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2026年7月22日

新工場の熱源100%水素化 コーセー、再エネ+グリーン水素で地産地消

コーセーホールディングス(東京都中央区)は7月10日、山梨県南アルプス市の「南アルプス工場」を本格稼働したと発表した。創業80周年の節目となる新工場では、再エネやグリーン水素を活用したエネルギーの地産地消モデルを構築し、製造時のCO2排出ゼロの実現を目指す。

また同社は、2040年までに工場で使用する熱源を100%水素へ切り替える方針も打ち出した。製造業では電力の再エネ化が進む一方、熱利用の脱炭素化は依然として課題とされており、どのようなプロセスで目標を実現していくのか、今後の展開が注目される。

 

地域資源を活用した脱炭素型工場が始動

南アルプス工場は、化粧品の生産拠点であると同時に、同社の環境戦略を具現化するフラッグシップ工場として位置付けられる。

工場では、山梨県内の豊富な水資源を生かした水力発電由来の電力を活用するほか、太陽光発電設備も導入。さらに、山梨県が推進する「やまなしモデルP2Gシステム」で製造したグリーン水素を熱エネルギーとして利用し、地域で生み出した再エネを地域で消費する「エネルギーの地産地消モデル」を構築する。

P2G(Power to Gas)は、再エネ由来の電力を利用して水を電気分解し、水素を製造・貯蔵する技術。天候によって発電量が変動する再エネを有効活用できる手法として期待されており、山梨県では官民が連携して水素の製造・供給体制の構築を進めている。

同工場では、このグリーン水素を化粧品製造に必要な熱エネルギーとして利用することで、製造時のCO2排出ゼロを実現する計画だ。

なお、工場建設時にも山梨県営水力発電所由来のCO2フリー電力を100%使用しており、同社は建設段階から環境負荷の低減に取り組んできた。

 

将来的には工場内での水素製造も検討

南アルプス工場で使用するグリーン水素は、当面やまなしモデルP2Gシステムで製造したものを活用する計画だが、将来的には工場内への水素製造設備の導入も視野に入れる。

工場内で循環利用した水と太陽光発電による電力を利用して水素を製造する構想で、水資源と再エネを組み合わせた循環型のエネルギー利用を図る。将来的には、外部から水素を調達するだけでなく、自ら製造する仕組みも検討し、水素利用の拡大を見据える。

 

2040年までに熱源100%を水素へ転換

今回の発表で特に注目されるのが、2040年までに工場で使用する熱源を100%水素へ切り替える方針を明らかにした点だ。

企業の脱炭素化では、再エネの導入やコーポレートPPAなどを活用した電力の脱炭素化が先行している。一方、製造工程で使用する熱は都市ガスやLNGなどの化石燃料への依存度が高く、脱炭素化が難しい分野とされる。

コーセーは2024年に南アルプス工場の建設計画を公表した際、化石燃料から山梨県産グリーン水素へ段階的に転換する方針を示していた。今回、新工場の稼働に合わせて2040年という具体的な目標時期を掲げたことで、水素活用の方向性をより明確にした。

現時点では2040年までの中間目標や設備更新のスケジュール、対象設備などの詳細は公表されていないものの、長期的な視点で熱利用の脱炭素化に取り組む姿勢を打ち出した形だ。

 

「水」を環境戦略の軸に位置付け

また、同社は同日、環境戦略の新たなコンセプト「Water, Life, Beauty」を発表した。

化粧品の主要原料である水は、製品品質だけでなく、生産活動や自然環境とも密接に関わる。今後は、水を企業活動を支える重要な資源とし、水資源の保全から事業活動での有効利用までを一体的に推進していく。

南アルプス工場は、同環境戦略を体現する拠点となる。豊富な地下水を生かしたものづくりに加え、水力発電由来の電力や、水を原料とするグリーン水素を活用することで、水を原料、資源、エネルギーの源として生かす取り組みを進める考えだ。

製造業では、電力の再エネ化が進む一方、熱利用の脱炭素化は依然として課題が残る。コーセーが2040年の目標に向けて、水素の供給体制や設備更新をどのように具体化していくのか。その取り組みは、製造業における熱利用の脱炭素化の実装を考える上でのモデルケースとなりそうだ。

 

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2026年7月21日

ビル・集合住宅の手すりで発電 三協アルミ、建材一体型太陽電池でZEB貢献

三協立山・三協アルミ社(富山県高岡市)は6月30日、ビル・集合住宅向けに、太陽電池一体型アルミ手すり「FINEMASTERSOLA(ファインマスターソラ)」を発売すると発表した。バルコニーや屋上の設置する手すりを発電面として活用した建材一体型太陽電池で、建物のZEB化や環境負荷低減に貢献する。

 

外壁や発電面積を確保しにくい都市部の建物で再エネ導入を後押し

土地の限られた都市部において再エネ発電設備を導入する場合、建物の意匠性や機能性を確保しながら発電できる建材一体型太陽電池の開発が進んでいる。施設の窓などを活用したBIPV(建材一体型太陽電池)や、ビル壁面などに設置できるペロブスカイト太陽電池、駐車場を活用するソーラーカーポートなどの導入が今後さらに普及することが見込まれる。

同社が今回製品化したのは、自社製品のアルミ手すり「FINEMASTER」をベースとして太陽電池一体型アルミ手すり。中低層から高層まで、多様なビルの屋上やバルコニーの手すりを発電面として有効活用し、景観に調和した美観を保ちながら、建物のZEB化や環境負荷低減につなげていく。

同製品は、太陽電池組み込みガラス部と通常ガラス部を同一デザインで実現し、笠木内部の空間を電気配線に利用することで、統一感のある美しい外観を演出できるという。また、さまざまなメーカーやサイズの太陽光パネルを組み込める構造で、建物の設計や条件に合わせて、最適な太陽光パネルを選択できる。

 

共用部の電気代削減や防災対策にも有効

同社は、マンションなどの共用部のコスト削減や防災対策としても適用可能な製品だと提案している。たとえば、同製品で発電した電力は、共用部のエレベーターや照明などで自家消費することで、電気代を削減することが可能だ。また、蓄電池と組み合わせることで、災害時の一時的な電源確保など、緊急時の補助電源としても活用できる。

 

建物を発電設備として活用 多様化する太陽光発電導入

太陽光発電の導入において建材一体型太陽光発電(BIPV)のように、屋根だけでなく建物のさまざまな部位を発電設備として活用する取り組みが広がっている。

今回、アルミ手すりを発電面として活用した三協立山は、3月10日にアイシン(愛知県刈谷市)、山下設計(東京都中央区)と共同で、窓の内側に設置できる「内窓設置型ペロブスカイト太陽電池ユニット」を開発したと発表した。既存建物の改修時に導入しやすい太陽光発電設備として、都市部のオフィスビルや商業施設などのZEB化を後押しする。

また、積雪地域にも対応する製品では、モノクローム(神奈川県横須賀市)が発売した外壁材一体型太陽光発電パネル「Wall–1(ウォール ワン)」などもある。同製品は、建築物の外壁に組み込むタイプの単結晶シリコン太陽光発電パネルで、外装の一部として活用できるよう高い意匠性と景観に配慮したのが特長で、積雪や屋根形状の制約を受ける建物でも太陽光発電の導入を可能とした。

YKK AP(東京都千代田区)は、関電工(同・港区)らと、ペロブスカイト太陽電池を活用した窓一体型BIPVの実証を都内ビルなどで実施し、既存建築物への実装を見据えた技術開発を進めている。また同社は、中国電力(広島県広島市)や中電工業(同)と共に建材一体型太陽光発電(BIPV)の実証実験を2025年12月より開始した。広島市内の地域交流拠点に、YKK APが開発した実証実験ハウスを設置。発電性能や実用性を検証するとともに、人と企業の交流の場を創出。エネルギー創造と地域交流を融合させる実証として、2027年3月31日まで取り組む。

 

環境省 BIPVを対象とした2026年度の補助事業の公募を開始

環境省は7月2日、窓や壁などの建材一体型太陽光発電設備を対象とした2026年度の補助事業の2次公募を開始した。後付け設備も対象としており、建築物の再エネ導入拡大を後押ししている。公募期間は7月24日12時(必着)まで。「窓と一体となった太陽光発電設備」には最大で5000万円、「壁などと一体となった太陽光発電設備」には最大で3000万円、2つの設備を合わせて導入する場合は、最大で8000万円を補助する。補助事業期間は単年度。

さらに、軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池についても、公共施設への導入や建物の窓・壁面への実装が進み、建物全体を発電設備として活用する動きが広がっている。

 

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