2025年4月19日
東日本電信電話(NTT東日本/東京都新宿区)は4月10日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、生ごみをオンサイトで再生可能エネルギーに変えて資源循環を実現する「超小型バイオガスプラント」を出展すると発表した。
メタン発酵技術により生ごみからバイオガスを創出する超小型プラントで、遠隔制御の新機能を搭載。創出した再エネの一部をNTTパビリオンに供給することで資源循環の実現に取り組む。
グループ会社のビオストック(北海道帯広市)とともに、同社が提供する超小型バイオガスプラントを日本電信電話(NTT/東京都千代田区)のNTTパビリオンで展開する。
メタン発酵技術により生ごみからバイオガスを創出するこの超小型バイオガスプラントは、これまでの超小型バイオガスプラントから更なる小型化を図り、新たにIoT技術の活用によりクラウドからのプラント遠隔制御を新機能として搭載した。これにより、生ごみ廃棄(焼却・運搬)に関するCO2を削減するとともに、再エネを創出し、一部電力をNTTパビリオンに供給する。
展示プラントの特徴として「超小型」「エネルギー利用」「遠隔制御」の3つを挙げる。
一般的なバイオガスプラントでは、日量約10~数百トンの原料が必要だったのに対して、装置の小型化・ユニット化を通じて10トン以下の原料で運転が可能なプラントを実現している。また、従来までのビオストックが提供する超小型バイオガスプラントの最小モデルは20フィートコンテナ2台だったが、今回の展示バイオガスプラントでは、12フィートコンテナ1台にプラントの各機器を格納し、トレーラー1台で運搬可能な可搬式プラントとなっている。
発電において一般的なバイオガスプラントでは、少量の原料では安定した発電が難しかった。展示バイオガスプラントでは、バイオガスとカーボンニュートラルLPGの混合により、限られた原料でも安定した発電を実現している。
これまでの一般的なバイオガスプラントの管理は、PLCによるローカル制御が一般的だったが、展示バイオガスプラントでは、各種IoT技術の活用によりクラウドからのプラント遠隔制御を実現している。これにより、プラント運用の更なる効率化に加えて、PLCの削減に伴うコスト低減と納期短縮など、より高い効果が期待される。
食品廃棄物のリサイクル方法の一つとして、メタン発酵によりバイオガスを生成(メタン化)し、電気・熱にエネルギー利用する取り組みが進められている。しかし、従来のバイオガスプラントはコスト回収や安定的な運転の観点から、大型のプラントを建設し大量の食品廃棄物を回収する必要があった。また、都市部では大型のプラントを設置する場所の確保が困難であるという課題があった。
ビオストックは、NTT東日本とバイオマスリサーチ(北海道帯広市)が2020年に、畜産・酪農家に、糞尿処理を省力化できるバイオガスプラントなどを提供する新会社として設立した。
バイオガスプラントの課題を解決するため、NTT東日本とビオストックは、2022年2月より、NTT東日本グループの実証フィールド「NTTe-City Labo」内に、超小型のコンテナ型コンテナバイオガスプラントを設置し、超小型プラントの運用保守の知見とIoT技術を活用した遠隔管理による安定的な運用実証の取り組みを進めてきた。ビオストックは、超小型バイオガスプラントを提供しており、これまでも、その安定運用と効率的な管理を目指して、遠隔監視の開発と複数回の機能拡充を図ってきた。今回、これまでの取り組みを踏まえ、前述の特長を備えた超小型バイオガスプラントを大阪・関西万博にて展開する。
この展示では、ビオストックは、超小型バイオガスプラントの提供と運用・保守(遠隔制御)を担う。NTT東日本は、バイオガスプラント運用実証環境を提供し、デジタル技術を活用した計測データ分析を担う。両社は今後も自治体や企業など、地域のさまざまな顧客と連携して、生ごみの削減や再エネの活用を実現することで、循環型社会システムの構築・実装に取り組んでいく。
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2025年4月18日
LIXIL(東京都品川区)は4月14日、室内側の窓に簡易に取り付けられる「PV(太陽光発電)ロールスクリーンシステム」の受注を、2025年6月より開始すると発表した。 配線レスで発電し、給電機能を備えた世界初のロールスクリーン状の屋内設置型太陽光発電設備で、公共施設および法人向けに関東エリアで展開を開始し、順次展開エリアを広げていく。
「PVロールスクリーンシステム」は、LIXILが2022年に開発した太陽光発電を備えたローススクリーン。配線工事が不要で、室内側から容易に後付け設置できるのが特徴で、遮光性や断熱性などの通常のロールスクリーンとしての機能に加え、発電や蓄電機能および電力取出(USB Type C、DCジャック)が可能で、災害時のレジリエンス強化や省エネに効果が期待される。
同システム1枚あたり最大スマホ9台、またはPC3台分を1日で充電できる発電が可能(実測値:千葉市・南向き・屋内側垂直面設置、3月平均値)だという。
PVセルには薄膜シリコンを使用。また、スクリーンの生地部分は「ファブリック仕様」と「スケルトン仕様」の2種類を展開する。
マンションやビル・施設の改修を手掛けるLIXILリニューアル(東京都墨田区)を通じて、公共施設や法人向けに関東エリアで展開していく。順次展開エリアを広げていく予定だ。
国内のZEB化が推進される中、特に既築ビルへの太陽光発電設備の導入については、設置スペースや配線、入居者への工事期間中の負担などの課題が障壁となる。
こうした課題に対応するため、同社は窓の室内側に容易に後付け設置できる「PVロールスクリーンシステム」を開発し、早期の社会実装を目指し検証を重ねた。2024年3月には福岡県宗像市と協定を結び、同市内の施設3カ所で実証実験を行ったほか、自社3施設での検証も行い、製品化準備を進めてきた。
なお開発には、NEDO助成事業「課題設定型産業技術開発費助成事業」(2022年・23年)の助成金を活用した。
また、同システムは「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」での大賞受賞や「2024年度グッドデザイン賞」を受賞しており、技術とデザイン性が高く評価されている。
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