2026年9月21日
自動車部品メーカーの愛三工業(愛知県大府市)と中部電力ミライズ(同・名古屋市)は9月1日、太陽光発電所を活用したオフサイト型バーチャルPPA(VPPA)に関する契約を締結したと発表した。
愛三工業は、契約期間である約7年間にわたり、合計で年間約723万kWh相当の再エネ電源由来の環境価値(非化石証書)を長期安定的に確保する。この取り組みによるCO2排出削減量は、年間約3,203tのCO2を見込む。
中部電力ミライズは同日、愛三工業に対し、太陽光発電所由来の環境価値を提供するオフサイト型バーチャルPPAサービスを開始した。太陽光発電所を活用した同サービスの提供は、中部電力ミライズとして初めて。
今回活用するのは、中部電力グループのシーテックが岐阜県と三重県に所有する3カ所の太陽光発電所。2013年10月から2014年2月にかけて運転を開始した既設の発電所で、合計発電出力は約6MWとなる。
この3発電所で発電した電気そのものを愛三工業に供給するのではなく、発電に伴う環境価値を非化石証書として中部電力が調達し、愛三工業の本社工場(愛知県大府市)に提供する。愛三工業は、この環境価値を活用して同工場のCO2排出量削減につなげる。
愛三工業は、太陽光発電所由来の環境価値を長期間活用することで、CO2排出量の削減を図るとともに、環境価値を長期間活用することで、発電事業者による再エネ設備の長期的な維持・活用と安定的な事業運営を支援するとともに、新たな再エネ電源の開発にもつなげる。
中部電力ミライズが活用する3カ所の太陽光発電所の詳細は、以下のとおり。
| 発電所名 | ソーラーパーク ひちそう |
ソーラーパーク かいづ |
レインボーソーラー すずか |
|
| 所在地 | 岐阜県加茂郡 | 岐阜県海津市 | 三重県鈴鹿市 | |
| 発電出力 | 1,417.75kW | 2,726.85kW | 1,875.09kW | |
| 想定発電量 | 約159万kWh/年 | 約331万kWh/年 | 約233万kWh/年 | |
| 合計約723万kWh/年) | ||||
| 運転開始日 | 2013年10月1日 | 2014年2月3日 | 2014年2月3日 | |
| PPAサービス | 契約期間 | 7年1カ月 | 7年5カ月 | 7年5カ月 |
| サービス開始日 | 2026年9月1日 | |||
| 供給場所 | 愛三工業 本社工場(愛知県大府市) | |||
3カ所の発電所とオフサイト型バーチャルPPAサービスの概要(出所:中部電力ミライズ)
愛三工業は、脱炭素化が世界的な潮流となる中、2025年2月に公表した中期経営計画において、持続可能な循環型社会の構築を重要な経営課題の一つとして位置付けた。この中で、2030年のグローバルでの再エネ使用率を55%とする目標を定めている。
この目標を達成するため、愛三工業は生産活動における温室効果ガス排出削減や再エネの利用拡大を重点施策として取り組んでおり、自社や海外生産拠点における工場の屋上やカーポートへ太陽光パネルを積極的に設置している。
これらの活動により、2025年度末時点の再エネ使用率は29%まで向上した。さらに、2026年4月からは本社と豊田工場において、中部電力ミライズが提供するCO2フリー電気を導入し、再エネ活用のさらなる拡大に取り組んでいる。
また、同社では、アンモニアから生成した水素を用いる発電技術の開発・実証を進めている。6月には、アンモニア・水素発電システムで発電した電力を同社工場へ供給する実証を開始し、実運用環境での検証に移行した。
一方、中部電力ミライズは5月、バイオマス発電を活用したオフサイト型バーチャルPPAにより、日本トムソン(東京都港区)とすかいらーくホールディングス(同・武蔵野市)への環境価値の提供を開始している。また、6月、豊田通商(愛知県豊田市)と協働し、トヨタグループの自動車部品メーカーが取引を行うサプライヤー12社に、風力発電所を活用したオフサイト型バーチャルPPAにより新たなCO2フリー電気メニューの提供を開始したことを発表した。
今回、太陽光発電所を活用したオフサイト型バーチャルPPAサービスの提供を開始し、より多様な再エネ電源由来の環境価値を供給できるようになった。
オフサイト型バーチャルPPAは、顧客の敷地外に設置した再エネ電源で発電された電気由来の環境価値のみを提供するサービスをいう。既存の電力契約をそのまま継続することができる。今回の取り組みでは、愛三工業は中部電力ミライズと電気需給契約を締結しているため、中部電力ミライズが主に化石電源や卸電力取引所などから調達した電気も愛三工業に供給する。
なお、今回の契約期間は約7年間で、一般的なPPAモデルでは20年程度の長期契約が主流の中、比較的短い契約期間となる。PPAでは契約期間を短く設定する動きもあり、例えばQ.ENESTホールディングス(東京都港区)は、サプライチェーンや中小企業向けに、1年単位で契約更新が可能な短期コーポレートPPAモデルを提供。同社は、長期契約への不安やリスクを抑え、脱炭素経営を始めやすくなる点をメリットとして挙げている。
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2026年9月20日
JA三井リースアセット(東京都中央区)は9月1日、浜田(大阪府高槻市)と、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルを一体で進める資源循環体制の構築に向け、業務提携契約を締結したと発表した。太陽光パネルリサイクル推進法への対応も見据える。
JA三井リースグループでは、太陽光発電設備のリースやPPAモデルなどを手がける。浜田は、使用済み太陽光発電パネルのガラスを水平リサイクルする技術を有する。今回の提携では、リース満了を迎えた太陽光パネルの資産価値を評価し、リユース可能なものは国内外で二次流通させる一方、リサイクルするパネルについては、カバーガラスを板ガラス原料として水平リサイクルする。回収から再流通・再資源化までのトレーサビリティ確保にも取り組む。
今回の業務提携は、使用済み太陽光パネルを「単なる廃棄物」ではなく「循環すべきアセット(資産)」と捉え、リユースの最大化と独自の技術による高度なリサイクル(再資源化)をシームレスに提供することを目的としている。浜田の最先端技術と、JA三井リースグループの知見を融合し、「アセットのロングライフ化」という思想に基づき、適正なリユース促進と、ガラスの水平リサイクルの同時実現を目指す。
具体的には、使用済み太陽光パネル分野の以下の領域において、JA三井リース(東京都中央区)を含めた3社で連携を進めていく。
・太陽光パネルリサイクル推進法および再資源化事業等高度化法に準拠した資源循環プロセスの確立
・リユース可能な太陽光パネルの国内外への二次流通促進
・カバーガラスの水平リサイクルの推進
・リース満了を迎える太陽光パネルの適正な資産評価と、トレーサビリティの明確な回収・供給スキームの確立
・JA三井リースグループのネットワークを活かした脱炭素経営や新法対応に注力する発電事業者への共同提案、および法規制対応セミナーの共同開催
2026年5月に、使用済み太陽光パネルのリサイクル・再資源化を促す新法「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律(太陽光パネルリサイクル推進法)」が国会にて可決・成立した。これにより、メガソーラーをはじめとする発電事業者に対し、使用済みパネルの適切な資源循環への取り組みや法規制順守が段階的に義務化されることとなった。
太陽光パネルの循環においては、パネル特有の高度な処理技術と精緻な資産評価が求められる。一方で、これまでは、使用済み太陽光パネルをリユースすべきか、リサイクルすべきかを正しく評価する環境は整っていなかった。
そこで、JA三井リースアセットと浜田は、業務提携により、サーキュラーエコノミーの推進と、顧客が抱える環境・法規制課題の解決に向けた取り組みを強化する。
産業廃棄物の分別処理やゼロエミッションリサイクルを手掛ける浜田は、使用済み太陽光発電パネルのガラスを水平リサイクルする事業について、資源循環社会の実現に向けた国の新制度「再資源化事業等高度化法」の高度分離・回収事業(類型2)において、国内第1号となる認定を取得している。
同社は、使用済み太陽光パネルのリサイクルでは、特許技術「ホットナイフ分離法」により、300℃に熱したナイフで、ガラスを割らずにセルとEVAシートを分離する技術を有している。これにより、リサイクル率90%以上を実現している。また、その後の二次処理として、残存樹脂を高精度に除去するウォータージェット工法を開発している。この開発は、環境省の実証事業にも採択されている。
2023年には、丸紅(東京都千代田区)と、使用済み太陽光パネルのリユースとリサイクル関連サービスを提供するリクシア(東京都千代田区)を設立。このプラットフォームでは、「リユース優先型」の資源循環モデルを構築している。太陽光パネル1枚ごとの履歴を管理し、トレーサビリティも確保することで、業界初の3年瑕疵保証を付帯させることも可能としている。
JA三井リースとJA三井リースアセットは6月に、再資源化サービスを手がけるリーテム(東京都千代田区)と業務提携契約を締結している。この業務提携は、リース満了物件のリユース・リサイクルを通じて、環境負荷の低減と資源の有効活用に向けた顧客課題の解決することを目的としている。リース満了物件の再資源化プロセスの高度化とオペレーションの効率化や、情報機器などの回収と安全なデータ消去による再利用支援、太陽光パネルをはじめとした物件のリサイクルとリユースの推進に取り組むこととしている。
持続可能な脱炭素社会の実現に向けて、サーキュラーエコノミーへの移行は企業にとって不可欠な経営課題となっている。日本では、2030年代後半以降に太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万t程度に達すると予想されている。これらをすべて埋立処分した場合には、最終処分場の残余容量を圧迫するため、リサイクルの推進が求められている。
そこで、太陽光パネルリサイクル推進法により、太陽光パネルの大量廃棄に備え、予算措置も活用しつつ、リサイクル費用の低減と全国的な処理体制の整備を図りながら、リサイクルの規制を段階的に強化していく。
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