2026年4月9日
国土交通省は4月6日、物流施設などにおいて、太陽光発電施設の導入と、その再生可能エネルギー電気を利用する、大容量蓄電池やEVフォークリフトなどの設備の導入を支援する補助事業の公募を開始した。
この事業では、太陽光の「つくる」「ためる」「つかう」の取り組みを一体的に行う「先進的な取り組み」における設備の導入に最大1億円を補助する。公募期間は6月5日16:00まで(必着)。
事業名は、2026年度「地域物流脱炭素化促進事業(再生可能エネルギー(太陽光))」。地域物流の脱炭素化に向けて物流事業者などが行う、再生可能エネルギーである太陽光を活用した「先進的な取り組み」に要する経費の一部を補助する事業。
補助対象事業者は、(1)倉庫事業者、(2)貨物運送事業者、(3)貨物利用運送事業者、(4)トラックターミナル事業者、(5)(1)~(4)に掲げる事業者と共同で事業を実施する事業者(リース事業者・PPA事業者・不動産事業者)など。(1)~(4)に関しては、単独申請または複数社でコンソーシアムを組んで共同で申請ができる。
支援対象となるのは、地域の集配拠点、倉庫、トラックターミナルなどの物流施設などにおいて、太陽光由来の再エネ電気の利用に必要な設備や、これらを利用する車両などの一体的な活用に向けた取り組み。具体的には、次の「(A)の項目のうち1つ以上」かつ「(B)の項目のうち2つ以上」の実施を要件とする。
1.太陽光発電施設の導入※
2.既存の太陽光発電施設の活用
3.購入した再生可能エネルギー電力の活用
4.大容量蓄電池の導入※
5.既存の大容量蓄電池の活用
6.EV充電スタンドの導入※
7.物流業務用EV車両の導入※
8.EVフォークリフトの導入※
本事業では、上記のうち※の項目(1、4、6、7、8)の導入案件に必要な経費が補助される。2、3、5は条件として有効なだけであることに注意が必要だ。補助率は1/2以内、補助上限額は1億円。
なお「5.既存の大容量蓄電池の活用」を要件として使用する場合は、「6.EV充電スタンド」「7.物流業務用EV車両」「8.EVフォークリフト」のいずれかの導入が必要だ。
また、これらの取り組みに合わせて実施する、「9.先進的な取り組みに必要な機器類などの導入」についても補助対象経費として認められる場合がある。対象設備例として、無人配送ロボット、エネルギーマネジメントシステム(ハードウェアの購入費用は対象外)、温室効果ガス排出量算出・可視化ツール、トラック予約受付システムが挙げられている。
補助対象事業者への交付決定は6月下旬頃を予定。事業期間は交付決定の日から2027年2月10日(予定)まで。
この事業の事務局は、パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)が務める。公募の詳細や申請様式などは、事業のウェブサイトで確認できる。オンラインで申請者説明会も開催される予定だが、詳細は後日発表される。
地域物流脱炭素化促進事業では、物流施設などにおいて、再生可能エネルギーである太陽光のほか、次世代エネルギーである水素・バイオマスなどを活用した先進的な取り組みを支援している。水素・バイオマスなどを活用した取り組みの公募については後日公表される。
参考・国土交通省-令和8年度「地域物流脱炭素化促進事業(再生可能エネルギー(太陽光))」(補助事業)の公募開始 ~再生可能エネルギーである太陽光を活用した先進的な取組を支援します~
・パシフィックコンサルタンツ ― 令和8年度 地域物流脱炭素化促進事業 公募サイト
記事内容へ
2026年4月8日
日本板硝子(東京都港区)は4月3日、使用済太陽光発電パネルのカバーガラスを原料としてフロート板ガラスを製造する水平リサイクルの実証実験に成功したと発表した。
トクヤマ(同・千代田区)が、独自の技術を用いて太陽光パネル用カバーガラスから分離処理した再生ガラスを原料として供給した。このトクヤマの技術と、日本板硝子の循環プロセスが実用化されることで、従来は廃棄されていたカバーガラスの有効活用が期待される。
太陽光パネル用カバーガラス(以下「カバーガラス」)は、モジュール性能を高めるための特殊なガラス組成であることに加え、耐久性確保のためにパネルに強固に接着されており、ガラス単体としての回収・再利用は長らく困難とされてきた。
今回使用した再生ガラス原料は、トクヤマの研究拠点「太陽光パネルリサイクル実証試験施設」(北海道南幌町)にて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した「太陽光パネル低温熱分解リサイクル技術」によって分離・抽出されたもの。
トクヤマの低温熱分解法は、太陽光パネルの構成部材を強固に結合させている樹脂を、触媒を添着させたセラミックフィルターの内部で完全熱分解させる化学的手法で完成させた技術で、ガラス、セル、インターコネクターを高精度に抽出することができる。この独自技術により、これまでは品質面で不可能とされていたカバーガラスの板ガラスへの水平リサイクルを可能とした。
日本板硝子は、より高品質なフロート板ガラス製造につなげるため、使用済太陽光パネルからカバーガラスを高効率に分離・抽出する技術を有するトクヤマをパートナーに選定し、その技術を活用した。
2月、千葉事業所(千葉県市原市)のフロート窯にて、トクヤマが供給したカバーガラスを原料に用いた製造実験を実施し、製品品質と製造プロセスへの影響評価を行った。
その結果、リサイクル原料として一定の条件下で問題なく使用できることが確認され、フロート板ガラス製造への水平リサイクルが可能であることを示す成果となった。
カバーガラスの水平リサイクルの実用化・普及は、廃棄パネルの原料部材の再資源化を通じ資源循環社会の構築に寄与する。さらに、珪砂・ソーダ灰などの天然資源採掘量の削減、カレット(再利用ガラス)の利用拡大による溶融窯の燃焼効率向上が期待され、フロート板ガラス製造工程でのCO2排出量低減にもつながる。
この取り組みは、2025年12月に一般社団法人板硝子協会が発表した「ガラス産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けたビジョン2025」で掲げられた「廃棄ガラスのリサイクルシステムの構築」を後押しするものとなる。
日本板硝子グループは、建築と自動車用ガラス、特殊ガラスなどの分野で事業を展開するガラスメーカー。建築用ガラス事業では、各種建築用ガラス、太陽電池パネル用ガラスなどを製造・販売している。今後も関係企業との連携を強化し、ガラス産業全体の脱炭素化と循環型社会の実現に向けて取り組んでいく。
化学メーカーのトクヤマは、廃石膏ボードや使用済み太陽光パネルのリサイクル技術を確立し、環境分野への事業展開も推進している。日立製作所(東京都千代田区)などと、太陽光パネルから板ガラスを回収、オフィス家具の部材に再利用する実証も実施している。
また、北海道を拠点に、使用済み太陽光パネルの資源循環を推進するため、企業連携組織「北海道コンソーシアム」を設立し、道内における再資源化ネットワークの構築を目指している。2030年代に到来するとされる太陽光パネル大量廃棄問題を解決するために、技術開発と高度リサイクル技術の普及を通じて、「埋め立てしない、100%再資源化」の実現に取り組んでいる。
同社は、「低温熱分解法による低コスト処理技術とシリコンリサイクルへ向けたセルの分離技術開発」が、次期NEDO助成事業として採択が決定している。この事業では、低温熱分解法を基軸として、2028年度までの3年間を目途に、さらなる低コスト処理技術と、従来課題であったセルからシリコンなどを抽出するマテリアルリサイクル技術について研究開発を進めていく。
国内では太陽光発電設備の大量導入から十数年が経過し、耐用年数の観点から2030年代後半以降に太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万t程度に達すると予想されている。これに伴い、素材ごとの適正な分離技術と循環利用のためのリサイクルプロセスの確立が求められている。
環境省は1月23日、2025年度補正「国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業」において、動静脈連携による太陽光パネル由来のガラスの水平リサイクル技術実証に参画する企業の公募を発表。中間処理事業者とガラスメーカーが連携して水平リサイクルを実現するための異物の高度選別技術などの開発を後押しする。
なお、政府は4月3日、社会全体のコストの抑制を図りつつ、太陽光パネルのリサイクルの処理体制を構築するため、太陽光パネルのリサイクルを義務付ける法律案を閣議決定している。
記事内容へ