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2026年5月8日

政府予算70億円に続き自治体も 神奈川県がペロブスカイト太陽電池等に補助

神奈川県は5月1日、次世代型太陽電池普及促進事業費補助金の公募を開始した。公募期間は6月26日まで。

日本国内の民間事業者を対象に、同県内の施設に国産のペロブスカイトやカルコパイライトなど次世代型太陽電池を設置する実証にかかる経費について、最大2000万円を補助する。

 

次世代型太陽電池の量産化後の県内展開を見据えた実証を支援

補助対象となる実証事業の要件は、国産かつ商用化されている次世代型太陽電池を、同県内に立地する工場・倉庫・集合住宅・高層ビルなどに設置し、発電効率や発電量、耐久性などの効果検証を行うものであること。

設置場所の要件は、次世代型太陽電池の「薄く、軽く、曲げられる」という特性を活かし、たとえば壁面や柱、窓、耐荷重の低い屋根など、従来のシリコン型太陽光パネルでは設置が難しかった場所。

実証は、ペロブスカイト太陽電池やカルコパイライト太陽電池が量産化された場合に、同県内で展開できる事業であることを視野に入れ、地域特性を活かし広く有効な検証結果が得られるものであること。また、採択事業者は可能な限り実証内容を公表することが求められる。

補助率は実証にかかる経費の2/3で、上限額は2000万円。補助対象経費の内訳は、需用費、役務費、委託料、使用料および賃借料、工事請負費、原材料費、備品購入費、その他付帯経費。県の予算額は6007万円。

 

2025年度はPXP・日産自動車・マクニカ・神奈川県中央交通・ベイサンの事業を採択

同県の次世代型太陽電池普及促進事業費補助金は、2025年度に新設した補助金。2025年度は以下の5社を採択したと2025年7月18日に公表した。

・神奈川中央交通:路線バスの屋根

・日産自動車:店舗窓上部 、キャノピー柱

・PXP:神奈川県庁の渡り廊下 ほか

・ベイサン:神奈川県総合防災センターの防災テント庇部・テント内側の窓辺根

・マクニカ:小田急線および箱根登山鉄道の2駅

採択時の事業内容は以下のとおり。

 

PXP×相模原市、カルコパルライト太陽電池実証

PXP(神奈川県川崎市)は相模原市イノベーション創出促進拠点の窓や壁面などに、同社開発のカルコパイライト太陽電池を設置する。PXPの取り組みは、日揮(神奈川県横浜市)、東海旅客鉄道(JR東海/愛知県名古屋市)および相模原市と共同で実施するもの。実証を行う相模原市イノベーション創出促進拠点「FUN+TECH LABO」(ファンタステックラボ)」では、新技術などの実証・実装が進められており、今回、カルコパイライト太陽電池を使って、窓や壁面などのこれまで設置が困難だった場所への設置や年間を通じた発電量の違いを検証する。

実証において、PXPはソーラーパネルの設計・製造、データ解析・点検などを担当する。日揮はシステムの施工手配を、JR東海は実証場所の提供や相模原市とともに普及啓発に向けた活動を展開する。

 

日産、PXP社製次世代型太陽電池を販売店に設置

日産自動車(神奈川県横浜市)は10月から、PXPが開発中の次世代型太陽電池を日産販売店に設置し、環境配慮型店舗導入や発電電力の活用方法に関する実証を行う。

実証では、次世代型太陽電池を店舗の窓や屋外の円柱部分に設置。発電した電力は発電量などのデータを分析しながら、店内ディスプレイやスマホ充電器、自動販売機の作動電力に利用するという。また、取り組みの成果は見える化し、来場者や県民、事業者に広く周知する。

 

神奈川県中央交通は路線バスを使った実証

神奈川県中央交通(神奈川県平塚市)は、燃費の向上と環境負荷の低減を目的に、次世代型太陽電池搭載の路線バスによる実証実験を平塚営業所管内で行う。実証は10〜11月をめどに開始し、PXPが取り組みを支援する。

これらの取り組みは、「神奈川県次世代型太陽電池普及促進事業費補助金」の対象事業に採択されたことを受けて実施するもの。3社のほかには、「神奈川県総合防災センター」などを利用したベイサン(神奈川県横浜市)の実証、「箱根湯本」駅・「早雲山」駅で行うマクニカ(同)の取り組みが選出された。

 

国は次世代型太陽電池の社会実装推進に予算70億円 自治体もこれに続き支援強化

国は「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」 について2025年度に予算50.2億円を新設し、2026年度は約1.4倍となる70億円規模へと増額した。 環境省では国の補助事業を活用しペロブスカイトなどを導入した最新事例集を2026年4月に公表している。

国の導入支援事業の拡充を受け、大阪府は4月20日、新たに「ペロブスカイト太陽電池開発・実証支援事業補助金」の公募を開始。福岡県では同月30日、次世代型太陽電池を設置する実証を支援する公募を開始した。

東京都では、2025年に開始したペロブスカイト太陽電池を都の施設に導入する取り組みを100%助成(最大3億円)する事業を、2026年度も実施する予定だと発表している。2025年度の採択事業者はリコー(東京都大田区)、積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)および京セラコミュニケーションシステム(京都府京都市)。

 

 

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2026年5月7日

環境・サステナ部門は「配属ガチャ」ハズレでも「キャリアの墓場」でもない

環境業界に15年以上携わるキャリアコンサルタント、渡邉 功氏による連載「環境・サステナキャリア3.0の時代」、5月15日(金)の夜19時開催のオンラインセミナー「あなたのサステナ業務、市場価値がありますか? 〜社会に良いことと、キャリアに良いことの違いを本音で語る〜」を控え、今回はいわゆる『サステナ担当者』が昔と違って今はどう変わったのか、現在どう捉えればキャリアアップにつながるのか、を解説いただきます。


環境・サステナビリティ領域の人材市場を見ていると、ここ数年で相談内容が変わってきたと感じる。

以前は、「どうすれば環境・サステナビリティの仕事に就けるのか」という入口の相談が多かった。未経験でも入れるのか、資格は必要なのか、どんな経験が評価されるのか。主な関心は、この領域に入る方法だった。

しかし最近は、すでにこの領域に入った人からの相談が増えている。事業会社のサステナビリティ部門に配属された人、サステナビリティコンサルタントとして実務に入り始めた人、統合報告、人的資本、排出量算定、サプライチェーン対応などに関わるようになった人たちである。

彼らの問いは、もう少し切実だ。

「このまま続けて、自分の経験は市場で評価されるのか」

これは、かなり重要な問いである。なぜなら、サステナビリティ職は、かつてのように「なれたら勝ち」の希少なポストではなくなってきているからだ。求人は増え、職種名も広がり、企業内の担当部署も増えている。しかし、どの経験でも同じように市場価値につながるわけではない。むしろ市場が広がったことで、経験の中身による差が出やすくなっている。

私は以前、国内電機メーカー65社に在籍するサステナビリティ推進人材100名の職務経歴を分析したことがある。そこで見えてきたのは、日本企業のサステナビリティ推進人材が、長らく環境マネジメントを中心に形成されてきたという実態だった。ISO14001、環境法規制、工場管理、環境報告書。これらは日本企業の環境対応を支えてきた重要な基盤である。

ただし、現在のサステナビリティ実務は、気候変動、人的資本、人権、調達、自然資本、資源循環、情報開示へと広がっている。求められているのは、現場の法令対応だけではない。企業価値と社会価値を接続し、複数部門を動かし、データやリスクを経営に上げる役割である。

一方で、こうした新しい仕事に対して、企業側もまだ十分なキャリアパスを用意できていない。サステナビリティ部門は、役員直下に置かれることも多い。経営に近いという意味では魅力的に見える。しかし裏を返せば、担当役員の関心、理解、人事異動に大きく左右されるということでもある。担当役員が変われば、方針が変わる。部門の位置づけが変わる。昨日まで経営課題だったものが、突然、報告書作成の事務局に戻ることもある。

さらに、社内にロールモデルがいない。上司、同僚も詳しくない。評価基準も曖昧である。にもかかわらず、親会社、経営層、外部コンサル、各部門の間に立たされる。結果として、本人はかなり働いているのに、自分が何の専門性を積んでいるのか説明できない状態に陥ることがある。

これは、現代のサステナビリティ職の大きなリスクである。

 

「サステナビリティなんて、やらなければよかった」

たとえば、ある若手社員は、通信系企業に総合職として入社し、当初は経理部門で経験を積んでいた。大学時代にサステナビリティを学んでいたこともあり、グループ全体でサステナビリティ推進体制を整えるタイミングで、急に担当者に抜擢された。

一見すると、良い機会に見える。だが、社内には自分以外に詳しい人がいなかった。上司も同じような知識レベルで、実務は親会社の方針に従ってデータを集め、社内に周知し、会議資料を整えることが中心だった。難しい部分は、親会社が起用した外部コンサルタントが対応する。本人はその間をつなぐ役割を担い続けた。

2年が過ぎた頃、同期は経理や人事で着実に実績を積んでいた。一方、自分は忙しく働いてきたにもかかわらず、何を専門にしてきたのかが分からない。異動希望は「他に担当できる人がいない」と聞き入れられない。転職活動を始めても、サステナビリティの経験をうまく説明できず、面接で語れるのは配属初期の経理経験ばかりだった。

本人は「サステナビリティなんて、やらなければよかった」と振り返った。

これは極端な例ではない。サステナビリティの仕事が、本人のキャリア形成と接続されないまま、便利な調整役として消費されると、このような状態は十分に起こり得る。配属当初、本人はこの仕事に希望を持っていた。大学で学んだテーマを実務に生かせると感じていた。しかし、社会的意義だけではキャリアは守れない。本人の市場価値が積み上がらず、評価にも結びつかなければ、その仕事はキャリアの墓場になってしまう。

 

ある人は、新卒で金融機関の総合職として働き始めた。金融業界で働く中でサステナブルファイナンスに関心を持ち、海外大学院で専門的に学び直した。安定した大企業を離れる決断に、周囲は強く反対した。実際、当時はサステナビリティのキャリア市場もまだ狭く、帰国後に選べたのは小規模なサステナビリティコンサルティング会社だった。

しかし、小規模企業だからこそ、早い段階で大型プロジェクトに関わる機会を得た。調査、提案、顧客対応、開示支援、戦略策定を若いうちから経験し、時代の流れとともに扱うテーマも広がっていった。やがて彼はシニアマネージャーとなり、かつて働いていた金融業界の企業をクライアントとして支援するようになった。

その後、ある新興の金融機関から声がかかった。サステナビリティを経営の中核に据えるため、役員待遇で参画してほしいという誘いだった。同年代の金融機関出身者であれば、早くても課長クラスに差しかかる年齢である。安定した金融機関のルートを自ら離れ、決して平坦ではない道を歩んできた彼にとって、サステナビリティは遠回りではなかった。むしろ、金融、専門知、コンサルティング、経営をつなぐ一本の線になった。

かつての職場には存在しなかった新しいポジションを、彼は自らの経験によってつかみ取ったのである。サステナビリティが、彼のキャリアをつないだのだ。

 

運ではなく「どの職務経験を積んだか」が明暗を分ける

2つのケースの違いは、運だけではない。後者は、金融、専門的な学び、コンサル実務、複数プロジェクト、クライアント業界への理解が一本につながっていた。

一方、前者はサステナビリティ業務に携わっていたにもかかわらず、経験が職務として整理されていなかった。データ収集、会議運営、社内周知、親会社対応は必要な仕事である。しかし、どの基準を理解し、どの意思決定に関わり、どの専門性を身につけたのかが見えにくいままだった。

ここに、現在のサステナビリティ職の分岐点がある。

大切なのは、肩書ではない。どの職務経験を積んだかである。

「統合報告に関わった」という表現だけでは、経験の中身は伝わりにくい。マテリアリティの見直し、KPI設計、部門横断のデータ収集、経営会議向け資料作成のどこまで担ったのかで、市場での評価は変わる。温室効果ガス排出量のScope算定も同じである。算定範囲の整理、サプライヤー対応、根拠管理、削減施策、外部保証対応まで語れて初めて、経験は職務として伝わる。

サステナビリティという言葉は非常に広い。広い言葉は便利だが、採用市場では曖昧になりやすい。だからこそ、自分の経験を職務の言葉に翻訳する必要がある。

ここで重要になるのが、サステナブルキャリアという考え方である。

これは、単に長く働くことを意味しない。自分の健康や幸福を犠牲にしながら、会社の都合に合わせ続けることでもない。サステナブルキャリア研究では、個人のキャリアを、本人の行為主体性や意味づけ、職場や社会の文脈、時間の経過の中で捉える。仕事で成果を出すことに加え、健康、幸福、そして現在の成果と将来の雇用可能性が保たれているかが問われる。

 

環境・サステナ職でも使える「自分のキャリア点検ポイント」

サステナビリティ担当者に当てはめると、この理論はかなり実務的な点検軸になる。

まず、文脈である。サステナビリティ部門は、役員直下、親会社方針、外部コンサル、各部門の協力度に大きく左右される。本人の努力だけでは職務の質が決まらない。上司も未経験で、ロールモデルもなく、評価基準も曖昧な環境では、どれほど働いても経験が職務として積み上がらないことがある。

次に、個人である。サステナブルキャリアでは、個人の行為主体性(Agency)と意味づけが重視される。サステナビリティ担当者にとっては、自分がどの経験を取りに行くのか、どのテーマを深めるのか、いまの業務をどう職務経歴として翻訳するのかが問われる。ただ会社から任された仕事をこなすだけでは、キャリアは会社の都合に回収されてしまう。

そして、時間である。サステナビリティの仕事は、数年単位で経験の蓄積が見えにくいことがある。担当役員の異動で方針が変わり、親会社の要請で業務が変わり、異動希望も通らない。時間が経ったにもかかわらず、語れる専門性が残らないのであれば、そのキャリアは危うい。

そのうえで問うべきなのが、健康、納得感、雇用可能性である。心身を削り続けていないか。社会的意義だけで自分を納得させていないか。社外でも通用する経験になっているか。サステナビリティ担当者自身のキャリアが持続不可能になってしまえば、本末転倒である。

 

これは個人だけの課題ではない。企業側も、サステナビリティ担当者を便利な横断調整役として使うだけではなく、どの職務を経験させ、どの専門性を伸ばし、どのキャリアパスへ接続するのかを設計する必要がある。

一方で個人も、自分の経験を定期的に棚卸しした方がよい。開示、データ管理、社内横断、事業接続、特定テーマの専門性。そのどこに強みがあるのか。それとも、サステナビリティという看板の下で、汎用的な事務局業務にとどまっているのか。

環境・サステナビリティは、もはや一部の専門家だけの市場ではない。しかし、誰でも自然に伸びる市場でもない。入りやすくなったからこそ、入った後の差が出る。看板だけのサステナビリティ職で終わるのか、企業の非財務価値を動かす職務経験として積み上げるのか。その差は、数年後にかなり大きくなる。

サステナビリティの仕事を、キャリアの墓場にしてはいけない。むしろ今や「登竜門」として捉えるべきだと言える。

そのために必要なのは、この仕事の先を描く力である。自分の経験を言語化し、市場でどう読まれるのかを理解し、次に積むべき経験を選び取る力である。

 

あなたのサステナ業務、市場価値がありますか?

では、どの経験を優先して積むべきなのか。事業会社とコンサルタントでは、キャリアの伸び方はどう違うのか。いまの職場に残るべきか、転職すべきか。これらは5月15日(金)の夜に開催されるオンラインセミナーで、求人解釈や職種比較も交えながら詳しくお話ししたい。

サステナビリティ担当者のキャリアを考えることは、個人の転職ノウハウにとどまらない。日本企業がサステナビリティを本当に経営に実装できるのか、その人材をどう育て、評価し、市場で流通させるのかという問いでもある。

制度を解説する人は増えた。求人を紹介する人も増えた。しかし、制度、企業実務、人材市場、キャリア形成を同じ地図の上で語れる人は、まだ多くない。

この領域に必要なのは、単なる解説者ではなく、翻訳者である。サステナビリティ職の経験を、個人のキャリアと企業の実装力の双方につなげる視点が求められている。

 

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