2026年5月24日
北海道ガス(北海道札幌市)と北海道立総合研究機構(道総研/同)は5月19日、地域に賦存する「温泉付随ガス」を利活用する研究で協業する契約を締結し、ガス発電システムなどの運転試験を行う実証を開始したと発表した。
北海道ガスとアイシン(愛知県刈谷市)が共同開発した家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステム「コレモ」を用い、温泉付随ガスを燃料とした場合の燃焼性評価や利活用への課題・解決策を検証する。
温泉付随ガスとは、温泉を汲み上げる際に発生する天然ガスで、メタン、窒素、二酸化炭素、水蒸気などが混じり合っている。温泉地や井戸の場所、地質の性質によって、ガスの組成比は異なる。
道内では約500カ所の源泉で、メタンを主成分とする可燃性天然ガスが含まれる温泉付随ガスの湧出が確認されており、その多くは未利用のまま約16,000m3/日が大気中に拡散されている推定だという。メタンは二酸化炭素の約28倍も温室効果が高いため、環境負荷を低減する視点からも有効活用が望まれる。
温泉付随ガスを資源として利活用する場合、既存の源泉から湧き出ているため開発コストが嵩まないという利点がある。
その一方で、課題とされる点は、多くの源泉ではガスの湧出が小規模なため、工場のボイラーや大型の発電機などを稼働させるにはガスの量が足りず、そのため、ガス量に応じ多様なガス機器での利用を検討する必要がある点などが挙げられる。また、メタンガスを資源として燃料に使用したり、販売したりする場合は「鉱業法」に準拠し、管轄する地域の経済産業局から鉱業権の許可を受ける必要もある。
実証に使用する「コレモ」は、ガスエンジンで発電し、発生する排熱を暖房に活用するシステム 。
両者は2027年3月までに、道総研の実験設備を使用した模擬試験運転および、条件に適合する温泉付随ガスが発生する自治体において現地試験を実施する計画だ。同実証で得た知見をもとに、給湯暖房機など他のガス機器へも適用拡大する展望も見据え、検討を進めていく考え。
北海道ガスは、未利用資源を活用した環境負荷低減、分散型エネルギー推進および地域創生につながる施策としてこの取り組みを行い、エネルギーの地産地消を促進していく方針。
また、同社はこれまで北海道や道内の自治体と連携し、エネルギー地産地消に資する取り組みを行ってきた。
たとえば、2025年11月19日、北海道と、道有林の適切な森林管理によって創出された「道有林クレジット」を年間1万t、2027年度までの3年間にわたり購入する協定を締結した。
同年10月1日には、北海道上士幌町と協働で進めてきた大規模太陽光発電所「上士幌太陽光発電所(愛称:みらいパワーかみしほろ)」を稼働し、小売電気事業を行うkarch(北海道上士幌町)を通じて町内の家庭や事業所に再エネ電気の供給を開始した。
また、同年6月9日に、美瑛町、美瑛町農業協同組合、美瑛町森林組合の3者と連携協定を締結し、環境価値の地産地消・地域活性化に取り組み、同町の2050年度カーボンニュートラルや地域経済活性化を後押しする取り組みなども開始している。
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2026年5月23日
アイシン(愛知県刈谷市)やパナソニックホールディングス(大阪府門真市)など主要メーカー5社は5月15日、ペロブスカイト太陽電池の量産化・標準化に向け、一般社団法人「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)」を設立した。
品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築など産業化に向けた共通課題を、業界横断で解決する狙い。資源エネルギー庁が20日に開催した「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業力強化に向けた官民協議会」で公表された。
設立時の会員は、アイシン、パナソニックホールディングス、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、積水ソーラーフィルム(大阪府大阪市)、リコー(東京都大田区)の5社。このほか、量産化を進める企業を中心に、東京大学や広島大学の研究者も理事・監事として参画する。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟で、壁面や耐荷重制約のある屋根など従来型太陽光パネルでは設置が難しかった場所にも導入できる次世代型太陽電池として期待される。
一方、量産化・社会実装に向けては、品質保証や製品認証、標準化、サプライチェーン構築、リサイクル技術確立など、業界共通の課題が残る。特に、認証制度や品質・安全基準の整備は、市場形成を進める上で重要なテーマとなっている。
JPSCは、こうした課題を業界横断で解決し、「日本製ペロブスカイト太陽電池」の健全な普及と国際競争力強化を目指す。
背景には、政府が推進する「次世代型太陽電池戦略」がある。同戦略では、主要原材料であるヨウ素やフィルム部材、製造装置など重要サプライチェーンの国内確立を掲げるとともに、「世界をリードする規模とスピード」での投資や推進体制構築の必要性を示している。
また、過去の技術流出の反省を踏まえ、製造装置を含めた戦略的な知的財産管理の重要性も指摘。特にフィルム型ペロブスカイト太陽電池については、製造だけでなく、運搬、施工、回収、リサイクルまで含めたライフサイクル全体で新たな産業形成につながる可能性があるとしている。
JPSCは、こうした政策方針を受けた産業側の推進組織として、量産化や社会実装を後押しする役割を担う。
JPSCは、政策提言や製品規格登録、品質性能・製品安全ガイドライン策定、国内外標準化活動、製品試験・認証などを進める。加えて、施工事業者やPPA事業者、保険事業者、金融機関、自治体などとの情報共有・連携も図る方針だ。
運営体制では、理事会の下に、運営委員会と技術委員会を設置。製品登録や認証試験、規格策定などを担う。連携機関として、一般社団法人 日本太陽光発電学会(京都府京都市)、一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA/東京都港区)、有機系太陽電池技術研究組合(RATO/同・目黒区)などとの協力も想定している。
今後は東京都内に事務所を設置し、準備が整い次第、幅広い会員募集を開始する予定。募集開始は12月を見込む。
ペロブスカイト太陽電池を巡っては、国内各社が量産投資や実証を加速している。JPSCは、認証・標準化・施工体制整備を含めた産業基盤形成の中核組織となる可能性があり、今後の活動が注目される。
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