2025年6月2日
経済産業省は5月23日、2025年度夏季の電力需給対策をとりまとめ公表した。節電要請については、2025年度夏季は、全エリアにおいて電力需要に対する供給力の余力を示す予備率が安定供給に最低限必要な3%を確保できる見通しのため、昨夏に引き続き行わない方針だ。
2025年度夏季は、全エリアとも10年に一度の厳しい暑さ(猛暑H1)を想定した電力需要に対し、最小予備率時において安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しとなった。一方で、確保している電源の中には老朽化した火力発電所が含まれており、発電所のトラブルのほか、異常気象など自然災害に対して脆弱な構造にあることを踏まえ、引き続き電力需給は予断を許さない状況にあると解説する。このため、今夏の電力需給の安定化に向けては、昨冬に引き続き、発電事業者に対し、保安管理の徹底を要請した。
また、安定供給を大前提とした電源の脱炭素化を進める観点から、再エネを最大限の活用するとともに、原子力発電所の再稼働を進め、短・中長期における供給力の確保を図るとともに、連系線の増強などの構造的な対策を実施する。万が一、大規模発電所の設備トラブルなどによって供給力が不足する状態となった場合は、随意契約により供給力を確保するなど機動的な対応を行うとしている。
企業・家庭においては引き続き省エネ対策を推進し、エネルギーコストの上昇に強い省エネ型の経済・社会 構造への転換を図っていく。
気象庁の発表によると、2025年夏(6月~8月)は、全国的に高い見込みだ。電力広域的運営推進機関(OCTTO)は今回、2025年度夏季の電力需給に関して、猛暑となった場合の需要の想定、安定的に見込める供給力の積み上げを行い、安定供給の見通しや需給バランスを検証した。

【参考】
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2025年6月1日
エナリス(東京都千代田区)は5月26日、同社が正会員として所属する「EVワイヤレス給電協議会」において、新たなワーキンググループ(WG)「EVワイヤレス給電を活用した新たなサービス検討」を立ち上げたと発表した。
今後構築されていくワイヤレス給電の仕組みにエネルギー・リソース・アグリゲーションの仕組みを融合し、調整力と経済的メリットを生み出すビジネスモデルの検討を進める。
エネルギー・リソース・アグリゲーションとは、蓄電池や電気自動車(EV)などの分散型エネルギーリソースを束ねて制御することによって、電力の需要と供給のバランスを調整すること。再生可能エネルギーの主力電源化で必須となる調整力が確保できるほか、リソース提供側への経済的メリットや、最適な制御による電気料金の削減などに繋がる。
エナリスでは、分散型エネルギーリソースの中でも、家庭用蓄電池やEVなどの低圧リソースを中心に活用したアグリゲーション技術・スキームの開発に取り組んできた。同社は、これまで実施してきた実証事業から、EVは、充電設備に接続された状態であればレスポンス良く対応できるリソースであり、今後の普及次第では主力の調整力として活用できる可能性があると考える。その一方で、充電ケーブルが接続されている状態でなければ制御が不可能であるため、応動率が50%~70%と低くなる傾向にあることや、調整力として活用するためには、車両の場所や状態を常に把握できる状態にしておく必要があることなどの課題も見つけ出したという。
物理的に充電ケーブルを接続させることなく電気エネルギーを伝送するワイヤレス給電でEVに給電できれば、「移動する蓄電池」であるEVを調整力として活用できる可能性がさらに広がり、課題解決策の一つとなることが見込まれる。
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