2025年7月7日
ヤマトエナジーマネジメント(東京都中央区)とローカルエナジー(鳥取県米子市)は7月1日、中国地方における再エネ電力の地産地消に向けた取り組みを開始した。EVの導入などにより拡大する物流拠点での電力需要に対応し、地域の再エネを活用することで、物流の脱炭素化と地域経済の活性化を目指す。
今回の取り組みでは、ヤマトエナジーマネジメントが、ローカルエナジーが中国地方で調達した再エネ電力を、JERA Cross(東京都中央区)を通じて、ヤマト運輸(同)の中国エリアにある物流拠点に供給する。
ヤマトエナジーマネジメントは、物流の脱炭素化に向けて再エネ電力などを提供する会社として2025年1月に設立された。EVや太陽光発電設備の導入、再エネ電力使用率の向上など、物流の脱炭素化に資する取り組みを進めている。
一方、ローカルエナジーは、鳥取県米子市の地方創生総合戦略の一環として2015年12月に設立された地域電力会社。中国地方で発電された再エネ電力の販売を手がけており、米子市・境港市・山陰合同銀行とともに「脱炭素先行地域事業」を共同提案するなど、地域の脱炭素化に取り組んでいる。
再エネ電力の地産地消は、地域経済の活性化や災害時の電力供給リスク低減にもつながることが期待される。一方で、中国地方では再エネ電力の開発が進む一方で、地域内の需要家が限られているという課題も抱えている。
両社は今回の連携を通じて、地域における再エネ電力の供給体制を強化し、地方創生に資する「地域脱炭素」の実現を目指す。
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2025年7月6日
環境省は6月30日、環境産業の現況をとりまとめ、2024年度報告書(2023年調査結果)として公表した。報告書では、市場規模や雇用規模、国内輸出入額、国内付加価値額、経済波及額の推計結果が確認できる。
同省の発表によると、2023年の国内環境産業全体の市場規模は、前年比5.9%増・2000年の約2.1倍に当たる130兆3312億円となった。
全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年の6.6%から2023年は11.3%に増加と、環境産業が日本経済に与える影響が大きくなっていることがわかる。
2023年の環境産業による経済効果は、前年度比約8.6%増の約250.7兆円(2000年の約2.2倍)に上った。部門別では、「建築リフォーム、リペア」「低燃費・低排出認定車(輸出分)」などが経済効果が大きい結果となった。
報告書では、国内環境産業の将来推計もまとめている。市場規模は2050年にかけても上昇傾向が続き、約146.8兆円まで成長するという見通しを明らかにした。2050年の構成比率では、「廃棄物処理・資源有効利用分野」の割合が51.9%と最も多く、次いで「地球温暖化対策分野」と続いた。
このほかの主な推計結果は以下の通り。
2023年の国内の環境産業の雇用規模推計は、全体で約292.2万人、前年度比0.3%の減少、2000年比約1.5倍となった。分野別では、「地球温暖化対策分野」の伸びが著しく、2000年から2023年にかけて約5.8倍に拡大している。「環境汚染防止分野」は、東日本大震災の影響で2011年に一時的に雇用規模が拡大したが、現在は減少傾向にある。
2023年の環境産業の輸出額は、約23.5兆円で、前年度比19.5%増・2000年比約13.3倍となった。大部分は「地球温暖化対策」分野が占める。特に低燃費・低排出認定車などの自動車関連項目が上位に上った。
2023年の環境産業の輸入額は約5.6兆円。前年度から7.3%増加した。分野別では「地球温暖化対策分野」が牽引。、中でも、太陽光発電システム、ハイブリッド自動車による割合が大きい。
環境産業の付加価値額の推移は、市場規模の推移とおおむね同じ傾向が見られた。2023年全体は約52.4兆円(前年比約3.2%の増加・2000年比の約1.8倍)で、全産業の付加価値額(GDP)、環境産業の付加価値ともに増加。GDPに占める環境産業の付加価値額の割合は、前年比マイナス8.9%だった。
「環境汚染防止分野」の市場規模では、2005年にサルファーフリー(低硫黄)のガソリンと軽油が供給開始されたことを受けて、「化学物質汚染防止分野」が増加した。「地球温暖化対策分野」は、2020年を除き増加傾向にある。分野別では、エコカーに含まれる低燃費・低排出認定車(輸出分)やエネルギー貯蔵設備に含まれる蓄電池が大きく増加した。「廃棄物処理・資源有効利用分野」の市場規模は64.3兆円で、前年から4.4%増加。廃棄物処理・リサイクル設備に含まれる都市ごみ処理装置、事業系廃棄物処理装置の伸びが目立った。「自然環境保全分野」の市場規模は9.3兆円、前年に比べて4.6%増加した。中でも、エコツーリズムが大幅増となった。
「環境汚染防止分野」は、2025年頃まで減少し、その後2050年にかけて市場はほぼ横ばい、あるいは微減傾向を続け、2050年には9.9兆円となると推計した。「地球温暖化対策分野」は今後も増加が続き、2050年の市場規模は約51.0兆円となる見込み。構成比率は、自動車の低燃費化が最も多く、次いで省エネルギー建築が続く。「廃棄物処理・資源有効利用分野」の2050年の市場規模は推計約76.1兆円。構成比率は、リフォーム・リペア、リース、レンタルが上位を占めると見られる。「自然環境保全分野」の市場規模は9.8兆円規模で、構成比率では、持続可能な農林水産業が最多となった。
環境省は、経済・社会のグリーン化やグリーン成長においてら重要な役割を担う環境産業の市場規模などを推計し、その結果をまとめた「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」を毎年公表している。
報告書における「環境産業」の定義とは、供給する製品・サービスが、環境保護と資源管理に、直接的または間接的に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献する産業のこと。このうち「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「廃棄物処理・資源有効活用」「自然環境保全」の4分野に分類し、それぞれについて細かく分析している。
【参考】
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