2026年6月2日
宮城県は5月26日、農業用ため池を活用し県内需要地への太陽光発電電力を供給する事業について、プロポーザル方式による公募を開始した。
同事業は、県有未利用地である農業用ため池を発電事業者へ貸し付け、発電事業者がそこに設置する太陽光発電設備により発電した再エネ電力を、県内の需要家に供給するもの。企画提案により選定された事業者が事業を実施する。また、事業者は県の補助金を活用できる。
企画提案書には、発電事業者・電力小売事業者など事業実施体制や、需要家、貸付単価(提案額)、発電事業の概要などについて具体的に記載する。また、独自提案として、事業地の状況や事業実施に関する懸念などを踏まえ、たとえば、ため池敷地全体の除草など、地域共生の促進に資する取り組みなどを記載する。企画提案書の提出受付期限は10月23日17時(必着)。
この事業で導入する太陽光発電設備で発電した電気は、県内に所在する製造業の施設に供給する。需要家の要件として、長期にわたり安定的かつ十分な電力需要が見込まれること、再エネ電力活用による企業競争力強化が期待できる、などがある。
王城寺原演習場周辺に位置する3つの県有ため池を事業地(貸付対象)とする。基本的に3つのため池を活用した提案を想定しているが、2つまたは1つのため池のみを活用した提案も可能。
| ため池の名称 | 所在地 | 水面積[HWL] |
| 柏木(かしぎ)溜池 | 黒川郡大衡村大瓜字北柏木地内 | 49,190m2 |
| 焼切(やっきり)溜池 | 加美郡色麻町大字折戸字大原地内 | 18,470m2 |
| 除(のぞき)沼 | 加美郡色麻町四竈字谷地田内 | 38,650m2 |
県は別途定める交付要綱に基づき、この3つのため池を対象に、水上設置型太陽光発電施設整備費補助金を交付する。補助対象は太陽光発電設備(その他地域共生の促進に資する経費を含む)で補助率は1/2、上限額は8億2000万円(3カ所のため池の合計額)。ため池毎の補助金上限額は設けていない。
事業期間は、事業実施に関する協定を締結した日から土地を原状回復し、県に返却する日までとする。発電事業の実施に係る土地賃貸借契約の期間は原則として20年間。このほか、設置工事に係る土地賃貸借契約と設備の撤去に係る土地賃貸借契約を締結することとし、その期間については、別途協議する。
なお、6月12日に現地見学会を開催する。現地見学会の申込受付期間は6月8日17時(必着)まで。また、6月17日17時(必着)まで、質問を受け付ける。質問への回答は7月3日に公表する。
宮城県は、「みやぎゼロカーボンチャレンジ2050戦略」において、比較的導入までのリードタイムが短い太陽光発電の導入を主眼に、住宅や事業所への自家消費型太陽光発電や第三者所有方式を活用した導入手法など多様な支援を行ってきた。
耕作放棄地など未利用地を活用した太陽光発電施設の設置が進んでいる一方、その課題として、「県内で生み出された環境価値の県外流出」を挙げている。その多くはバーチャルPPAなど、県外需要地での消費を目的としたものと推察している。
また、世界的な脱炭素化の流れを受け、県内企業においても再エネの導入ニーズは高まるものと予測される。そこで、太陽光発電の適地となり得る未利用地を県内需要家へ優先的に提供できるようマッチングなどを図るため、2025年にサウンディング型市場調査を実施した。
今回、こうした調査を踏まえ、農業用ため池を活用した県内需要地への太陽光発電電力供給事業を開始する。同事業によって、県内産業は、追加性のある再エネ調達により排出量削減の実効性向上、電力価格の長期安定化、地産地消型再エネによる地域貢献の実現などの効果が見込まれる。
宮城県によると、この事業スキームは東北地方初となる。地域・企業・県の連携の取り組みとして、対外的にPRしていく。
宮城県は、事業を通じて得られる土地貸付料を活用し農業用ため池の維持管理費の軽減を図ることも目的としている。県内企業の競争力強化と農業インフラの維持の両立を図るモデル事業として実施する。
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2026年6月1日
川崎重工業(兵庫県神戸市)、東京センチュリー(東京都千代田区)と京セラコミュニケーションシステム(KCCS/京都府京都市)の3社は5月25日、川崎重工業の西神工場(兵庫県神戸市)において、ソーラーカーポート(駐車場設置型太陽光発電設備)を活用した「寄付型コーポレートPPA(自家発電サポートサービス)」を開始したと発表した。
工場の駐車場を再エネ電源として活用し、年間約1,220MWhの発電を見込む。
自家発電サポートサービスは、東京センチュリーとKCCSが太陽光発電設備導入にかかる初期投資などのコストおよび手続きを引き受け、需要家である川崎重工業は初期コストの負担なく太陽光発電システムを導入するPPAサービス。
NPO法⼈への寄付が組み込まれていることが特長で、ほかに、京セラの高品質な太陽光発電システム(40年以上にわたり高い出力で稼働する長期的な信頼性はメーカー実証済み)を使用することや、KCCSが実績あるO&M(運営・保守)を担うなどの導入メリットがある。
川崎重工は2023年から、兵庫県内の工場屋根を活用し、寄付型コーポレートPPAによる太陽光発電設備の導入を進めている。2023年3月には西神工場の屋根に715kW、同年10月には播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)に772kW、2025年12月には播磨工場の別棟屋根に494kWの太陽光パネルを設置した。
西神工場への第2期の導入となる今回は、駐車場にソーラーカーポートとして1,049.535kWの太陽光パネルを新設した。同サービスでソーラーカーポートを導入するのは、川崎重工にとって初めて。これにより、同社の寄付型コーポレートPPAによる太陽光発電設備の導入は通算4件、合計約3.0MWとなる。
同社は再エネ電気を事業活動に活用するだけでなく、駐車場屋根の遮熱・遮光効果による車内温度の上昇抑制や、雨天時の利便性向上などを通じ、駐車場を利用する従業員の快適性向上にもつなげる。
同サービスは、SDGsを推進する公益法⼈やNPO法⼈への寄付が組み込まれているため、顧客である企業のサステナビリティ評価向上につながるほか、寄付金控除による法人税の軽減効果施策としての一面もある。
寄付先は需要家の顧客企業が選定でき、寄付金相当額は東京センチュリーが負担する。川崎重工は寄付先として、西神工場や播磨工場が立地する兵庫県内においてボランティアで森の保全活動を行っているNPO法人「ひょうご森の倶楽部」を選定し、寄付を行ってきた。今回の取り組みでも同団体に寄付する予定だ。
西神工場への第1期導入は、2023年3月23日に発表。工場屋根に設置した太陽光発電システムの想定年間発電量は818,973Whで、発電予定期間は2023年3月~2043年3月(20年間)としていた。
寄付型のコーポレートPPAは、東京センチュリーとKCCSが、京セラ(京都府京都市)とともに、SDGs達成に向けた新たな取り組みとして、2022年6月に提供を開始。2023年2月には、メニコン(愛知県名古屋市)が、各務原工場(岐阜県各務原市)において、同サービスを導入した。
国は、脱炭素の目標達成に向けて送電線の容量不足や適地不足が深刻化する中、送電網への負荷なく、かつ自然破壊に加担しない「敷地内の遊休地(駐車場など)」を活用した自家消費型発電を後押ししている。
環境省は4月24日、駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備と、定置用蓄電池・車載型蓄電池・充放電設備・充電設備などの導入を支援する補助金の公募を開始した。公募期間は6月11日正午(必着)まで。補助金の交付額は最大で1億円。ソーラーカーポート、垂直型ソーラー以外に、発電機能と舗装の路面機能を一体化させたソーラーロードも補助対象となる。
PPAの仕組みで導入するソーラーカーポートも補助対象とされており、その場合はPPA事業者が代表者となり、電力の需要家が共同事業者として申請する。
豪雪地域においては、積雪の影響を受けにくい垂直ソーラーの設置が望ましい。環境省補助金においてもこのタイプも補助対象となる。
エア・ウォーター(大阪府大阪市)は2025年12月2日、豪雪地帯の鳥取市に立地する日本郵政グループのコールセンター駐車場敷地に、オンサイトPPAサービスにより「垂直ソーラー」を設置した取り組みを紹介している。積雪の影響を受けにくい垂直型ソーラー発電システム「VERPA」を用いた。山陰地方では初の導入事例だという。
また、中部国際空港(愛知県常滑市)の貨物地区では、従業員用駐車場に412kWのカーポート一体型太陽光発電設備を設置し2027年4月から運用開始する予定。これは、中部電力ミライズ(同・名古屋市)のオンサイトPPAサービスにより同空港に約3.9MWの太陽光発電を導入する計画の一部だ。
神戸製鋼所(兵庫県神戸市)は2025年4月に、みずほ丸紅リース(東京都千代田区)とのオンサイトPPAにより神戸総合技術研究所にソーラーカーポート型太陽光発電設備を設置し運用開始。車路部分にも太陽光パネルを設置する車路一体型を採用し、年間発電量は約700MWh、CO2排出量を年間約300トン削減する見込み(当時)と発表し、製鉄プロセスにおける大幅なCO2削減および事業所での再エネ利用により、グループ全体の脱炭素目標につなげていくとした。
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