2026年7月12日
東急不動産(東京都渋谷区)は7月3日、IBeeT(アイビート/同・千代田区)、豪州企業のAkaysha Energy Japan(同)とともに、福岡県飯塚市で系統用蓄電池設備の建設工事に着手したと発表した。
事業は、東急不動産・IBeeT・Akaysha Energy Japanの3社が共同出資して設立した「飯塚勢田蓄電所合同会社」(東京都中央区)を通じて推進。定格出力20MW、定格容量82MWhの系統用蓄電所を整備する。
今回着工した蓄電所は、九州電力送配電管内に整備される系統用蓄電池設備で、運転開始は2027年度以降となる見込み。蓄電池システムにはリチウムイオン蓄電池を採用する。
東急不動産は系統用蓄電池事業を積極的に拡大している。
4月には、リエネ(東京都渋谷区)やIBeeT、芙蓉総合リース(同)、前田建設工業(同)、三井住友信託銀行(同)、野村不動産(同・港区)、日鉄興和不動産(同)、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス(同)の計8社で、合同会社「リブラ」を設立。総事業費約300億円を投じ、全国6カ所で合計約174MWの特別高圧系統用蓄電所を開発する計画を進めている。今回の飯塚勢田蓄電所開発も、同社の蓄電池事業拡大の一環として位置付けられる。
東急不動産は、自社ブランド「ReENE(リエネ)」の下で再エネ事業を展開する。国内では太陽光、風力、バイオマスなどを合わせて約2.1GW(2025年12月末時点)の発電事業を推進しており、2023年からは系統用蓄電池事業にも本格参入。2025年1月には埼玉県の「リエネ東松山蓄電所」(出力2MW)の運転を開始し、現在は全国で340MW規模の開発を進めている。
九州エリアでは太陽光発電の導入が全国でも先行して進んでおり、晴天時には再エネの出力抑制が発生するケースもある。一方、系統用蓄電池は昼間の余剰電力を蓄え、需要が高まる時間帯に放電することで再エネの有効利用を促進できるほか、周波数調整など電力系統の安定運用にも貢献することから、導入が加速している。
東急不動産は、系統用蓄電池について、電力の使用時間帯を調整するピークシフトや再エネの出力抑制対策に加え、卸売市場、容量市場、需給調整市場を通じて需給バランスを調整する設備と位置付けている。
IBeeTは、伊藤忠商事(東京都港区)と東京センチュリー(同・千代田区)の出資により設立された分散型電源事業会社で、太陽光発電や蓄電池の販売・リース、PPA事業などを展開する。系統用蓄電池では、西鉄自然電力合同会社が九州で進める蓄電所向け蓄電池リースや、東急不動産グループとの御徳蓄電所への出資実績を持ち、飯塚勢田蓄電所は同社にとって2件目の出資案件となる。
Akaysha Energy Japanの親会社であるAkaysha Energyは、豪州を拠点に蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)の開発・保有・運営を手掛ける独立系発電事業者(IPP)。日本・米国・ドイツでも事業を展開しており、蓄電池の市場運用やトレーディングを含むBESS運営のノウハウを強みとしている。
東急不動産グループは今後も、系統用蓄電池への投資を積極的に進める方針だ。
4月に公表したコンソーシアムでは、福島県・福岡県・三重県・北海道・宮城県・青森県の計6案件を対象に開発を進めており、2027年度以降に順次運転を開始する予定としている。プロジェクトマネジメントは東急不動産、アセットマネジメントはリエネ、O&M(運営・保守)はリエネ・エナジー(東京都港区)と伊藤忠商事が担う体制を構築する。
系統用蓄電池への参入が相次ぐ中、東急不動産グループは再エネ開発で培ったノウハウを生かし、開発から運営まで一貫した体制を強みに事業拡大を進めていく。
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2026年7月11日
東京ガス(東京都港区)は7月2日、レノバ(同・中央区)が熊本県で建設を進める苓北・天草陸上風力発電事業に係る電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。
この契約に基づき、東京ガスは、同発電所で発電される電力と環境価値を25年間にわたり購入し、電力小売事業を通じて供給する。レノバは、現在建設中の発電所の発電全量について、長期のPPAを締結することにより、事業の収益性を向上させ、事業価値の最大化を図る。
今回、東京ガスは、レノバが出資する苓北風力合同会社(熊本県苓北町)と、苓北・天草風力発電所(同および天草市)に関するPPAを締結した。この発電所の設備容量は54.6MW、想定年間発電量は1億900万kWh。2027年度の売電開始を予定している。
風力発電は太陽光発電では発電が難しい夜間においても発電が見込まれることから、電力の需要と供給を時間ごとに一致させる同時同量の観点において、需給の一致を高める有効な電源とされている。東京ガスは、この契約を通じて再エネ電源のポートフォリオ多様化を進めるとともに、需要家の脱炭素化ニーズに対応していく。
今回の契約は、東京ガスとレノバが2024年4月に締結した資本業務提携契約に基づく、具体的な取り組みの1つとなる。今後もレノバが開発中の複数の国内陸上風力事業について、東京ガスとの出資参画と共同開発の検討を進めるとともに、再エネ分野での協業をさらに拡大させていく。
東京ガスとレノバが2024年4月に締結した資本業務提携契約は、陸上風力発電事業の共同開発や電力の調達・販売、バイオマス事業、国内系統用蓄電池事業などでの協業拡大を目的としている。また、東京ガスはレノバが実施する第三者割当増資による約178億円の新株式発行を引き受けている。
両社は、東京ガスが持つ豊富な顧客網に裏付けされた電力オフテイク力や需給調整力と、レノバが持つ地元合意形成能力、エンジニアリング力、プロジェクトファイナンスの組成力などの事業開発力を組み合わせ、再エネの導入拡大を推進していく。
東京ガスは2025年3月、系統用蓄電池の最適運用サービスを開始し、その第1弾として、レノバの蓄電所2施設の需給運用業務受託している。また、東京ガスは2025年7月、レノバが出資し、2027年度に商業運転を開始する蓄電所2件に関し、20年間のオフテイク契約を締結したことを発表している。
同社グループ経営ビジョン「Compass2030」では、「価値共創のエコシステム構築」と「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げており、2030年における国内外での再エネ電源取扱量600万kWの実現に向け、太陽光、風力、バイオマスなどの再エネ電源開発・調達を進めている。
レノバは、再エネの電源開発に加えて、需要家への安定的かつ長期的な電力供給に向けた取り組みを推進している。昨今のAI普及に伴うデータセンターや半導体工場の新増設を背景に、将来的な電力需要の増大が見込まれる中、CO2を排出しない電源として、また、昨今の地政学リスクの顕在化や資源価格の変動を背景に、純国産エネルギーとして、再エネの導入拡大が求められている。
こうした状況を踏まえ同社は、再エネの主力電源化を支える調整機能を担い、電力系統の安定化に寄与する蓄電事業を成長の柱のひとつに据えている。中期経営計画に掲げる「2030年までに蓄電事業の設備容量0.9GW」という目標の達成に向けた取り組みを進めている。なお、4月に運転を開始した「安来蓄電所」では、電力取引市場での運用機能を初めて自社で内製化している。
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