2026年5月25日
静岡県と電気通信大学は4月27日、ぺロブスカイト太陽電池を封入した「吊り橋型円筒形太陽電池モジュール」を茶畑などの急峻な斜面に設置するソーラーシェアリング事業の実証実験を開始したと発表した。実証では、発電量の計測および茶の成長評価を行う。期間は2027年3月まで。
今回の事業で利用する、吊り橋型円筒形太陽電池モジュールは、薄く柔軟なペロブスカイト太陽電池シートを円筒状に封入した構造を採用している。
この構造により、太陽の位置に依存せず、1日を通じて発電量が多く、安定した発電が可能となる。
また、複数の円筒形太陽電池を並列配置しているため、電池間を太陽光や風が通過し、下部で栽培される茶葉に適した光環境および通風を確保できる。
さらに、吊り橋型のモジュール構成とすることで風を受け流し、強固な架台の設置・撤去工事を不要とする。そのため、地盤が柔らかく傾斜の大きい茶畑にも設置が可能である。
実証は、静岡県菊川市の「農林技術研究所茶葉研究センター」内の茶畑で実施。使用機器には、沼津市に拠点を置く矢崎エナジーシステム(東京都港区)の配線技術を採用した。今後は、実証結果を踏まえ、静岡県内の企業との連携を広げ、同モジュールに基づく本格的なソーラーシェアリング事業への展開を目指す。
営農型太陽光発電システムが抱える課題解決に向け、軽量なペロブスカイト太陽電池に着目した新たな施工手法の確立が進んでいる。積水化学工業(東京都港区)とTERRA(千葉県匝瑳市)は、水田を含む全国各地の圃場への展開を視野に入れる。
両社は2024年8月、匝瑳市において、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を活用した営農型太陽光発電の実証実験を開始。実証では、レンズ型モジュールの曲面上に設置した際の発電効率の測定に加え、予測値と実測値の比較、さらに設備下で栽培する農作物への影響などについてデータを取得した。
2025年には、当時の環境大臣である浅尾 慶一郎氏が実証地を訪問。農地の有効活用と再エネ導入を両立する先進的な取り組みとして評価した。2026年3月には、匝瑳市で得られた知見を踏まえ、千葉大学柏の葉キャンパスで、水田を活用した営農型発電の実証を新たに開始している。
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2026年5月24日
北海道ガス(北海道札幌市)と北海道立総合研究機構(道総研/同)は5月19日、地域に賦存する「温泉付随ガス」を利活用する研究で協業する契約を締結し、ガス発電システムなどの運転試験を行う実証を開始したと発表した。
北海道ガスとアイシン(愛知県刈谷市)が共同開発した家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステム「コレモ」を用い、温泉付随ガスを燃料とした場合の燃焼性評価や利活用への課題・解決策を検証する。
温泉付随ガスとは、温泉を汲み上げる際に発生する天然ガスで、メタン、窒素、二酸化炭素、水蒸気などが混じり合っている。温泉地や井戸の場所、地質の性質によって、ガスの組成比は異なる。
道内では約500カ所の源泉で、メタンを主成分とする可燃性天然ガスが含まれる温泉付随ガスの湧出が確認されており、その多くは未利用のまま約16,000m3/日が大気中に拡散されている推定だという。メタンは二酸化炭素の約28倍も温室効果が高いため、環境負荷を低減する視点からも有効活用が望まれる。
温泉付随ガスを資源として利活用する場合、既存の源泉から湧き出ているため開発コストが嵩まないという利点がある。
その一方で、課題とされる点は、多くの源泉ではガスの湧出が小規模なため、工場のボイラーや大型の発電機などを稼働させるにはガスの量が足りず、そのため、ガス量に応じ多様なガス機器での利用を検討する必要がある点などが挙げられる。また、メタンガスを資源として燃料に使用したり、販売したりする場合は「鉱業法」に準拠し、管轄する地域の経済産業局から鉱業権の許可を受ける必要もある。
実証に使用する「コレモ」は、ガスエンジンで発電し、発生する排熱を暖房に活用するシステム 。
両者は2027年3月までに、道総研の実験設備を使用した模擬試験運転および、条件に適合する温泉付随ガスが発生する自治体において現地試験を実施する計画だ。同実証で得た知見をもとに、給湯暖房機など他のガス機器へも適用拡大する展望も見据え、検討を進めていく考え。
北海道ガスは、未利用資源を活用した環境負荷低減、分散型エネルギー推進および地域創生につながる施策としてこの取り組みを行い、エネルギーの地産地消を促進していく方針。
また、同社はこれまで北海道や道内の自治体と連携し、エネルギー地産地消に資する取り組みを行ってきた。
たとえば、2025年11月19日、北海道と、道有林の適切な森林管理によって創出された「道有林クレジット」を年間1万t、2027年度までの3年間にわたり購入する協定を締結した。
同年10月1日には、北海道上士幌町と協働で進めてきた大規模太陽光発電所「上士幌太陽光発電所(愛称:みらいパワーかみしほろ)」を稼働し、小売電気事業を行うkarch(北海道上士幌町)を通じて町内の家庭や事業所に再エネ電気の供給を開始した。
また、同年6月9日に、美瑛町、美瑛町農業協同組合、美瑛町森林組合の3者と連携協定を締結し、環境価値の地産地消・地域活性化に取り組み、同町の2050年度カーボンニュートラルや地域経済活性化を後押しする取り組みなども開始している。
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