2025年7月3日
大阪ガス(大阪府大阪市)は6月27日、JFEエンジニアリング(神奈川県横浜市)と共同で、ケミカルルーピング燃焼技術を用いてバイオマスや有機廃液などから電力・水素・CO2を同時に製造するプロセスの実証試験を開始すると発表した。
この技術を活用することで、燃料にカーボンニュートラルなバイオマス燃料を用いた場合には、グリーン電力とグリーン水素に加え、バイオマス由来のCO2の同時製造が行える。また燃料に有機廃液を用いることで、廃棄物をリサイクルして3種製造も可能となり、廃棄物の有効利用につながる。
2027年度までに300kW級実証機を建設、試験開始へ
大阪ガスは2020年度に、NEDO委託事業として、反応に用いる金属酸化物の選定やコールドモデル試験装置を用いた流動性確認などの要素技術開発を開始し、それらを用いたケミカルルーピング燃焼プロセスの原理確認や、300kW級装置基本設計などで成果を挙げている。
同事業では、2027年度までに300kW級実証機を大阪府大阪市の「大阪ガス酉島事業所」に建設し、バイオマスや有機廃液などを用いた実証試験を行う予定だ。この取り組みにおいて、大阪ガスは、実証機の建設にむけた工事管理・試運転を、JFEエンジニアリングは、実証機の建設に向けた設計・品質管理を担当する。両社は今後、実証機運転で得られた成果を基に、さらなるスケールアップ機の検討を進める。
なお、この実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」の助成事業に採択されたことを受け実施するもので、固体燃料を直接反応器に投入し電力・水素・CO2を同時に製造するプロセスの試験は世界初の試みとなる。
ケミカルルーピング燃焼技術とは、バイオマスなどの燃料を、空気中の酸素を用いずに酸化鉄などの金属酸化物中の酸素を利用して燃焼させる技術のこと。燃焼排ガス中に空気由来の窒素や窒素酸化物が混入することがないため、高純度のCO2を分離・回収できる。
また、燃料との反応により一部の酸素を失った金属酸化物は、空気と反応して発電用蒸気に利用できる高温熱とともに、水との反応により水素を生成する。金属酸化物は使用後に燃料との反応前の状態へと戻り、繰り返し利用できることから、ケミカルルーピング燃焼と呼ばれる。
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2025年7月2日
タクマ(兵庫県尼崎市)は11月25日、2015年に納入した岡山県真庭市の「真庭バイオマス発電所」に、新たに省エネルギー型CO2分離回収システムを設置し、実証試験を7月から開始していることを明らかにした。実証は2025年6月までの1年間の予定で、9月後半からは装置を24時間連続稼働させ運用する。
導入した装置は、1日当たり0.5トン規模のCO2を分離回収する性能を有する。今回の実証では、現在稼働中のバイオマス発電施設(出力10MW)に装置を設置し、排ガス性状の変動時に応じる制御応答性や高効率で稼働するための運転条件などを検証する。
将来的には、排ガスに含まれるCO2のうち90%を分離回収できる技術の確立を目指す。
同社は2018年から、産業技術総合研究所(AIST)と共同で、「非水系吸収液」の開発を進めている。
CO2を高純度で回収する場合、吸収液を用いた化学反応によりCO2を吸収、その後高温で加熱をすることでCO2を放散・回収する「化学吸収法」という手法が用いられているが、加熱時に多くの熱エネルギーが必要となる。一方、同社らが開発している非水系吸収液は、従来の吸収液よりも低温でCO2を放散できるという。
同社は今後も、新規吸収液による分離・回収するシステムの開発を推進し、早期の実用化を目指す。
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