2025年8月6日
本田技研工業(ホンダ/東京都港区)は8月1日、トクヤマ(同・千代田区)、三菱商事(同)とともに、山口県周南市で、副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用したデータセンター(DC)向けの実証を開始したと発表した。
実証では、副生水素を活用した定置用燃料電池電源や系統からの電力、定置型蓄電池(BESS)、再エネといった複数の電力を組み合わせ、高効率かつ最適な電力構成や運用パターンに基づく検証を行う。期間は2025年8月から2026年3月までの予定。
具体的には、山口県周南市の実証サイトにて、トクヤマが⾷塩電解事業で製造する副⽣⽔素を活⽤し、ホンダが燃料電池自動⾞(FCV)からのリユースを想定して開発する定置用燃料電池電源から、三菱商事が運⽤する分散型データセンターに電⼒を供給する。
非常用電源での活用に加え、系統電力から切り離した常用電源としての利用や電力系統のピークシェービング、系統への電力供給といった電力需給調整力を目的とした使用など、さまざまな運用パターンをエネルギーマネジメントシステム(EMS)で切り替えながら実証を行う。
ホンダらは実証を通じて、⾞載⽤燃料電池の定置用燃料電池電源へのリユースの可能性や今後普及が⾒込まれる燃料電池の活用方法を見出し、定置用燃料電池電源の導⼊や運⽤にかかる企業の経済的負担軽減や電⼒の脱炭素化を⽬指す。
また、分散型データセンターの電源として、低炭素で安定受給できる副⽣⽔素とリユースを想定した燃料電池を活⽤することで、AIの活用などにより高まるデータ処理ニーズに応え、DCのGXや⾃治体・地元企業のDX推進を支援していく。
なお、同実証は、2023年6月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/地域モデル構築技術開発」事業に採択され、3社で実証開始に向け検討、準備を重ねてきたもの。
実証に使用する定置用燃料電池電源は、ホンダの燃料電池自動車「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」にも搭載されている燃料電池を活用したもので、工場や事業所などの大型施設向けに水素由来のクリーン電力を供給する役割を担う。
最大出力消費電力量は、導入先のニーズに合わせた調整が可能。起動から10秒以内に電力供給を開始し、非常時においても信頼性の高いバックアップ電力を迅速に提供する。また冷却システムや内部レイアウトを最適化することで、コンパクトサイズを実現している。
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2025年8月5日
トリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)は7月31日、中国を除くアジア太平洋地域において、2.4GWhの系統用蓄電システム(BESS)導入プロジェクトを進めていることを明らかにした。
傘下のトリナ・ストレージ(同)が主導し、日本・豪州・東南アジア・南アジアの4地域で行う。プロジェクト全体の容量は、2025年にアジア太平洋地域で導入されるBESS総量(約16GWh、BloombergNEF調べ)の約15%に相当する見通しだ。
日本・豪州・東南アジア・南アジアの4地域で実施するBESS導入プロジェクトのうち、最大規模となるのが、南アジアでの大型蓄電事業だ。同事業の総容量は1.7GWhで、南アジア最大級のBESSプロジェクトの一つに位置付けられている。現在プロジェクトは遂行中で、2025年中にも段階的に導入される予定だ。
豪州では、南部最大級となる再エネおよび蓄電の大型複合開発「Limestone Coast North Energy Park」(出力200MW・容量400MWh)が進行中。2025年の稼働を目指している。
「Elementa」は、電池セルからシステム全体に至るまでトリナ・ストレージが自社開発した、電力を最適に管理・制御する統合型システム。電池セルからPCS・EMSまでを最適化し、年間実効電力量を向上させる。エネルギーロスは、従来比で最大30%削減(OPEX削減)できるという。今回のプロジェクトでも積極的に採用される予定だ。
日本国内では、6月に日本初となる大型産業用蓄電池「Elementa(エレメンタ)2」が群馬県内の2拠点に同時設置された。システム構成は「Elementa 2」(1台当たり容量4073kWh)が2台で、出力は約4MW、容量は約16MWh(一般家庭約1500世帯分の1日の電力使用量に相当)。蓄電池の設計や調達、工事、試運転は現地パートナーと連携し、実施された。
トリナ・ストレージは、BloombergNEFが実施した調査において、「Tier 1エネルギー貯蔵システムメーカー」に6四半期連続選出。また同社製品は「IEC」「UL」「NFPA」などの国際基準や日本・豪州などの各国の認証・規制にも対応している。
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