2025年4月15日
パナソニック エレクトリックワークス社(大阪府門真市)は4月10日、三菱ガス化学(東京都千代田区)と共同で、コンセントなどの配線器具向けに、CO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型ユリア樹脂を開発したと発表した。2025年度以降に、同樹脂を使用した配線器具の販売開始を目指す。
ユリア樹脂は熱硬化性樹脂の一種で、耐トラッキング性や耐アーク性に優れており、配線器具の電気火災安全性を支える材料として、パナソニックで使用している樹脂の約4分の1を占める。
一方で、一度硬化すると加熱しても溶けず、マテリアルリサイクルができないという課題がある。そこで、パナソニックは今回、同樹脂の原料であるメタノールがCO2から合成可能であることに着目し、カーボンリサイクルできる新たな製造スキームを三菱ガス化学とともに確立した。
開発した環境配慮型のユリア樹脂は、CO2を固定化したメタノールを原料とするため、CO2排出量は従来のユリア樹脂と比べて約20~30%削減できる。また樹脂の成形条件・物性は従来の化石資源由来樹脂と同等で、製造設備を製造工程を変更せずに配線器具への適用が可能だ。
同樹脂を使用した配線器具を導入することで、住宅・ビルなど建築物の設備の資源循環に貢献するとともに、エンボディードカーボン(建築物の建設・維持管理・解体段階でのCO2排出)削減にもつながるという。
同社は今後、ユリア樹脂以外の材料についても環境への配慮を推進し、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に向けさらなる取り組みを進めていく。
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2025年4月14日
三菱HCキャピタル(東京都千代田区)は4月9日、サンエー(神奈川県横須賀市)と、J-クレジット創出事業を開始したと発表した。J-クレジット創出に向けては、両社が共同管理・運営する、太陽光発電設備の導入によるCO2削減プロジェクトを活用する。
このプロジェクトでは、サンエーが設置した太陽光発電設備のうち、プロジェクトに賛同した複数の企業・家庭による削減量をとりまとめ、クレジットを創出するという。
2026年3月を予定している第1回クレジット認証時には約100トン、2030年までに累計約900トンの創出を見込んでいる。なお、同創出事業は「プログラム型プロジェクト」としてJ-クレジット制度に承認された。
三菱HCキャピタルは、脱炭素ソリューションを重要テーマの一つに位置付けており、クレジット創出以外にも、CO2可視化や省エネ・再エネなどのワンストップサービスの構築を進めている。サンエーはEPC事業者として、自治体や公共施設向けの再エネ事業に注力している。両社は今後、同プロジェクトの管理・運営を通じて、中小企業や個人における取り組みの促進を図る。
政府が掲げる「2030年までのGHG46%削減」のロードマップでは、J-クレジット制度の活用により、1500万トン削減を目指す方針が示されており、今後もクレジットの需要は増加していく見込みだ。一方で、プロジェクトの登録手続きや費用などの負担が取り組み拡大を妨げる要因となっている。
こうした中、静銀経営コンサルティング(静岡県静岡市)は4月9日、J-クレジット・プロバイダーへの登録を完了したと明かした。
J-クレジット・プロバイダーとは、J-クレジット制度に基づき認証されるGHG排出削減・吸収量の創出や活用を支援できる事業者のこと。クレジット使用にはクレジット管理専用口座が必要となるが、J-クレジット・プロバイダーを介することで、保有していなくても利用できる。静銀経営コンサルティングを含め現在、9社が登録されているが、金融機関グループの登録は同社が初めてとなる。
同社は、今回の登録を機に、これまで以上にクレジット創出支援に注力し、地域におけるクレジット活用を積極的に支援することで、J-クレジットを通じた地域エコシステム(循環型地域経済モデル)の構築を推進していくとしている。
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