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2025年8月28日

北九州市ローカルの水素供給網構築事業、神戸製鋼所グループの装置を活用

神鋼環境ソリューション(兵庫県神戸市)は8月22日、開発した水電解式高純度水素発生装置「HHOG®」が、北九州市の水素ローカルサプライチェーン構築事業において、クリーン水素生産を開始したと公表した。廃棄物焼却過程で発生する余剰電力からHHOGを通じて水素を製造。圧縮後、大手自動車メーカーへと運搬し、燃料電池として活用する。

 

産廃焼却の余剰電力で水素を製造、燃料電池に活用

この装置は、固体高分子電解質膜を利用して、純水を電気分解するPEM方式で水素を発生させるもの。同事業に参画するジャパンウェイスト(東京都中央区)の新門司工場に納入した。

福岡県北九州市の同工場は、焼却施設や廃プラなどの破砕施設、汚泥などの混練施設を有する産廃処理工場で、特に特別管理産業廃棄物の焼却時に発生する廃熱を利用する発電設備は、最大出力1400kWの能力を持つ。北九州市の水素ローカルサプライチェーン構築事業では、同工場の廃棄物発電の余剰電力から水素を製造・圧縮し、利用先の大手自動車メーカーの工場に運び、燃料電池として利活用している。

神鋼環境ソリューションが同工場に納入した水素発生装置は「CH-50D」1基で、水素供給量5Nm3/h、水素供給圧力は0.82MPa。純度99.999%の水素が生成できる。

 

7月31日に記念式典を開催

7月31日には、「水素ローカルサプライチェーン構築記念」式典が実施され、北九州市長、環境省九州地方環境事務所長、神戸製鋼所九州支店長、神鋼環境ソリューション社長らが出席した。

 

北九州市 水素ローカルサプライチェーン構築補助金を新設

ジャパンウェイストは8月2日、産業廃棄物焼却による廃棄物発電で得た電力の余剰分を使って水を電解し、水素を製造する施設を北九州市内で本格稼働させたと明かした。

北九州市は2025年度に、「水素ローカルサプライチェーン構築補助金」を新設。市内での低炭素水素の製造事業や燃料電池(FC)商用車対応水素ステーション整備の実現可能性調査などを行い、水素ローカルサプライチェーン構築を目指す。

 

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2025年8月27日

三菱電機、JAXA事業で宇宙用太陽電池の開発に着手 セルではPXPと連携

三菱電機(東京都千代田区)は8月21日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業で、低軌道衛星向けの国産太陽電池セルや放射線から守るカバーガラス、それらに適合する太陽電池アレイの開発が採択されたと発表した。同社は代表機関として国内サプライヤーと連携し、国内一貫生産体制を構築することで、宇宙用太陽電池部品の低価格化と供給力強化、衛星サプライチェーンの強化を目指す。

 

国産化・低価格化・量産化を実現する技術を確立へ

特に重要な部品である太陽電池セルの開発では、次世代太陽電池を開発するスタートアップ・PXP(神奈川県相模原市)と連携する。PXPの高度な太陽電池セル製造技術と、三菱電機の多岐にわたる衛星システムの開発・製造技術を組み合わせることで、宇宙空間においても高い信頼性と変換効率を維持できる太陽電池セルの、低価格化・量産化実現に向けた開発に取り組む。

具体的には、太陽電池セルの光電変換素子に、製造コストを抑制しやすいペロブスカイト構造と、高い放射線耐性を持つCIGSを採用し、宇宙空間においても高い変換効率を維持できる、価格かつ量産可能な太陽電池セルの開発に取り組む。

ペロブスカイト太陽電池セルとCIGS太陽電池セルを組み合わせた、ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池セルは、従来品と同等の変換効率を持ち、従来品よりも宇宙放射線への耐性が高いため、変換効率の劣化を回避し、効率を維持できると期待されている。また、ペロブスカイト太陽電池セル、CIGS太陽電池セルは、それぞれ従来品と比較して容易に製造できる点から、低価格化、量産化に適している。

 

衛星市場における宇宙用太陽電池ニーズに対応

今回、JAXAが実施する宇宙戦略基金第1期の公募テーマの一つである「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」(分野:衛星等)において、三菱電機を代表機関とする、技術開発課題「国産太陽電池セル・カバーガラスおよび搭載アレイの開発」が採択された。

近年、地球の低軌道に多数の小型衛星を配置し、連携して機能させるシステム「低軌道衛星コンステレーション」をはじめとした衛星市場が拡大している。これに伴い、衛星に搭載される宇宙用太陽電池セルと、宇宙放射線から太陽電池セルを守るカバーガラスの需要が増加し、世界的な供給不足による価格高騰・長納期化が課題となっている。また、宇宙用太陽電池は海外に大きく依存している。

 

2つのセルを重ねた超軽量薄膜太陽電池セルを開発

PXPは、極薄金属箔を基板に曲がる太陽電池のセルをつなげる技術などを用いて、超軽量薄膜太陽電池セルを開発している。太陽電池セルの材料として使用されるペロブスカイト構造や、銅・インジウム・ガリウム・セレンを主成分とする化合物半導体材料CIGSの研究開発を手がけている。

PXPは、2024年1月には「曲がる太陽電池」を搭載した電気自動車(EV)を作製し、「第16回オートモーティブワールド」に出展している。また、2025年7月に、サントリーホールディングス(大阪府大阪市)と、カルコパイライト太陽電池で稼働する自動販売機の実証実験を開始することを発表している。

 

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