2025年7月28日
三井物産(東京都千代田区)は12月5日、三菱商事(同)、商船三井(同・港区)、日本航空(JAL/同・品川区)とともに、DAC技術開発を手がける米企業Heirloom Carbon Technologiesに共同出資したと発表した。この出資は、Heirloomが1.5億ドル(約227億円)の資金調達を完了する一環として実施されたもの。
HeirloomのDAC技術は、従来の方法(アミン法)とは異なり、豊富で安価な石灰石を使い効率的にCO2除去する点に特徴がある。これにより、除去のプロセスをシンプルかつ大型化するとともに、低コスト化を実現する。
2023年11月には1年当たり1000トンを回収する米国初の商業プラントの稼働を開始。現在は米国エネルギー省の補助金(最大約910億円)の下、年間100万トンを除去する大規模プラント「Project Cypress」の開発を進めている。稼働開始は26年の予定。
このほか、同社では、回収したCO2をコンクリートや地下に半永久的に・安全に固定しカーボンクレジットを創出し、米Microsoftなど気候変動対策に取り組む企業向けに販売している。

DAC技術開発推進に向けて、国内各社による海外投資が活発化している。
商船三井と三菱商事は2023年7月、日本企業として初めてHeirloomに参画した。今後は同社が開発中のDAC後続案件への直接参画についても検討する方針だ。
JALは大気中のCO2除去を通じて創出されるカーボンクレジットを活用するなど、脱炭素手法の多角化を検討中だ。DAC以外では、海水を活用したネガティブエミッション技術の一つである「DOC技術」に強みを持つ米国ベンチャー企業のCaptura社にも出資している。
三井物産は、今後仮に世界全体がCO2削減に向けて最大限の努力をしたとしても、年間20億~100億トンのCO2は削減できないという試算を紹介しながら、DAC技術の早期商業化と社会実装の必要性を説く。今回の出資を機に同社との関係を強化し、DACを世界各地で推進中の他事業と組み合わせ、カーボンマネジメント産業を創造していきたい考えだ。
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2025年7月27日
NEOSリニューアブル・エナジー(ERE/東京都港区)と豊前東芝エレクトロニクス(豊前東芝/福岡県豊前市)および東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS/神奈川県川崎市)の3社は7月8日、豊前東芝向け環境価値の供給に関するコーポレートPPAを締結した。これにより豊前東芝は、年間約955tのGHG排出削減を見込む。
この取り組みでは、EREが運営する九州エリアの出力約1910kW太陽光発電所から発電される再エネ由来の電力と環境価値を、東芝ESSが調達。年間約229万kWhの電力を日本卸電力取引所で売電し、東芝グループの豊前東芝に対し、バーチャルPPAを通じて環境価値を供給する。

豊前東芝は、東芝デバイス&ストレージの製造グループ会社として半導体およびHDD(ハードディスク)事業を担う。グループが掲げる「2030年度までに製造拠点の温室効果ガス排出量100%削減」という目標の実現に向けて、今回の取り組みを導入した。今後も再エネ導入手法の多様化・ベストミックスを進めていく方針だ。
EREは2012年に設立された再エネ発電事業者で、120カ所以上の発電所(太陽光・風力・バイオマス)を運営または建設し、PPAモデルを中心に再エネの普及と脱炭素社会の実現を目指している。
再エネアグリゲーターである東芝ESSは、エネルギー機器メーカーとしてのノウハウとデジタル技術を融合させ、安定的かつ効率的な再エネ電力システムの構築に取り組んでいる。
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