2025年6月13日
Sungrow Japan(サングロウ/東京都中央区)は6月10日、北海道札幌市で進められている国内最大規模の系統用蓄電所開発において、東芝エネルギーシステムズ(神奈川県川崎市)から蓄電池システムを受注したと発表した。
同蓄電所は、「SGET札幌1蓄電所」「SGET札幌2蓄電所」で構成される。
2施設合計の出力は100MW、容量は351MWh。2028年4月の稼働開始を目指している。
サングロウが提供する蓄電池システム「PowerTitan2.0」は、横並びや背合わせ設置など柔軟なレイアウト設計に対応するとともに、過電流による故障や火災を防ぐための3段階の保護機能や熱暴走防止機能などを備える。
今回の採用により、サングロウは日本国内における系統用蓄電システムの受注量は累計1.2GWhを突破した。
このプロジェクトは、スパークス・グループ(東京都港区)、JA三井リース(同・中央区)、関西電力(大阪府大阪市)が共同出資する特別目的会社(SPC)が主体となり進めているもの。
東芝エネルギーシステムズは3月、SGET蓄電所2施設開発において、蓄電池の調達を含む定置型蓄電池システム建設プロジェクト一式を受注した。
系統用蓄電所は、送電網や発電所の電力系統に直接接続する大規模な蓄電設備。
電力の余剰時には充電を行い不足時には放電を行うことで、季節や天候により発電量が大きく変動する再エネを管理し、電力の安定供給や需給調整を担う。
2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、再エネの比率を2023年度の22.9%(速報値)から2040年度に4、5割とする方針が示された。
系統用蓄電池の導入は今後さらに加速する見込みで、経産省は2030年には2024年の約10倍となる容量累計23.8GWhに達すると試算している。
記事内容へ
2025年6月12日
日本の官民が水素やアンモニアといった化石燃料の低炭素化につながる燃料の導入に向け、本格的に動き始めた。
日本は電源の約7割が化石燃料を多用する火力発電であり、脱炭素に向けてまず「低炭素」をめざす戦略だ。
だが、アンモニアや水素はコストの問題に加え、化石燃料温存との批判が強い。
日本の「化石大国」返上は可能だろうか。
政府は石炭や石油といった化石燃料の代替燃料として、水素とアンモニアの事業拡大を目指している。
水素の導入拡大で「化石燃料に十分な競争力を有する水準となることを目指す」とし、質量、価格ともにガス火力並み、つまり石炭や石油に代わる水準での普及拡大を想定。
2023年には電源構成のうち1%程度を水素・アンモニアとする目標を掲げる。
水素については2030年に国内導入量最大300万トン程度、2050年に2000万トン程度を目標に設定した。
水素の活用によって、どんな利点があるのだろうか。
将来的に水素を使った低炭素の火力発電が普及することで、価格も安定しやすくなる可能性があるという。
仮にコスト低減が実現した場合、家庭電力料金に換算すると年間で約8600円相当の支出抑制効果があると経済産業省は試算する。
普及を加速させるため、日本は水素関連技術を磨いて国際競争力を強化。
水素発電タービンの実証支援、定置用燃料電池の発電効率や耐久性向上のための研究開発に取り組む。
燃料電池(FC)トラックの商用化の加速に向けた実証実験に加え、輸送・貯蔵技術の早期商用化とコスト低減の両立を目指す。
水素輸送関連設備の大型化、水素輸送関連機器の国際標準化、水電解装置のコスト低下に向けた取り組みや技術支援なども将来に向けた有力な政策であり、民間企業も水素関連の事業化を加速させている。
水素と並んで政府が期待をかける低炭素燃料が、アンモニアである。
火力混焼用の発電用バーナーに関する技術開発を進め、2030年までに石炭火力にアンモニアを20%混焼させるなど導入を拡大。
2050年までに混焼率50%達成を目標にする。アンモニアも水素と同様、コスト低減が実現すれば低炭素かつ安定した火力発電を提供できる可能性がある。
燃料アンモニアについては、いかに低コストで供給できる体制を構築するかが今後のカギを握る。
コスト低減のための技術開発やファイナンス支援を強化するほか、国際標準化や混焼技術の開発を通じて、東南アジアマーケットへの輸出を促進。
東南アジアの石炭火力に混焼技術を導入し、約5,000億円規模とされる燃料アンモニア市場の獲得を目指す。
記事内容へ