2026年3月15日
電力・ガス取引監視等委員会は3月10日、緊急時に必要な供給力を確保する枠組み「予備電源制度」において、電力広域的運営推進機関が実施した「予備電源募集(応札年度:2025年度)」に係る応札価格を監視した結果を公表した。
監視結果を踏まえ、予備電源制度ガイドラインにおいて、予備電源募集の際の応札価格に、経年改修費(資本的支出)と発電側課金を織り込むことができるように、その改定を経済産業大臣に建議した。
今回の監視では一部案件で応札価格の修正が必要となり、制度運用上あいまいだったコスト算入ルールの明確化が課題として浮かんだ。
予備電源制度は、緊急時にも必要な供給力が確保されるよう、一定期間内に稼働(立ち上げ)が可能な休止電源を維持する枠組み。安定電源に区分される火力電源を対象に予備電源の募集を行い、落札した予備電源に対して、休止状態の維持費用を手当てする。
大規模災害による電源の脱落や中長期的な需要増など、容量市場において想定されていない事象により、追加の供給力確保を行う必要が生じた際に、供給力不足を防ぐことが目的としている。
この制度は、2022年3月に生じた東京エリアの電力需給ひっ迫を受けて創設され、2024年から予備電源募集が開始された。電力広域的運営推進機関が、予備電源の調達などのプロセスの実施主体を担っている。
予備電源制度は、候補となる高経年火力の数が限られる。このため、応札容量が大規模な電源は募集量を満たすために落札が不可欠となり、価格つり上げが生じる可能性がある。こうした事情を踏まえ、応札価格については、電力・ガス取引監視等委員会がガイドラインに基づき応札後に監視する仕組みとなっている。
監視では、落札候補となる応札案件について、その案件を応札した事業者に対し、応札価格の算出方法と算出根拠についての説明を求め、事業者から提出された資料などに基づいて、応札価格に織り込まれた各コストがガイドラインで定められた算出ルールに則って算出されているかを確認する。
今回、電力広域的運営推進機関において2025年8月~9月に実施された「予備電源募集(2026年度・2027年度制度適用開始向け)」で落札候補となった応札案件(2社2電源)について、応札価格の監視を行った。その結果、応札価格に織り込むことが認められない金額を確認したことから、その事業者に対し、その旨の通知を行った。その後、通知を受けた事業者から、通知内容を反映して再算定された応札価格の提出があり、いずれも適切に算定されていることを確認した。
今回、電力・ガス取引監視等委員会は、予備電源制度ガイドラインにおいて、経年改修費(資本的支出)と発電側課金を応札価格に織り込むことの考え方について明記する必要があると考え、電気事業法に基づき、ガイドラインの改定について経済産業大臣に建議した。
・改定事項:立ち上げプロセスにおいて電源を稼働させるために、事前に修繕・経年改修工事などを実施しておくことが必要不可欠な場合、これらの費用について応札価格に織り込むことが妥当と考えられる。ガイドラインにおいて、休止状態を適切に維持し、立ち上げプロセスへの応札を行うという基本的なリクワイアメントを満たすために必要最小限の経年改修費(資本的支出)を応札価格に織り込むことが認められる旨を明記する。
・現行のガイドラインでの扱い:現行のガイドラインにおいて、応札価格に織り込むことが認められる主なコストとして、修繕費についての記載はあるが、経年改修費(資本的支出)についての記載はない。他方、「容量市場における入札ガイドライン」において、容量市場の応札価格に経年改修費(資本的支出)を織り込むことが認められると明記されている。
なお、現行のガイドライン上、経年改修費(資本的支出)を予備電源の応札価格に織り込むことが認められなくはないと解する余地もあることから、今年度の監視において、これらの費用の応札価格への算入を認めた。
・改定事項:発電側課金(kW課金)は、電源の休止措置と休止状態の維持を図るという過程で、継続的に発生する費用と考えられる。ガイドラインにおいて休止措置期間中に発生する費用を応札価格に織り込むことが認められる旨を明記する。
・現行のガイドラインでの扱い:現行のガイドラインにおいて、予備電源の応札価格に織り込むことが認められるのは文理上「当該電源の休止状態の維持に係る発電側課金(kW課金)」に限定されている。そのため、「休止措置期間中に発生する発電側課金(kW課金)」についても、応札価格に織り込むことが認められると明記する必要があるとした。
なお、現行のガイドライン上、休止措置期間中に発生する発電側課金(kW課金)を予備電源の応札価格に織り込むことが認められると解する余地はないことから、今年度の監視においては、休止措置期間中に発生する費用の応札価格への算入は認めなかった。
電力広域的運営推進機関は3月10日、2025年度予備電源募集(2026年度・2027年度制度適用開始向け)の落札結果を公表した。東エリアは応札なしで、西エリアは2社が応札し、2社(2電源)が落札した。電力・ガス取引監視等委員会の監視結果による応札価格の修正を反映した落札結果だとしている。落札事業者数が3社未満のため、落札金額合計は非公表となっている。
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2026年3月14日
Shizen Connect(東京都中央区)は3月10日、家庭用蓄電池のDR補助金申請手続きを支援する「Shizen Connectセットアップカード」の販売を3月上旬から開始したと発表した。物理的なIoT端末の設置を不要とし、クラウド連携のみで補助要件を満たすことが可能という。商社や施工販売店のコストや工数削減と利便性向上を図る。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、国や自治体による家庭用蓄電池への補助金制度が拡充されている。しかし、多くの補助金には、需給ひっ迫時に蓄電池を制御する「DR(デマンド・レスポンス)」への対応が要件として盛り込まれている。
これまでこの要件を満たすには、専用のIoT端末を購入し、現場で配線工事や通信確認を行う必要があった。これに伴う機器コスト、物流費、そして施工現場での人件費が、販売店にとって大きな負担となっていた。
今回発売された「セットアップカード」は、こうした物理的な制約を解消する。カードに記載されたQRコードから専用サイトにアクセスしてセットアップを行うだけで、Shizen Connectと蓄電池メーカーのクラウドが直接連携する。これにより、追加のハードウェア設置なしでDR制御が可能となり、手間をかけずに補助金の受給条件をクリアできる仕組みだ。
本サービスは、京セラ、ニチコン、オムロン ソーシアルソリューションズといった国内の主要蓄電池メーカーに対応している。Shizen Connectは既に市場シェアの約56%を占めるメーカー各社とクラウド連携を実現しており、販売店は使い慣れた製品を変えることなく、新しいスキームを導入できるメリットがある。
また、同社のシステムを採用している東京電力エナジーパートナーや東京ガスといった大手小売電気事業者のDRサービスとも親和性が高い。補助金を活用して導入した蓄電池を、そのまま電力会社のDRプログラムに組み込むことで、家庭側の経済性をさらに高めることも可能だ。
Shizen Connectは、法人契約数ベースで国内シェアNo.1のVPPプラットフォームを運営している。今回のセットアップカード投入により、これまでの「機器設置型」に加え「クラウド直結型」という選択肢が加わったことで、家庭用蓄電池の普及がさらに加速すると期待されている。
同社は今後、蓄電池だけでなくヒートポンプ給湯器(エコキュート)やEV充電器といった他の家庭用リソースとの連携も拡大させる方針だ。同社は「DR補助金の活用と、電力小売事業者のDRサービス加入を両輪で進め、低圧VPPのさらなる普及拡大に努めたい」としており、分散型電源の活用を通じた脱炭素社会の実現を加速させる考えだ。
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