2025年8月24日
住友化学(東京都中央区)は8月19日、JFEエンジニアリング(同・千代田区)および川崎市と共同で、住友化学独自の膜技術を用いたCO2分離回収の実証試験を実施すると発表した。実証場所は、川崎市環境局が管理・運営するごみ焼却処理施設「川崎市浮島処理センター」で、2026年3月に始める。
同実証において、住友化学は、OOYOO(ウーユー/京都府京都市)と共同で開発したCO2分離膜を使用した膜モジュールの組み立て加工や分離プロセスの基礎設計を行う。使用するCO2分離回収システムは、ごみ燃焼排ガスのような10%以下の低濃度のCO2を含む排ガスから低エネルギーで分離回収する。
JFEエンジニアリングは、分離回収プロセスの詳細設計に加え、システム構築に向け、分離回収試験設備の設計・据付・運用を担当する。同社は2024年3月には、川崎市と、廃棄物処理におけるCO2分離回収・利活用システムの共同研究の実施に関する協定を締結。川崎市浮島処理センターを活用し、ごみ焼却による排ガスからCO2を分離回収する技術の検討を進めてきたが、今回その一環として膜分離法を用いた実証を開始することが決まった。
住友化学らによると、中規模排出源であるごみ焼却処理施設や小規模工場への導入に向けては、設備の小型化や低コスト化が課題だという。
住友化学は2022年5月から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からプロジェクトを受託。OOYOOとともに、共同で分離膜を用いた低圧・低濃度のCO2分離回収の低コスト化技術開発を進め、これまでに実機サイズの分離膜エレメントの製造や、複数のエレメントを組み合わせたモジュール製造に成功している。2025年4月には、JFEエンジニアリングも事業に加わった。
今回のごみ焼却処理施設の排ガスから膜分離法を用いてCO2を回収する試みは、国内初の取り組みであり、各者は世界に先駆けて、安価による低圧・低濃度の CO2分離回収の実現を目指す。
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2025年8月23日
パナソニック エレクトリックワークス社(大阪府門真市)は8月18日、ENEOS Power(東京都千代田区)と共同で、家庭や法人の顧客が設置する蓄電池などの低圧機器を制御し、エネルギー利用の最適化を図るエネルギーマネジメント実証を首都圏で開始すると発表した。小売電気事業者と一般家庭・法人顧客のエネルギーコストの削減効果を検証する。実証期間は2025年8月から2028年3月までの予定。
この実証は、ENEOS太陽光買取サービスを契約中の家庭100軒およびオフィスビルなど法人20軒を対象に実施する。
一般家庭には、パナソニック製蓄電池およびHEMSを設置し、蓄電池、ヒートポンプ給湯機、空調機器などの遠隔制御を行う。法人顧客には、同社製蓄電池およびBEMSを設置し、蓄電池、空調機器、照明などを遠隔制御する。
パナソニック独自のアルゴリズム技術で、蓄電池の充放電などを適切に制御し、HEMS・BEMSを活用した太陽光発電電力の自家消費最大化による再エネ利用率向上を目指す。
さらに、電力市場取引による収益性を検証し、オペレーションを確認する。社会課題の解決および顧客・事業者双方にメリットがある事業の可能性を検証する。
同実証で得られた知見とデータ、長年培ってきた計測・制御技術を合わせることで、今後、小売電気事業者に対しソリューションを展開し、顧客の電気代削減につなげる。
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