2026年7月11日
東京ガス(東京都港区)は7月2日、レノバ(同・中央区)が熊本県で建設を進める苓北・天草陸上風力発電事業に係る電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。
この契約に基づき、東京ガスは、同発電所で発電される電力と環境価値を25年間にわたり購入し、電力小売事業を通じて供給する。レノバは、現在建設中の発電所の発電全量について、長期のPPAを締結することにより、事業の収益性を向上させ、事業価値の最大化を図る。
今回、東京ガスは、レノバが出資する苓北風力合同会社(熊本県苓北町)と、苓北・天草風力発電所(同および天草市)に関するPPAを締結した。この発電所の設備容量は54.6MW、想定年間発電量は1億900万kWh。2027年度の売電開始を予定している。
風力発電は太陽光発電では発電が難しい夜間においても発電が見込まれることから、電力の需要と供給を時間ごとに一致させる同時同量の観点において、需給の一致を高める有効な電源とされている。東京ガスは、この契約を通じて再エネ電源のポートフォリオ多様化を進めるとともに、需要家の脱炭素化ニーズに対応していく。
今回の契約は、東京ガスとレノバが2024年4月に締結した資本業務提携契約に基づく、具体的な取り組みの1つとなる。今後もレノバが開発中の複数の国内陸上風力事業について、東京ガスとの出資参画と共同開発の検討を進めるとともに、再エネ分野での協業をさらに拡大させていく。
東京ガスとレノバが2024年4月に締結した資本業務提携契約は、陸上風力発電事業の共同開発や電力の調達・販売、バイオマス事業、国内系統用蓄電池事業などでの協業拡大を目的としている。また、東京ガスはレノバが実施する第三者割当増資による約178億円の新株式発行を引き受けている。
両社は、東京ガスが持つ豊富な顧客網に裏付けされた電力オフテイク力や需給調整力と、レノバが持つ地元合意形成能力、エンジニアリング力、プロジェクトファイナンスの組成力などの事業開発力を組み合わせ、再エネの導入拡大を推進していく。
東京ガスは2025年3月、系統用蓄電池の最適運用サービスを開始し、その第1弾として、レノバの蓄電所2施設の需給運用業務受託している。また、東京ガスは2025年7月、レノバが出資し、2027年度に商業運転を開始する蓄電所2件に関し、20年間のオフテイク契約を締結したことを発表している。
同社グループ経営ビジョン「Compass2030」では、「価値共創のエコシステム構築」と「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げており、2030年における国内外での再エネ電源取扱量600万kWの実現に向け、太陽光、風力、バイオマスなどの再エネ電源開発・調達を進めている。
レノバは、再エネの電源開発に加えて、需要家への安定的かつ長期的な電力供給に向けた取り組みを推進している。昨今のAI普及に伴うデータセンターや半導体工場の新増設を背景に、将来的な電力需要の増大が見込まれる中、CO2を排出しない電源として、また、昨今の地政学リスクの顕在化や資源価格の変動を背景に、純国産エネルギーとして、再エネの導入拡大が求められている。
こうした状況を踏まえ同社は、再エネの主力電源化を支える調整機能を担い、電力系統の安定化に寄与する蓄電事業を成長の柱のひとつに据えている。中期経営計画に掲げる「2030年までに蓄電事業の設備容量0.9GW」という目標の達成に向けた取り組みを進めている。なお、4月に運転を開始した「安来蓄電所」では、電力取引市場での運用機能を初めて自社で内製化している。
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