2026年6月9日
大日本ダイヤコンサルタント(東京都千代田区)は6月2日、新潟県妙高市役所にて、雪国環境下における次世代型太陽電池の有効性を検証する実証事業を開始したと発表した。
この事業は、新潟県の補助金を活用し、SOLABLE(同)と共同で実施。PXP(神奈川県相模原市)のフレキシブルな「カルコパイライト型太陽電池」を用いて、雪国における発電性能や災害時を見据えた運用体制を検証する。
PXPのカルコパイライト型太陽電池は、従来型太陽電池の1/10以下の軽さで、柔軟に曲がり曲面にもフィット、衝撃や振動に強く割れないなどの特長を持つ。従来型太陽電池の課題を克服した新技術の太陽電池として、国内でも実用化が期待されている。
今回の実証では、通常時は市役所コラボサロンのガラス面に設置し、通常時の発電性能検証、市民への普及啓発を行う。雪に影響されない「室内での設置効果」や、「雪面からの反射光」をどれだけ効率よく電気に変えられるかを詳細に検証する。
また、非常電源としての活用を想定し、各種イベント時や緊急時に屋外へ迅速に持ち出して利用するための簡易設置・運用手法を検証する。さらに市民へのPRとして、来庁者が次世代のクリーンエネルギーの利用を肌で感じられるよう、体感型の無料充電コーナーを提供する。これらの検証を通じて、実用化に向けたデータの蓄積と運用手順の確立を目指す。
総合建設コンサルタントの大日本ダイヤコンサルタントは、この実証を通じて次世代型太陽電池の導入に向けたFS(実現可能性)調査や事業化手法・導入手法に関する知見を得るとともに、事業協力者とともにPPA(電力販売契約)などの新たな事業を展開していく。また、これらの取り組みを通じて、地域の脱炭素化と防災力向上に貢献していく。
カルコパイライト型太陽電池は、耐荷重制限により導入できなかった古い工場や、カーポートの屋根などに設置することで、PPAビジネスの拡大にも寄与することが期待されている。
PXPの次世代太陽電池には、多くの企業が注目し、出資・業務提携している。東京センチュリー(東京都千代田区)は5月、PXPに追加出資し、製品の優先供給を見据えた業務提携契約を締結したことを発表している。PXPは、カルコパイライト型とペロブスカイト型を組み合わせたタンデム型太陽電池の開発で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業にも採択されている
SOLABLEグループでは、技術革新を通じた社会・環境課題の解決を目指して、森林事業の成長産業化に向けたフォレストソリューションや、テクノロジーソリューションを展開している。テクノロジーソリューションの1つとして、次世代太陽電池の開発・製造を行うPXPに出資、研究開発をサポートしている。
新潟県は、2050年までの脱炭素社会の実現に向けて、積雪地域における再エネの導入を推進している。しかし、積雪地域における太陽光発電の普及には、積雪による荷重や厳しい気象条件への対応が大きな課題となっている。
そこで、今回の実証で活用する新潟県の「次世代型太陽電池実証支援事業補助金」では、商用化されていない次世代型太陽電池を用いた、豪雪地帯での太陽電池の設置に関する課題解決に資する実証事業を支援している。
JFEエンジニアリング(東京都千代田区)など3社は5月、この補助金を活用して、カルコパイライト太陽電池を活用した自治体向け太陽光PPAサービスを開始したことを発表している。
また、新潟県は、この補助金について、2026年度の公募を6月30日まで実施している。補助率は1/2で、補助上限額は1500万円。2件程度に交付する予定。
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2026年6月8日
伊藤忠エネクス(東京都千代田区)は5月29日、大分県日出町で計画されている系統用蓄電池事業に参画すると発表した。
同社は本事業を推進する特別目的会社(SPC)に対し、国内企業3社と共同で匿名組合出資を行う。再エネの導入拡大に伴って高まる調整力需要への対応を図るとともに、電力系統の安定化に貢献する。
事業の対象となる蓄電池設備は、定格出力51MW・定格容量204MWhの特別高圧系統用蓄電所。九州エリアにおける大型案件のひとつで、2028年9月の運転開始を予定している。SPCでは、あおぞら銀行(東京都千代田区)をアレンジャーとするプロジェクトファイナンスを組成しており、事業キャッシュフローを返済原資とするノンリコース型の資金調達スキームを採用する。
九州エリアは全国有数の太陽光発電導入地域として知られ、再エネ比率の上昇に伴う出力制御や需給調整への対応が強く求められるエリアだが、再エネの有効活用や電力系統の安定化を支える重要なインフラとして系統用蓄電池への期待は一層高まっている。
発電設備に併設される蓄電池とは異なり、送配電網に直接接続される系統用蓄電池は、電力価格の変動に応じた充放電や需給調整市場への参加を通じて収益を確保するとともに、周波数調整や需給逼迫時の電力供給など、多面的な役割を担う。
上記のような背景もあり、容量市場や需給調整市場、卸電力市場といった新たな収益機会も整備され、国内の系統用蓄電池市場はここ数年で急速に拡大中だ。商社やエネルギー事業者、金融機関、インフラファンドなど幅広いプレーヤーが参入している。
伊藤忠グループも蓄電池事業を重点分野のひとつに位置付けており、伊藤忠商事は2023年に東京都と連携して日本初となる系統用蓄電池専業ファンドを立ち上げたほか、その後も運用規模の拡大を進めている。系統用蓄電所への投資を通じて、再エネ導入拡大と電力系統の安定化を後押しする考えだ。
また、伊藤忠商事はAIを活用した蓄電池運用技術の開発や蓄電システム事業にも注力しており、全国で系統用蓄電池プロジェクトへの参画を進めている。6月には福岡県筑前町における系統用蓄電所事業の共同推進も発表しており、蓄電池を活用した電力調整力ビジネスの拡大を加速している。
伊藤忠エネクスは、LPガスや石油製品販売を中心とした従来事業に加え、近年は再エネやPPA、蓄電池など脱炭素関連事業を強化している。自家消費型太陽光発電サービスや再エネ電力供給サービスの展開を進めるほか、企業の脱炭素経営を支援するソリューション提供にも力を入れている。
今回の出資参画もその一環と位置付けられる。再エネの普及が進むほど、発電量の変動を吸収する調整力の価値は高まる。系統用蓄電池は脱炭素社会を支える基盤インフラとして注目されており、伊藤忠エネクスは本事業を通じてエネルギー供給の安定化とカーボンニュートラル実現への貢献を目指す。
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