2025年8月12日
日立製作所(東京都千代田区)は8月6日、同社の系統用蓄電システムを活用した「松山蓄電所」が商業運転を開始したと明かした。日立グループが国内向けに同システムを納入するのは今回が初めて。
稼働を開始した「松山蓄電所」は、四国電力(香川県高松市)とCHC Japan(東京都千代田区)が共同で設立した事業会社、松山みかんエナジー合同会社(愛媛県松山市)が発注した。定格出力は12MW、定格容量は35.8MWh。
導入した日立の系統用蓄電システムは、スイスチューリッヒに本社を置く日立エナジーの電力変換ソリューションを活用する。同ソリューションを用いることで、電力需給バランスに合わせた効率的な蓄電・放電のほか、高品質な電力を提供するための管理システムや再エネの出力変動に応じた調整力の供給が可能になるという。
なお、今回の開発は、設計から調達、施工、試験に至るまで、日立グループが一括で手がけた。建設では、日立製作所が電力会社向けの系統安定化や蓄電システムの豊富な経験を活かし、要件定義や初期設計、プロジェクト全体の管理を担当。日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)は変電設備の提供と蓄電所全体の据付工事を、日立エナジーは電力変換ソリューションの提供に加え、試運転業務も担当した。
分散型エネルギー源向けに開発した電力変換ソリューション。導入企業は、持続可能性の目標達成やCO2排出量削減、再エネ貯蔵量の増加 、 電力グリッドの信頼性と回復力向上 などが期待できる。現在、5大陸で6GWが稼働、8.5GWh以上が設置済みまたは建設中である。
今回のプロジェクトは、電力変換システム(PCS)、発電所コントローラー(PPC)、太陽光発電用インバーター(PVI)、太陽光発電と蓄電池を直流で連携する先進マルチポートインバータ(AMPS)などで構成される。
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2025年8月11日
三菱HCキャピタル(東京都千代田区)は8月6日、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、北海道電力(北海道札幌市)と共同で、ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始すると発表した。検証例が少ない低温環境下や実際の利用環境に近い実験施設で、同太陽電池の耐久性や発電特性を検証する。期間は2025年8月から2026年10月まで。
実証は、2025年8月から11月までは北海道電力の恒温恒湿室で、2025年11月以降は北海道電力の実験住宅を使って行われる。
恒温恒湿室によるラボ試験では、マイナス25℃という低温環境をつくり出し、ペロブスカイト太陽電池の発電特性などを検証。実験住宅のフィールド試験では、窓・外壁面に太陽電池を設置し性能を評価する。
同実証のとりまとめ役を担う三菱HCキャピタルは、太陽電池および蓄電池の調達のほか、経済性分析を担う。エネコートテクノロジーズは、同太陽電池の製造を、北海道電力は、実証施設の提供や設置工事に加え、試験データの取得・分析を担当する。
3社は今後、同実証を通じて、発電特性の把握や積雪寒冷地にも適応可能な施工方法のノウハウを獲得し、ペロブスカイト太陽電池の社会実装を牽引していきたい考えだ。
積雪地でのペロブスカイト太陽電池の実証では、YKK AP(東京都千代田区)が2月、「さっぽろ雪まつり」会場でペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電(BIPV)を設置する実証を行い、積雪条件下での垂直設置の有効性を確認している。
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