2026年6月7日
中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)は6月1日、豊田通商(同・豊田市)と協働し、トヨタグループの自動車部品メーカー・東海理化(同・丹羽郡大口町)が取引を行うサプライヤー12社に、オフサイトPPAの仕組みを活用した新たなCO2フリー電気メニューを提供開始したと発表した。
同メニューは豊田通商グループのユーラスエナジーホールディングス(東京都千代田区)が九州地方に保有する風力発電所由来の環境価値を中部電力ミライズが調達し、さらに別途調達する環境価値(非化石証書)を活用することでCO2フリー電気とし、トヨタグループ社のサプライヤーに供給するもの。
東海理化の仕入先12社がこの新メニューを導入したことにより、サプライチェーンにおいて年間約2,219tのCO2排出量削減が見込まれる。
今回、中部電力ミライズと豊田通商が共同開発した同メニューは、トヨタグループが保有する再エネ電源をグループ内で有効に循環させ、サプライチェーン脱炭素化につなげることを目的とし、同メニューの契約期間は最大で約5年間と、通常のオフサイトPPAサービス(契約期間20年間)と比べ、脱炭素目標の達成状況などに合わせて柔軟に導入できる設計にされている。
2027年3月期から時価総額3兆円以上、2028年3月期からは時価総額1兆円以上の企業を対象に、「有価証券報告書」へのGHG排出量の記載が段階的に義務化される。このためトヨタ自動車など日本を代表する超巨大企業は、グループのサプライヤーを含めたCO2排出量の情報開示および削減が早急に求められている。
サプライヤーが使用する電力由来の排出量は、当該サプライヤー自身にとってはScope2排出量にあたるが、発注側企業にとっては購入部品・材料などに伴うScope3排出量にあたる。今後、SSBJ基準に基づくサステナビリティ開示の段階的な適用が進むなか、サプライヤーの排出量データの把握や、調達先を巻き込んだ削減策の実装は、大企業グループにとって実務上の重要性を増している。
たとえば、山善(大阪府大阪市)は2021年にDaigasエナジー(同)と共同ブランド「DayZpower(デイズパワー)」を立ち上げコーポレートPPA事業を展開。山善の仕入先企業を中心に再エネ電力の供給を行うというモデルを拡大している。このモデルでは、契約を結んだ顧客(仕入先企業)の工場・店舗・物流拠点の屋上や敷地の遊休地などに、太陽光発電パネルを無償で設置するオンサイトPPAの仕組みで再エネを供給することでサプライチェーンの脱炭素化を促進する。
また、JFEエンジニアリング(JFEエンジニアリング/東京都千代田区)は6月1日より、笠岡モノパイル製作所(岡山県笠岡市)、JFEエンジニアリング100%出資の子会社で新電力のアーバンエナジー(神奈川県横浜市)が提供する太陽光発電コーポレートPPAサービスを導入し運用開始したと発表した。
この取り組みは、JFEグループの3社が、需要家、PPA事業者、太陽光発電設備のEPC(設計・調達・建設)を担い、グループ内で再エネ導入を完結させている事例。
再エネ電気の需要家である笠岡モノパイル製作所のオンサイトに太陽光発電設備を設置し、これによる電力を用いて洋上風力発電設備の基礎となる「モノパイル」の製造に充当するだけでなく、オンサイトで余剰となった電力を近接するJFEグループの拠点に融通するという取り組みだ。
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2026年6月5日
三菱地所(東京都千代田区)は6月1日、伊藤忠商事(同・港区)、東京センチュリー(同・千代田区)と共同で、福岡県朝倉郡筑前町において、特別高圧系統用蓄電所の建設に着工したと発表した。
九州エリアでは、太陽光発電の急速な導入が進む一方、天候や時間帯による発電量の大幅な変動が系統運用の課題となっている。この事業では、約2万世帯分の1日あたり消費電力に相当する規模の蓄電池を活用し、需給調整力を供給する
この蓄電所の敷地面積は約26,000m2、定格出力は67MW、定格容量は230.1MWhで、これは一般世帯約21,500世帯の1日分の電力消費に相当する。商業運転を開始は2028年1月を予定。蓄電システムは、伊藤忠商事が出資・業務提携するパワーエックス(岡山県玉野市)が受注した。
三菱地所はプロジェクトマネジメントを、東京センチュリーは特別目的会社(SPC)の運営・アセットマネジメントを、伊藤忠商事は蓄電池システムの販売・運用・保守、AI最適化による運用を一気通貫で担う。
この事業では、容量市場・卸電力市場・需給調整市場といった複数の電力市場に柔軟に対応し、AIを活用した高度な運用によって収益性と安定性を両立する。
伊藤忠商事は、国内で先行的に系統用蓄電池事業へ参入し、AIを活用した蓄電池運用システムの先進的な開発・高度化を推進してきた。このプロジェクトでも、伊藤忠商事が提供する蓄電システムと、AIによる最適運用技術を活用する。
伊藤忠商事が、東京都との連携により2024年に設立した日本初の系統用蓄電池ファンドに、三菱地所、東京センチュリーも民間投資家として参画している。このファンドを軸に、3社による連携体制で事業運営を進める。
パワーエックスは、伊藤忠商事と共同展開するコ・ブランドパッケージ「PowerX × Bluestorage」として、10フィートコンテナサイズの蓄電システム「Mega Power 2500」を採用する。蓄電コンテナ数は102台。電池種類はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)。
この事業は、経済産業省の2025年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択されている。経済産業省が策定する第7次エネルギー基本計画における2050年のカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電など再エネの導入が加速する中、蓄電池市場は今後も大きな市場拡大が期待されている。
東京センチュリーは、リースを祖業とし、国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデルを展開する金融・サービス企業。環境インフラ事業分野で、太陽光発電や蓄電池などの再エネ関連事業を展開している。主要株主には、伊藤忠商事、NTT(東京都千代田区)などが名を連ねている。
東京センチュリーは、「中期経営計画2030」において、系統用蓄電所事業を社会インフラ部門が最優先で取り組むべき最重要領域の一つと位置付けている。これまでは、主に単独出資による系統用蓄電所事業において実績と知見を積み上げてきた。今回の事業では、こうした自社の強みを活かしながら、三菱地所や伊藤忠商事といったパートナーと共同で、再エネ・蓄電池などのエネルギー資産へ投資・管理・運営するアセットマネジメント・プラットフォームの構築を目指す。
三菱地所は、「まち」を支える社会インフラのひとつとして、2024年より系統用蓄電所事業に取り組んでおり、東京都が創設した官民連携ファンド「東京都蓄電所投資事業有限責任組合」への出資や、北海道千歳市上長都における系統用蓄電所事業への参画を進めてきた。
三菱地所グループでは、長期経営計画における社会価値向上戦略の重要テーマのひとつとして「環境負荷低減に尽力し続ける」を掲げている。系統用蓄電所事業への取り組みを通じて、事業ポートフォリオを拡大することで、社会価値向上と企業価値向上の両立を目指す。
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