2025年8月13日
三菱重工業(東京都千代田区)は2月3日、グループが手がける製品・サービス・技術のうち、カーボンニュートラルやDXなどの社会課題解決に貢献する革新的な製品・サービスなど21件を表彰した。
同社は2003年から、社会課題の解決につながる製品とサービスの開発・実用化に関わる取り組みなどを顕彰するグループ表彰制度「Best Innovation」を毎年実施している。今年度は、地球環境負荷低減に貢献する案件として13件が採択された。
三菱重工は2015年、沖縄電力(沖縄県浦添市)が保有する「吉の浦マルチガスタービン発電所」のガスタービン発電設備に対し、水素の流量を制御しながら燃料ガスへ混合させるためのプラント設備の追設や制御ロジック改造などを行い、同社製ガスタービンが採用された商用発電設備において、水素混焼運転(体積比30%規模)に成功した。
同社製ガスタービンが採用された商用発電設備における水素混焼は今回が初めてで、今後はこの実績を足がかりに、ガスタービン事業の拡大を図る。
三菱重工は今回、同社初となる再熱形循環流動層ボイラー、減速反動式蒸気タービンを採用したプラントを開発した。
気象変動に左右されず、大容量で安定したベース電源を担える点に特徴があり、50MW級の場合、石炭焚き発電プラントと比べて、1基当たり年間約30万トンのCO2を削減する。
また、導入拡大に向けては、標準設計を採用し、複数の顧客ニーズに合致する製品を同時並行で提案できる体制を整えた。これまでに6件(総出力約320MW)の建設工事を受注、4プラントはすでに商用運転を開始した。残りの2プラントも2025年4月までに商用運転開始する予定だ。全6件が稼働することで、年間200万トン以上のCO2削減が期待できるという。
三菱重工サーマルシステムズ(東京都千代田区)は、地球温暖化係数(GWP)が1未満となる環境負荷が極めて低いカーエアコン用冷媒「HFO-1234yf」をターボ冷凍機として世界で初めて採用した。
従来機からのリプレースが可能で、冷媒漏洩時の環境負荷を99.9%低減(CO2換算値)できるるほか、急激な電力需要が見込まれる大規模データセンターの要求性能(2500~3000US冷凍トン)に見合った能力を有する。
なお、同製品は令和6年度「気候変動アクション環境大臣表彰」を受賞した。
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2025年8月12日
日立製作所(東京都千代田区)は8月6日、同社の系統用蓄電システムを活用した「松山蓄電所」が商業運転を開始したと明かした。日立グループが国内向けに同システムを納入するのは今回が初めて。
稼働を開始した「松山蓄電所」は、四国電力(香川県高松市)とCHC Japan(東京都千代田区)が共同で設立した事業会社、松山みかんエナジー合同会社(愛媛県松山市)が発注した。定格出力は12MW、定格容量は35.8MWh。
導入した日立の系統用蓄電システムは、スイスチューリッヒに本社を置く日立エナジーの電力変換ソリューションを活用する。同ソリューションを用いることで、電力需給バランスに合わせた効率的な蓄電・放電のほか、高品質な電力を提供するための管理システムや再エネの出力変動に応じた調整力の供給が可能になるという。
なお、今回の開発は、設計から調達、施工、試験に至るまで、日立グループが一括で手がけた。建設では、日立製作所が電力会社向けの系統安定化や蓄電システムの豊富な経験を活かし、要件定義や初期設計、プロジェクト全体の管理を担当。日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)は変電設備の提供と蓄電所全体の据付工事を、日立エナジーは電力変換ソリューションの提供に加え、試運転業務も担当した。
分散型エネルギー源向けに開発した電力変換ソリューション。導入企業は、持続可能性の目標達成やCO2排出量削減、再エネ貯蔵量の増加 、 電力グリッドの信頼性と回復力向上 などが期待できる。現在、5大陸で6GWが稼働、8.5GWh以上が設置済みまたは建設中である。
今回のプロジェクトは、電力変換システム(PCS)、発電所コントローラー(PPC)、太陽光発電用インバーター(PVI)、太陽光発電と蓄電池を直流で連携する先進マルチポートインバータ(AMPS)などで構成される。
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