2026年5月2日
経済産業省は4月24日、資源有効利用促進法に基づく識別表示の見直しの一環として、PETボトルのラベルレス化を拡大する方針を示した。
従来は箱売りなどに限定されていたラベルレス対応を、条件付きで単体販売(ばら売り)にも広げる方向で制度改正を検討する。識別機能を維持しつつ、プラスチック使用量の削減と資源循環の加速を図る。
現行制度では、PETボトルにはリサイクル識別のための「PETマーク」を、「容器への刻印」と「ラベルなどへの表示」の両方で付すことが条件だった。刻印は回収・選別段階での識別を目的とし、ラベル表示は消費者が分別排出を行う際の判断材料として機能してきた。
今回の見直しでは、このうちラベル表示の役割を再検討する。消費者における識別マークの認知が進んでいることを踏まえ、刻印のみでも従来と同様のリサイクル行動が可能であれば、ラベルへの表示を省略できるようにする考えだ。
これまで外装表示を前提とした限定的な措置にとどまっていたラベルレスを、単体販売にも広げ、商品仕様に応じてラベルの要否を選択できる制度へと拡張する。
制度改正の方向性としては、ラベルに他法令による表示が付されない場合に限り、PETマークのラベル表示を省略できるようにすることが検討されている。これにより、これまで外装に表示を集約することで認められていたラベルレスの仕組みが、より広い販売形態に適用されることになる。
背景には、識別表示を取り巻く環境変化がある。制度創設から30年以上が経過し、分別回収は社会に定着した。加えて、容器の小型化や機能性向上など技術面の進展、さらには資源循環の加速という政策要請の高まりを受け、識別表示の在り方を見直す必要性が指摘されている。
また、食品表示法など他法令との関係も制度設計に影響する。現在は、ラベルに名称や成分表示などの法定表示を記載する必要があるが、一定条件下ではキャップなど限られた面積に表示を集約することも可能とされている。こうした制度の柔軟化も、ラベルレス拡大を後押しする要因となっている。
実証的な裏付けとして、消費者アンケートの結果も示された。ラベルがない場合でも、刻印されたリサイクルマークを約9割が認識し、ほぼすべての回答者が従来通り分別できると回答。ラベル表示を省略しても分別行動が維持される可能性が確認された。
新方針の狙いは、ラベル廃棄量の削減による環境負荷低減と、消費者の分別排出の容易化にある。同省は、ラベルを剥がす手間を省くことで分別行動を阻害しないようにしつつ、プラスチック使用量そのものを減らすことを目指す。
飲料メーカーや関連企業にとっては、包装設計や製造工程に影響が及ぶ可能性がある。ラベルが不要となる製品では、フィルムや接着剤といった資材使用量の削減につながるほか、ラベリング工程の見直しも想定される。一方で、食品表示などの法定表示をどのように確保するかといった設計上の新たな課題も想定される。
ラベルレス飲料については、日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)やサントリー(大阪府大阪市)、大塚製薬(東京都千代田区)などのメーカー各社が同社商品のラベルレス化を推進するほか、プリンスホテル(同・豊島区)が客室提供のミネラルウォーターをラベルレスボトルに切り替えるなどの取り組みが広がっている。
記事内容へ
2026年5月1日
大阪ガス(大阪府大阪市)と神戸製鋼所(兵庫県神戸市)は4月24日、関西エリアの製鉄・火力発電由来のCO2を回収し、海外で地層貯留することを想定した大規模CCS(CO2回収・貯留)の実現可能性に関する予備調査(プレFS)を実施したと発表した。
実施期間は2025年6月から2026年3月までで、関西エリアを起点としたCCSバリューチェーンの全体像を俯瞰し、今後の検討に向け主要な課題を整理した。
大阪ガスは、日本国内の工場などのCO2排出源からCO2を回収し、海外の貯留地に圧入することを目指し、2023年5月より英石油大手シェルとCCSバリューチェーン構築に関する共同検討を行ってきた。
今回、大阪ガスと神戸製鋼は、シェルと共同で予備調査を実施した。
神戸製鋼所の加古川製鉄所を対象に、製鉄所を排出源とするCO2回収、回収したCO2の液化・貯蔵・出荷、海外への船舶輸送、主に技術的実現可能性や各工程の概算コスト、制度面の論点を整理し、初期段階の事業性評価を行った。
また、大阪ガスがCCUなどを検討してきた泉北天然ガス発電所(出力110万kw)から回収した排ガス中のCO2との共同輸送も含め検討が行われた。
これらの検討を通じて、関西エリアを起点としたCCSバリューチェーンについて、想定条件の下で要点となる構造を策定し、コスト、政策的支援、規制・制度、関係者連携など、今後の検討に向けた主要課題を整理した。
今後も大阪ガスと神戸製鋼所は、中長期的な視点でCCSの可能性について検討を継続していく方針だ。
日本の産業分野では再エネ導入や天然ガスへの燃料転換などによる脱炭素化が進められるが、鉄鋼・セメント・化学などの製造業では製造工程で排出されるCO2を削減することが困難だ。特に鉄鋼業は製造業が排出するGHGの4割近くを占める排出源となっているため脱炭素化が急務とされるが、製鉄のプロセスで石炭は必要不可欠であることが脱炭素化を阻む。CCSは、こうした分野において中長期的な排出削減につながる技術の一つとして期待され、国内外で検討が進められている。
CO2を地下に貯留するためには、地表面や海底面から1000m以上深い地質であることや、多孔質の地層(貯留層)が存在し貯留岩が泥岩などの不浸透性の地層で覆われていること、十分な貯留容積を有していることという3つの地質条件が必須とされる。
記事内容へ