2025年8月19日
資源エネルギー庁は8月12日、FIP制度のさらなる活用推進に向け、同庁ウェブサイト「なっとく!再生可能エネルギー」において、新たな3つの施策を開始すると発表した。FIP事業者向けの環境整備では、全国のアグリゲーターが展開するFIP事業者向けプランを同サイト上に掲載する取り組みを始める。
FIP事業者向けのプラン掲載は、小規模電源も含めFIP制度の活用促進に欠かせないアグリゲーター(特定卸供給事業者)との接点強化が目的。新たにプラットフォームを立ち上げ、FIP事業者とのマッチングを図るという。9月中をめどに掲載を開始する予定で、掲載希望者は専用サイトで登録が行える。
このほか、同庁は新たに、FIP制度の活用促進に向けた勉強会の開催や太陽光発電におけるFIP移行時の蓄電池設置手続きに関する審査の迅速化を図る。
FIP制度では、再エネ発電事業者自らが電力需給の状況などに応じて発電事業を実施していくことが重要となる。発電量・市場価格などの変動予測の精緻化・効率化には、アグリゲーターや気象予測関係者、金融機関といった関連プレーヤーとの連携が欠かせないことから、「FIP制度の活用促進に向けた勉強会」を開催することとした。
9月中旬に実施する第1回勉強会では、太陽光発電協会がFIP促進ロードマップやアクションプランを紹介する予定だ。
2回目以降は、以下のような議題を取り扱う。
・事業計画策定やファイナンス組成などの課題に関するヒアリング(第2回)
・アグリゲーション・ビジネスや発電量・気象予測サービスなどの解説(第3回)
勉強会の資料やネットライブ中継リンクは、同庁ウェブサイトに順次掲載される。
また、FIP制度のさらなる活用に加え、蓄電池設置の推進の観点から、太陽光発電に関して、既存のFIT認定をFIP認定に移行する際に、併せて蓄電池を設置する場合の手続きを改めて周知するとともに、手続きの迅速化に向けて、一部の運用を変更する。
蓄電池設置に関する書類の内容について事前確認を行うことで、変更認定申請の審査期間が短縮される。これまで同様に、FIP移行認定に係る認定通知書を受領してから発電量調整供給契約が開始されるまでの間(上図中(2)~(3)の間)に、蓄電池設置に関する変更認定申請を行うことも可能。9月1日以降、適用開始。
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2025年8月18日
東京ガス(東京都港区)と子会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES/同)は8月7日、グループ独自のレーザー式メタン検知技術と数値流体シミュレーション技術を用いた自然環境下におけるメタン濃度の簡易計測・可視化の実証研究を開始したと発表した。同手法を評価する取り組みは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実証事業に採択されている。
TGESのレーザー式メタン検知技術は、メタンガスに吸収される赤外線レーザー光を照射し、地面などで乱反射したレーザー光の吸収量によりメタンガスの存在を瞬時に検知するもので、都市ガスの漏洩検査などにも利用されている。
JAXAの実証事業は、開発した手法が水田からのメタン発生量の変化を簡易に計測する手法として活用できるかを評価するもの。レーザー式メタン検知技術で計測したデータを高精度な数値流体シミュレーション技術を用いて解析することで、水田で発生するメタンの拡散現象を周辺環境も踏まえて再現し、発生量削減効果を測る。
自然環境下におけるメタン発生量の計測を効率化・高精度化することで、今後は、水田から発生するメタン排出量を削減する間断灌漑手法(AWD)などメタン計測プロセスを有するカーボンクレジット創出の各種方法論や、カーボンインセット施策などへの応用が期待できると、両社は説明する。
近年、企業や自治体のカーボンニュートラル達成に向け、自社のGHG排出削減に加え、カーボンクレジットの活用が進んでいる。一方で、クレジット創出や活用に関するルール整備は途上段階にあり、信頼性の高いカーボンクレジットのニーズはこれまで以上に高まっている。
東京ガスが参加するJAXAの実証は、水稲の中干しを用いて水田からのメタン排出量を削減することで、創出されるカーボンクレジットの信頼度向上を目指す実証事業。秋田県の大潟村あきたこまち生産者協会の協力の下、衛星データを用いた水田における湛水の有無を把握する実証事業を実施している。
また、東京ガスは、2024年にフィリピンでの民間JCMに基づくAWD共同検証事業に参画し、メタン排出量削減を進めている。同社は今後も、AWDなどメタン計測のプロセスを有するカーボンクレジット創出の各種方法論やカーボンインセット施策などへの応用も視野に入れ、クレジットの信頼性を高めていく。
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