2025年9月25日
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は9月18日、太陽光パネルのリサイクル義務化制度の早期実現を求める意見書を公表し、太陽光パネルリサイクル義務化法案の国会提出が見送られている状況に対し、強い懸念を表明した。
太陽光パネルは、2030年代後半から廃棄量が増え約50万tに達する見通し。政府は太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法案を検討してきたが、費用負担のあり方を巡り調整が難航し、法案提出を見送った。
JCLPは、意見書の中で、循環経済による資源調達の自立化や静脈産業発展による国内雇用確保、適切な発電施設での運営継続などを通じた乱開発・不法投棄の抑制を同時に進めることが重要と指摘。今後は脱炭素社会と循環社会の両立に向け、自ら取り組みを進めると宣言した。
一方で、事業者の自主的な取り組みだけでは限界があるとし、政府に対し、すべての発電事業者が回収・リサイクルに取り組めるよう、従来の枠組みに囚われない柔軟かつ先進的な制度設計を求めた。
浅尾 慶一郎環境大臣は8月29日の定例会見で、検討してきた太陽光パネルリサイクル制度の義務化を断念すると発表、制度案を見直すと明かした。会見の中では、所有者負担となっているその他リサイクル関連法制との整合性が指摘されたと説明した。
環境大臣による断念発表を受け、同日、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン/東京都港区)、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(同)など9団体は、政府に対して太陽光パネルのリサイクル義務化を求める共同声明を発出。「その他リサイクル関連法の費用負担の考え方と齟齬がある」との指摘については、拡大生産者責任(EPR)が重視される状況を踏まえ、新法で制度的枠組みを変更することに問題がないとの見方を示した。
JCLPは、「脱炭素社会」への移行をビジネス視点で捉える日本独自の企業グループ。アマゾンジャパン合同会社(東京都目黒区)、戸田建設(同・中央区)、積水ハウス(大阪府大阪市)など233社が加盟する。
【参考】
・環境省―浅尾大臣閣議後記者会見録 (令和7年8月29日(金)11:05~11:30 於:環境省第一会議室)
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2025年9月24日
REXEV(東京都千代田区)は9月18日、太陽光発電所向けの「蓄電池併設の運用・市場取引支援」を開始すると発表した。まずは高圧連携や特別高圧連携の太陽光発電設備設備およびFIT単価32円以上の太陽光発電設備を対象にサービスを提供する。電気自動車(EV)のエネルギーマネジメントで培った制御・予測・市場連携の知見に基づき、出力抑制やFIP移行リスクに対応し、市場取引を通じて収益最大化を支援する。
FIT制度の満了やFIP制度への移行により、太陽光発電事業者が直面する出力抑制・FIP移行・インバランスリスクに対応するため、蓄電池を活用した次世代エネルギーマネジメントサービスを提供する。
提供内容は以下の通り。
・蓄電池導入に関する設計・調達支援
・EMS制御プラットフォームの提供
・運用代行・レベニューシェア・SaaSの組合せによる負担軽減
・収益モニタリング・レポート支援
・市場取引との連携(JEPX値差取引、需給調整市場、容量市場)
初期段階では、高圧の太陽光発電事業者を中心にサービスを提供し、将来的には低圧市場におけるEV+V2Xに替わるソリューションにも展開する。
発電事業者の状況に応じ、発電事業者が蓄電池を投資し、REXEVが運用を代行する「自社投資モデル」と「第三者設置モデル」の2つの導入スキームで対応する。すでに2025年中の運用開始に向けて準備中のプロジェクトが先行するほか、2026年4月ごろを目処に順次運用開始するプロジェクトも予定している。
同社は企業や自治体向けにEVカーシェアリング事業の開始をフルパッケージでサポートするEVカーシェア支援サービスを展開している。さらに、EVカーシェア事業による知見を活かし、企業の脱炭素化を支援するコンサルティングサービス「グリーンコンサルティング」を2024年10月より開始した。
同社は、将来的には、商用・シェアリングなどで活用されたEVの使用済みバッテリーを適正に評価・回収し、リユースバッテリーとしての再利用を想定しており、劣化レベルに応じて、定置用蓄電池として地域や施設に再導入し、同社の制御基盤と組み合わせ、BCP・再エネ自家消費用途などに再活用する構想を描く。リユース電池やV2G制御、地域PPA事業との接続を通じて、社会実装フェーズへ本格的な展開を目指す。
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