2025年5月23日
東京電力エナジーパートナー(東京都中央区)は4月23日、家庭用エコキュートを遠隔制御し、電力需要を調整するデマンドレスポンス(DR)の実証実験を開始した。顧客側の機器操作を必要とせず、クラウドサービスを通じてエコキュートを遠隔制御することで需要シフトを実施するもので、電力調整力の創出や経済的効果を検証する。
同実証では、三菱電機(東京都千代田区)およびダイキン工業(大阪府大阪市)製のエコキュートを使用する。エナジーゲートウェイ(EG/東京都港区)が策定する制御計画に基づき、三菱電機およびダイキンのクラウドサービスを通じてエコキュートを遠隔制御し、調整力の創出量などを検証する。
同実証に協力するモニターを募集し、約150件が参加する。実証期間は、6月30日までを予定している。
具体的な検証項目は以下の通り。
近年、太陽光発電など再生可能エネルギーの導入が進み、昼間に電力の供給量が需要を上回る傾向が強まっている。このため、電力需要の時間的なシフトや創出が必要になっている。
同社は、2024年度、通常夜間に行うエコキュートの沸き上げを昼間時間帯にシフトする「エコキュート昼シフトチャレンジ」を実施。約3万件の顧客が参加し、エコキュートを使用した需要シフトが調整力の創出に一定程度有効であることを確認した。
これまでは顧客が機器を操作することで需要シフトを実施したが、今回の実証では、遠隔操作によってエコキュートを制御し、昼間時間帯において、調整力を創出することを目指す。
同社は、2024年6月から「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」において、家庭用蓄電池を遠隔操作で制御し、東電EP独自のポイント「くらしTEPCOポイント」を進呈するプログラムを展開しているが、今後、エコキュートも対象機器に追加することを検討しているという。
今回の実証を通じて得られた知見をもとに、再生可能エネルギーの有効活用、電力の安定供給、新たなご家庭向けのデマンドレスポンスサービスの検討を進め、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。
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2025年5月22日
三浦工業(東京都港区)は5月15日、愛媛県、四国電力(香川県高松市)、愛媛大学と取り組んでいる「水素サプライチェーンモデル構築プロジェクト」の一環として、愛媛県松山市の北条工場内に水素燃料ボイラーを設置し、運用を開始したと発表した。四国電力が製造した水素を活用し実証運転を行う。
水素燃料ボイラー(AN-250)は、北条工場内の食堂棟横に設置された。運用方法としては、四国電力が松山太陽光発電所で発電された電力を利用し、水を電気分解することでグリーン水素を製造。圧縮した水素を水素カードル(300Nm3)に充填する。
生成した水素は、ボイラーの燃料に用いて、発生した蒸気を既存のガス焚きボイラーの蒸気配管に接続し、食堂での調理や給湯、食器洗浄などの熱源として利用する。従来のガス焚きボイラーと併用することで、CO2排出量削減につながるとしている。
三浦工業は2023年3月、愛媛県および四国電力と、四国初の「水素サプライチェーンモデル構築プロジェクト事業」事業実施に向けた連携協定を締結した。同事業は愛媛県内での水素関連産業の発掘・育成、水素エネルギーの使途拡大・エネルギー転換促進を目的としている。2024年度には、電熱併給型e-Fuel製造技術の開発に取り組む愛媛大学が加わった。3月には、松山太陽光発電所の構内に、グリーン水素製造実証システムが竣工した。同システムは1日当たり30Nm3の水素生産が可能で、今後は愛媛県内の工場を中心に供給し、水素サプライチェーン構築を目指すという。
三浦工業は2月、キリンビール(東京都中野区)などと、ビール製造工程にグリーン水素由来蒸気を活用する実証事業を開始すると明かした。2026年6月には実証事業を始め、グリーン水素へのエネルギー転換におけるGHG排出量削減効果や技術的な課題を検証するとしている。
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