2026年7月20日
セントラル硝子プロダクツ(三重県松阪市)は7月7日、エヌ・ピー・シー(NPC/東京都台東区)の装置で分離・回収された太陽光パネルのカバーガラスを用いた板ガラスの試験生産に成功し、6月から継続的な水平リサイクルを開始したと発表した。
この取り組みでは、NPCの「ガラス分離装置」と「EVAスクレーパー」を併用した処理方法により、EVA(樹脂)膜の除去効率が向上し、より高品質なガラスを得られることを確認した。
セントラル硝子プロダクツは、ガラス分離装置とEVAスクレーパーにより分離・回収された使用済み太陽光パネルのカバーガラス約16tを原料の一部に使用し、網入り磨き板ガラスと型板ガラスを試験生産し、水平リサイクルが可能であることを実証した。
NPCは、太陽光パネルリサイクル装置として、ホットナイフ方式のガラス分離装置やEVAスクレーパーを開発し、全国のリサイクラーへ供給している。ホットナイフ方式のガラス分離装置は、加熱したナイフで太陽光パネルからカバーガラスを割らずに分離する。EVAスクレーパーは、ガラス分離装置の後工程として使用する装置で、使用済み太陽光パネルからセルシートを分離した後にガラス表面に残るEVAを、特殊なブラシでガラスを割らずに除去する。
セントラル硝子プロダクツは、業界大手の板ガラスメーカーで、建築・住宅用や自動車用のガラスを製造している。同社は、2025年6月より、ホットナイフ式で分離・回収された使⽤済み太陽光パネルのカバーガラスの水平リサイクルを開始した。
2月からは、ウム・ヴェルト・ジャパン(埼玉県寄居町)において、圧縮破砕方式で分離・回収された使用済み太陽光パネルのカバーガラスを原料の一部に使用して、網入り磨き板ガラスの生産を開始した。両社は、この水平リサイクル事業において協働している。太陽光パネルのカバーガラスを板ガラスとして再資源化するリサイクルでは、熱処理方式やホットナイフ方式による分離が一般的で、圧縮破砕方式を用いた水平リサイクルは国内で初めての取り組みとなるという。
セントラル硝子プロダクツは、2026年度に数十t規模のリサイクルを見込んでいる。今後も、さまざまなリサイクル方式の評価を行い、カバーガラスの回収拠点の拡大し、リサイクルの促進に取り組んでいく。
NPCは2025年10月より、ガラスメーカー大手のAGC(東京都千代田区)と、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル事業で連携を開始している。AGCは、NPCが開発したガラス分離装置とEVAスクレーパーの併用により、分離したカバーガラスに残存する接着部材をAGCの品質基準まで除去できることを確認。これにより、リサイクル業者がNPCの装置を導入し、高品質なリサイクルガラスをAGCに販売するというスキームを構築した。
さらに、NPCは2月、トーエイ(愛知県東浦町)に、太陽光パネルリサイクルにおいて、各素材を分離する「フレーム・J-Box分離装置」と、ガラス分離装置を1月末に納入している。トーエイは、家電再商品化工場に、これらの装置を設置し、太陽光パネルのリサイクル事業を開始する。
また、5月に廃棄物処理事業者の青南商事(青森県弘前市)より、EVAスクレーパーを受注したことを報告している。青南商事社は2019年に、フレーム・J-Box分離装置とガラス分離装置を導入し、太陽光パネルのリサイクル事業を展開している。
2030年以降、日本国内において、耐用年数を経過した太陽光パネルの廃棄量は年間数十万tに達すると見込まれている。これらの適切な処理やリサイクルは社会的課題となっている。
太陽光パネルの全体重量の約6割を占めるカバーガラスを持続的にリサイクルすることで、廃棄物削減に加え、板ガラス製造に必要な天然資源の使用量の削減、ガラス溶解時のエネルギー低減によるCO2排出量の削減にもつながる。
記事内容へ
2026年7月19日
東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES/東京都港区)は7月8日、タイにおいて、大規模蓄電池と太陽光発電システム(PV)を用いた脱炭素化の実証事業を実施すると発表した。
TGESが日本国内で実績を有する大規模蓄電池とPVを組み合わせた電力供給技術によるオンサイトPPAスキームをタイで実証し、海外展開を目指す。
経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択され、実施する。
タイでは、PVの普及拡大に伴い、余剰電力の有効活用や電力系統の安定化が課題となっており、日本製産業用大規模蓄電池の普及が期待される。そこで、政府支援を活用して初期投資負担を軽減し、総額約37億円の実証を行う。
具体的には、電力需要の大きい複数の工場の敷地内に合計約20MWhの大規模蓄電池と約20MWのPVを導入し、PVの余剰電力を大規模蓄電池に充電し、夜間やピーク時間帯に放電することで、再生可能エネルギーの利用率向上、CO2排出量削減、電力系統の安定化を図る。
この実証で、現地の電力事情や高温多湿な環境におけるシステム有効性、設備の性能、運用条件などのデータ取得・検証を実施する。将来的なコスト低減と事業モデルの確立を図ることでタイにおける産業向けの日本製産業用大規模蓄電池とPVなどによるPPAの本格展開に向けた基盤形成を目指す。
TGESは、本田技研工業(東京都港区)の熊本製作所(熊本県大津町)と、細江船外機工場(静岡県浜松市)において、太陽光発電設備とリチウムイオン蓄電池の導入し、再エネ由来の電力をオンサイトで無駄なく活用する取り組みを実施している。
このうち、熊本製作所では、国内の工場向けでは最大規模となるリチウムイオン蓄電池(2万kWh)を導入し、稼働済みの太陽光発電設備(7,100kW)の発電状況に連携した運用を行っている。タイでの実証はTGESにとって、この技術を活用した初の海外実証事業となる。
経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」では、グローバルサウス諸国が抱える課題の解決を通じて、その地域の市場活性化と日本国内の産業活性化とともに、日本との経済連携の強化を目的に、日本企業が実施する大型実証、小規模実証・FSなどにかかる費用の一部を支援している。
TGESのタイにおける大規模蓄電池とPVによる脱炭素化の実証事業は、2024年度補正事業(大型実証ASEAN加盟国)に採択されて実施する。
大型実証ASEAN加盟国では、GX分野、DX分野、経済安全保障分野に関する案件で、「日本のイノベーション創出につながる共創型」「日本の高度技術海外展開型」「サプライチェーン強靱化型」のいずれかの類型に当てはまる事業を対象としている。補助率は中小企業以外が1/2で、中小企業が2/3、補助金額は5億円超40億円以下。
記事内容へ