2025年8月7日
住友電気工業(大阪府大阪市)は8月1日、住友電装グループのSWS西日本(同・松阪市)の松坂工場に、住友電工製レドックスフロー電池(RF電池)やエネマネシステム「sEMSA(セムザ)」を導入したと発表した。これにより、同工場は、住友電工グループ初のネットゼロ工場となった。
住友電工グループでは、「年間のGHG排出量がゼロ以下かつ省エネ・創エネを規範となるレベルで進めている工場」を、ネットゼロ工場と定義している。
SWS西日本松坂工場のネットゼロ工場化に向けては、工場屋根に出力450kWの太陽光パネルを設置するとともに、太陽光発電所による再エネを活用したオフサイトPPAを導入した。また、工場における電力使用量と発電量のバランスを維持するため、住友電工の独自技術「sEMSA」を用いて、RF電池による充放電を最適制御し、余剰電力を住友電装の四日市製作所に託送している。
「sEMSA」とは、「Sumitomo Energy Management System Architecture」の略称で、住友電工独自のアーキテクチャを搭載したエネマネシステムのこと。
同システムを導入することで、導入企業は、太陽光発電やコジェネシステム、蓄電池などの分散電源を最適制御し、電力コストを低減できる。また、アグリゲーターなどの電力サービス事業者は、需要家を束ねエネルギーを一括管理することで、バーチャルパワープラント(VPP)などで電力需要を調整し対価が得られるシステムの構築も可能だという。
住友電工グループは、2030年度までのGHG排出量削減目標として、2018年度対比でスコープ1・2を30%削減、スコープ3に関しては15%削減を掲げ、再エネ導入などに注力している。今回の取り組みもこの一環である。
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2025年8月6日
本田技研工業(ホンダ/東京都港区)は8月1日、トクヤマ(同・千代田区)、三菱商事(同)とともに、山口県周南市で、副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用したデータセンター(DC)向けの実証を開始したと発表した。
実証では、副生水素を活用した定置用燃料電池電源や系統からの電力、定置型蓄電池(BESS)、再エネといった複数の電力を組み合わせ、高効率かつ最適な電力構成や運用パターンに基づく検証を行う。期間は2025年8月から2026年3月までの予定。
具体的には、山口県周南市の実証サイトにて、トクヤマが⾷塩電解事業で製造する副⽣⽔素を活⽤し、ホンダが燃料電池自動⾞(FCV)からのリユースを想定して開発する定置用燃料電池電源から、三菱商事が運⽤する分散型データセンターに電⼒を供給する。
非常用電源での活用に加え、系統電力から切り離した常用電源としての利用や電力系統のピークシェービング、系統への電力供給といった電力需給調整力を目的とした使用など、さまざまな運用パターンをエネルギーマネジメントシステム(EMS)で切り替えながら実証を行う。
ホンダらは実証を通じて、⾞載⽤燃料電池の定置用燃料電池電源へのリユースの可能性や今後普及が⾒込まれる燃料電池の活用方法を見出し、定置用燃料電池電源の導⼊や運⽤にかかる企業の経済的負担軽減や電⼒の脱炭素化を⽬指す。
また、分散型データセンターの電源として、低炭素で安定受給できる副⽣⽔素とリユースを想定した燃料電池を活⽤することで、AIの活用などにより高まるデータ処理ニーズに応え、DCのGXや⾃治体・地元企業のDX推進を支援していく。
なお、同実証は、2023年6月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/地域モデル構築技術開発」事業に採択され、3社で実証開始に向け検討、準備を重ねてきたもの。
実証に使用する定置用燃料電池電源は、ホンダの燃料電池自動車「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」にも搭載されている燃料電池を活用したもので、工場や事業所などの大型施設向けに水素由来のクリーン電力を供給する役割を担う。
最大出力消費電力量は、導入先のニーズに合わせた調整が可能。起動から10秒以内に電力供給を開始し、非常時においても信頼性の高いバックアップ電力を迅速に提供する。また冷却システムや内部レイアウトを最適化することで、コンパクトサイズを実現している。
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