、同社が進める、最終商品から原材料調達レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、品質や調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を全行程に適用する施策の一環で、ウールを指定農場から調達するという取り組みを2025年に開始した。
同国ではこれまでも、2023年に綿商品を対象に紡績工場を特定し、定期監査を導入。2024年にはカシミヤ100%商品の生産に携わるサプライヤーを特定し、「2024年秋冬商品」から、洗毛工場および紡績工場への定期トレーサビリティ監査を導入している。
同社は今後も、「LifeWear」の考え方の下、持続可能性と事業の成長を両立する新たなビジネスモデルへの転換を進めていく。
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2025年11月24日
マクニカ(神奈川県横浜市)は11月19日、タイで、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の亜熱帯環境下における世界初の実証事業を開始したと発表した。高温・高湿、大気汚染(PM2.5)など厳しい亜熱帯環境下において、PSCがどの程度性能を維持できるか、耐久性と発電性能を検証する。実証は、タイの再エネ企業SENA Green Energy Company Limitedと共同で行う。
なお、同事業は、環境省の「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業」に採択されており、同制度を活用し、日本からタイへの優れた脱炭素技術の普及を目指す。
PSCは、「軽い・薄い・曲がる」といった特性を活かし、これまで太陽光パネルの設置が難しかった建物の壁面などへの設置を可能にする。その一方で、熱や湿気、紫外線などの影響を受けやすく、亜熱帯環境下での性能検証が求められていた。今回の実証が行われるタイはこれまでPSCの導入実績がなく、また現地の電気規格に適合するシステムがないことも検討事項であった。
そこで、同社は今回、高温・湿潤な環境下でのPSC適合性を検証する。さらに、現地における運用からメンテナンスまでの一貫した実施体制を確立し、継続的なCO2排出削減に寄与することを実証することで、タイをはじめとする東南アジアでのPSC普及促進を目指す。
取り組みは、2024年度からすでに始まっており、現地での電気規格調査や現地規格に適合するシステムの構築および稼働検証が完了。SENA社保有の住宅屋上にPSCを8枚設置し、初期的な評価も実施済みである。
2025年度は、本格的な実証と運用体制の確立を進める。今後は、屋根だけでなく、住宅の壁を含め全方位にPSC約60枚を設置し、亜熱帯仕様(高温多湿かつ多量な紫外線)および大気汚染(PM2.5)された環境での耐久性と発電性能を検証。またPSCをIoT機器と接続し、出力をモニタリングすることで、メンテナンス体制の確立も実証する。
実証において、マクニカは、実証向けPSCの開発・提供や実証環境のシステム構築・技術的指導、性能モニタリング・データ収集・解析を行う。SENA社は、タイ王国内のPSC実証環境の提供とともに、実証環境での設置工事。性能モニタリングを担当する。
実証期間は、2025年10月中旬から2026年2月中旬まで。
同実証は、環境省の2024年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業」に採択されたことを受け実施するもの。期間は2024年度からの3年間。実施に向けては、PSCの発明者である桐蔭横浜大学の宮坂 力特任教授の指導の下、マクニカは代表事業者として、共同実施者であるSENA社と2社で推進している。
マクニカホールディングス 執行役員兼マクニカ イノベーション戦略事業本部 本部長の佐藤 篤志氏は、「今回の実証事業はその目標に向けた記念すべき第一歩であり、今後はペロブスカイト太陽電池を用いた自家発電・自家消費を広く普及させていきたい」と述べた。
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