2026年4月21日
東京ガス(東京都港区)は4月16日、系統用蓄電池事業の目標を上方修正し、2030年代前半に運用設備容量200万kW規模を目指す方針を明らかにした。泓德能源科技日本(HDRE/東京都千代田区)と、青森県内2カ所の系統用蓄電所における最適運用サービス契約を受け、運用予定の系統用蓄電池容量が累計95.5万kWに到達。本格参入から2年で、2030年度・100万kW目標を前倒しで達成する見込みとなった。
泓德能源科技日本は、台湾の電力サービス事業者・泓德能源科技グループの日本法人。同社は、4月16日に青森県内2カ所の系統用蓄電所に関して、東京ガスと最適運用サービス契約を締結した。
青森八戸蓄電所(青森県八戸市)の出力は9.9万kW、青森十和田蓄電所(青森県十和田市)は5.0万kWで、合計出力は約14.9万kW。いずれも長期脱炭素電源オークション(LTDA)に採択された案件で、2029年度に商業運転を開始する予定。開発・建設はHDREが担い、運転開始後の運用は東京ガスが担当する。
同事業では、LTDAによる安定的な収益基盤を確保するとともに、卸電力市場と需給調整市場への参加を通じて最適な運用を行う。これにより、系統用蓄電池プロジェクトの価値最大化を図る。
東京ガスは2024年4月に、系統用蓄電池事業へ本格参入を表明。当初、2030年度における運用設備規模80万kW、および2028年度における高圧系統用蓄電池の最適運用サービスによる運用設備規模20万kWを目標としていた。
同社は、系統用蓄電所の活用拡大に向けては、
(1)自社開発
(2)オフテイク契約による他社蓄電所の利用権獲得
(3)最適運用サービス
の3つの手法を展開。蓄電池容量を着実に積み上げている 。
なお、最適運用サービスは、事業ブランド「IGNITURE(イグニチャー)」のソリューションとして提供しているサービス。2025年3月に系統用蓄電池で、同年12月には高圧系統用蓄電池で、開始している。
HDREは、東京ガスと、蓄電池事業に関する協業を開始した。青森県内2カ所の契約に加え、オフテイク契約の枠組みで、宮崎県日向市・岩手県八幡平市・宮城県仙台市・福島県相馬市の系統用蓄電所についても契約を締結した。これら4カ所の容量は約19万kWで、青森の案件を含めた協業規模は合計約34万kWに達する。
同スキームでは、東京ガスが蓄電所の使用権を取得し、約20年間にわたり利用料を支払うもので、安定的な収益確保と資産価値の最大化を図るモデルと位置付けられている。
HDREは日本において、再エネと系統用蓄電池を合わせて約3GW規模の開発を推進し、開発から電力取引、アセットマネジメントを一体的に展開している。
蓄電池事業では、LTDAと電力市場を組み合わせた戦略を採用し、過去2年間で累計約40万kWを獲得。20年間の支援制度の適用を受けており、2026年には新たに80万kW規模の入札を見込む。北海道のHelios系統用蓄電池(出力5万kW)はすでに運用段階にあり、日本卸電力取引所(JEPX)での電力取引に参入。2028年には容量市場への参加も予定している。
また、グループ会社の星星電力日本(東京都千代田区)を通じて、AI価格予測を活用した電力取引事業も展開。中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)との連携や三菱電機(東京都千代田区)・Looop(同・台東区)との合弁会社の設立により、アグリゲーションおよび小売電力事業を強化している。
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2026年4月20日
パナソニック(大阪府門真市)は、中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)と共同で、電力需給の最適化に向けて、冷蔵庫の稼働を自動で制御する「デマンドレスポンス(DR)自動運転サービス」を開発、4月15日より申込受付を開始した。
このサービスは、電力会社の要請に応じて電力使用を抑制する「下げDR」と、使用を増やす「上げDR」の双方に自動対応するもので、両社によると日本初の取り組みとなる。
太陽光や風力など、季節や天候で発電量が変動する再エネの利用拡大に向けて、電力需給バランスを調整するDRの重要性が高まっている。こうした中、パナソニックは、家庭内での消費電力量の割合が高く、かつ常時通電している冷蔵庫に着目。中部電力ミライズと、2024年に冷蔵庫をDR制御する共同実証を実施した結果を踏まえ、電力会社からの要請に応じて稼働を自動制御するDR機能搭載の冷蔵庫を開発した。
中部電力ミライズは、新たに、このDR機能搭載の冷蔵庫に対応したDRサービス「NACHARGE Link KADEN(ネイチャージリンク カデン)」の提供を開始する。このサービスを利用すると、庫内の食品への影響を抑えながら、中部電力ミライズからのDR要請に応じて冷蔵庫の稼働状況を自動制御、無理なく電力需給の調整に貢献できる。また、サービス利用者には、DRの貢献量に応じたポイントが進呈される。
具体的には、専用のスマートフォンアプリで冷蔵庫が賢く電気を使う「DRモード」に設定すると、パナソニックのクラウドサーバーが中部電力ミライズからのDR要請を受信すると、アプリを介して冷蔵庫へDR運転信号を送信。信号を受信した冷蔵庫は、要請内容に応じた準備運転を行い、庫内の食品への影響を抑えながら要請時間になるとDR自動運転を行う。
下げDRでは、要請を受けると、事前に庫内を冷やすことで要請時間にコンプレッサーを停止して電力使用を抑制する。上げDRでは、扉の開閉が少ない夜間などに実施するケースが多い霜取り運転の実施タイミングをシフトさせて、要請時間に電力を使用する。
このサービスでは、DR要請時間の開始・終了を、冷蔵庫が音で通知する「DRお知らせ機能」を搭載する。この機能により家族の誰もがDR要請時間中であることを認識しやすくなり、家庭内での自主的な行動を促すきっかけになることが期待される。
両社による共同実証では、被験者の7割が「お知らせ機能が、他のDR要請に応える行動につながった」と回答し、下げDR・上げDRの双方で行動変容が確認されている。
中部電力ミライズが提供するDRサービスに申し込みすると、DR要請に対する電力使用量の変化(直近の平均使用量との差)を貢献量としてポイント化。ポイントは1カ月単位で集計し、翌月上旬にまとめて進呈される。成果を見える形で還元し、DRへの継続的な参加を後押しする。
従来の家庭向けDRは、「通知を受けて、その都度行動する必要がある」「やり方がわからない」「忙しくて対応できない」など生活者の手間が多く、継続的な参加が課題となっていた。
パナソニックは、ノンフロン冷媒をいち早く実用化したほか、コンプレッサーと断熱技術、温度制御技術の進化を通じて省エネ性能を追求し、冷蔵庫の環境負荷低減に取り組んできた。今後も、より良いくらしと持続可能な社会の実現に貢献するため、ライフスタイルの変化を先取りする価値提案と高品位なモノづくりに取り組んでいく。
パナソニックの社内分社・くらしアプライアンス社(東京都品川区)と中部ミライズは、2024年12月10日、家電機器を自動でデマンドレスポンス(DR)制御する実証実験を行い、その結果を公表した。
家電の中でも常時稼働し年間を通じてDRに対応できるものの、ユーザーによるアクションが困難とされる「冷蔵庫」にDR機能を搭載し検証を行った。
具体的には、中部電力ミライズからのDR要請をユーザーのスマホアプリに通知。ユーザーはアプリを使い予約することで、冷蔵庫の下げDR運転・上げDR運転を自動化した。期間中、計114回のDRを実行したが、下げDR・上げDRともに、前日の通知に対してユーザー自身が考えてアクションする世帯と比べて、DR要請に対する貢献量が向上する結果が得られたことが確認された。
また、アプリや冷蔵庫のアラーム音による定期的な通知により、DR要請を思い出し、他の家電機器に対してもアクションするなどユーザーの行動変容につながったと報告している。
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