2026年1月4日
環境省は12月23日、リチウムイオン電池の使用時・廃棄時の火災防止やリチウムイオン電池の回収・再資源化の促進のために、関係省庁で連携して策定した「リチウムイオン電池総合対策パッケージ」を公表した。
対策パッケージでは、2030年までに、リチウムイオン電池に起因する重大火災事故ゼロを目指すとともに、国内に十分なリサイクル体制を構築することを目標に掲げている。
身の回りにあるリチウムイオン電池が使用されている製品例としては、スマートフォン、モバイルバッテリ、携帯用扇風機、ワイヤレスイヤホン、ノートパソコン、スマートウォッチ、電動アシスト自転車、コードレス掃除機が挙げられている。
対策パッケージは、「国民・事業者への周知啓発」「製造・輸入・販売時の対策」「使用時の対策」「廃棄時の対策」「処理・再利用の対策」の5つの柱で構成される。
リチウムイオン電池の取り扱いでは、「賢く選ぶ」(Cool choice)・「丁寧に使う(Careful use)」・「正しく捨てる、そして資源循環(Correct disposal with better recycling)」が重要となる。
国民・事業者への周知啓発では、これらの英語の頭文字をとって、リチウムイオン電池の「3つのC」として、さまざまな機会を通じて情報発信を行っていく。多様な媒体や多言語(英語、中国語など)を活用するとともに、関係省庁の所管団体や地方公共団体などを通じて、政府全体ワンボイスでの呼びかけを実施する。また、情報を一元化するポータルサイトを消防庁に設置し、わかりやすい情報発信を行うこととしている。
製造・輸入・販売時の対策では、製品安全4法に関係する製造・輸入・販売事業者(届出・非届出事業者)のうち、一定の事由から連絡を試みるものの、連絡の取れなかった「連絡不通事業者リスト」をウェブサイトで公表する。また、NITE(製品評価技術基盤機構)において、リチウムイオン電池搭載製品の事故原因の本質的な解明を目指す体制強化を図る。
使用時の対策では、若者・高齢者などへの効果的な発信や、公共交通機関における持ち込みルールの徹底・留意事項の周知を行う。リチウムイオン電池火災に関する調査を関係機関と連携して実施していくほか、リチウムイオン電池火災に対する消火器などの試験方法について検討を行う。
廃棄時の対策では、5月に成立した改正資源有効利用促進法案において、リチウムイオン電池の自主回収・再資源化を促進するため、廃棄物処理の特例条項(認定制度による廃棄物処理法の業許可の不要化)を設置する(2026年4月1日施行)。あわせて、火災・発火事故などの状況を踏まえ、リチウムイオン電池を容易に取り外すことができない一体型製品である電源装置(モバイルバッテリー)、携帯電話用装置(スマートフォンなど)、加熱式たばこデバイスといった3品目を対象製品に追加するための政令改正を実施する(同施行)。
また、廃棄物となったリチウムイオン電池と、その使用製品について、廃棄物処理工程に意図せず混入し、廃棄物処理施設において火災が発生することを防止するため、廃棄物処理法に基づく制度的対応を行うほか、地方公共団体における利便性の高い分別回収体制の実証などを通じた構築の支援を行う。膨張・変形したリチウムイオン電池などの回収・処理状況について実態調査を行い、安全な処理方法などに関する方針を取りまとめることも挙げられている。
処理・再利用の対策では、廃棄物処理施設への高度選別機・検知設備の導入や、広域処理のための回収拠点拡大・収集体制の構築を支援する。
近年、リチウムイオン電池の使用時・廃棄時の火災が頻繁に発生し、対策が急務となっている。また、リチウムイオン電池には特定国に依存している重要鉱物資源(リチウム、コバルト、ニッケル)が含まれており、経済安全保障・産業競争力強化の観点から、これらの回収・再資源化の促進も重要となっている。
そこで、政府では、関係省庁が緊密な連携を図りつつ必要な対応を検討し、リチウムイオン電池に関する総合的な対策を実施するため、「リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議」を10月に設置した。この連絡会での検討を経て、リチウムイオン電池総合対策パッケージを策定した。
環境省では、リチウムイオン電池などに関する特設サイトで、リチウムイオン電池の適正処理に関する詳しい情報を紹介している。また、9月から12月までの4カ月間を、「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」期間とし、集中的な啓発活動に取り組んでいる。
【参考】
・環境省―リチウムイオン電池総合対策パッケージの策定について
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2026年1月3日
製品評価技術基盤機構(NITE/東京都渋谷区)は12月23日、地方公共団体やインフラ事業者などに活用してもらうため、「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」の暫定版を作成・公表した。
安全な蓄電池システムの導入により、地震や台風などの非常時・災害時においても、衝撃や浸水による発火・破裂などの二次災害を防ぎ、重要インフラの機能維持・早期復旧に資することを目的としている。
このガイドラインは、行政サービスや情報通信、電力などの重要インフラに用いられる蓄電池システムの非常時・災害時などに求められる安全要件を記載している。また、リチウムイオン蓄電池に限らず「重要インフラにおいて使用されるすべての蓄電池システム」を対象とした。
地方公共団体やインフラ事業者などに、いち早く活用を検討してもらうために暫定版を公表。試験方法や判断基準を含む別紙を加えた確定版は、2026年5月頃に公開する。
蓄電池システムは、行政機能維持や通信基地局のバックアップ電源として使用されたり、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力負荷平準化に用いられたりしており、重要インフラの機能維持を支えている。
一方で、国内外で蓄電池システムの事故が発生している。NITEの独自調査では、水没させただけで発煙することが確認されるなど、地震や洪水の災害発生時に事故に至るおそれの高い蓄電池システムが市場に流通していることが危惧されており、今後、再エネの導入に伴い、地方公共団体や電力関連施設などへ蓄電池システムがさらに普及することにより、事故件数の増加も予想される。
しかし、非常時・災害時などの蓄電池システムの安全性に関する基準はない。こうした中、経済産業省の蓄電池産業戦略推進会議では、リチウムイオン電池以外も含めた健全で多様な定置用蓄電池システムの導入を促進するために、NITEに対して2026年を目処に蓄電池システムの安全性や信頼性の向上に向けたガイドライン作成を求めた。
このガイドラインで想定する非常時、災害時などにおける蓄電池システムに求められる機能は以下の6機能とする。6機能毎に設置箇所に合わせた要件、基準を示した。
・行政機能維持・復旧(政府、自治体の政府・行政サービス機能維持)
・災害・治安機能維持・復旧(自衛隊、海上保安庁、警察、消防の政府・行政サービス 機能維持)
・生命維持機能・復旧(指定医療機関、指定避難所の運営など医療機能維持)
・交通機関機能維持・復旧(航空、空港、鉄道、港湾機能維持)
・ライフライン機能維持・復旧(情報通信、金融、電力、ガス、水道、物流、化学、クレジット、石油機能維持)
・公的設備機能維持・復旧(街灯、信号、EV給電施設の物流機能維持)
「設置時」「保守管理時」「耐地震波衝撃」「耐走行振動性」など各要件にはClassを規定し、基本的に数値があがるほど厳しい要件となるように設定した。また、「継続使用可能性」はClassとは区別してGradeと規定して、Class同様に基本的に数値があがるほど厳しくなるように設定した。
具体的な安全要件として、たとえば、耐地震波衝撃については以下のような要件を定めている。
・Class 3:震度7の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと
・Class 2:震度6弱以上震度6強以下の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと
・Class 1:各種法令等を遵守し、震度5強以下の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと。
蓄電池メーカーや蓄電池システムインテグレータが、このガイドラインに沿ってモノづくりを行い、地方公共団体などがガイドラインを参照して作成した調達仕様書や補助金交付要綱によりそれらの製品を調達することで、非常時・災害時においても2次災害を起こさず継続使用できる重要インフラ用蓄電池システムが日本に普及することが期待される。
また、今回のガイドラインは、防災に関わる国際規格であるISO 37179:2024(スマートコミュニティインフラー防災ー実施のための基本枠組み)を参考にしている。このISO規格は、2030年までの国際的な防災指針「仙台防災枠組」を踏まえて防災を考慮したインフラの計画・建設・活用・維持・改善のための原則と基本要件をまとめた国際規格で、事前防災への投資を行うことで、災害リスクを軽減(DRR)させるとともに、災害後に速やかに回復することを目指している。
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