2026年8月19日
NTTドコモ(東京都千代田区)は8月3日、石川県羽咋郡志賀町の商用基地局で、グリーン水素を用いる純水素燃料電池を非常用電源として活用する長期運用実証を開始したと発表した。
災害などによる長時間停電時の通信サービス継続性や、環境負荷の低減を検証し、将来的な他基地局への展開可能性を評価する。実証期間は2029年8月2日までの3年間。
非常用電源として燃料電池を搭載した商用基地局での実証は、NTTドコモとして全国2例目、北陸では初。
同社はこれまで、災害時にも通信サービスを継続できるよう、全国の基地局に蓄電池やメタノール型燃料電池などの非常用電源を配備してきた。一方、メタノール型燃料電池は発電時にCO2を排出するため、さらなる環境負荷低減が課題となっていた。
この課題に対応するため、同社は、蓄電池と水素燃料電池を併用する際に、水素燃料電池で発電した電力を基地局の無線装置へ優先的に供給する「出力電圧制御技術」を開発した。これにより、水素燃料を効率的に利用できるという。
今回使用するグリーン水素は、再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して製造するもの。純水素燃料電池は発電時にCO2を排出せず、水素を補給することで長時間の電力供給が可能だ。
今回開始された実証では、商用運用中の基地局に水素燃料電池を接続し、同電池の安定動作を確認する。あわせて、既設蓄電池との併用運転、商用電源の復旧に応じた水素燃料電池の出力停止、長期運用に必要な保守・メンテナンスの方法を検証する。
同社は2025年11月から、山梨県の商用基地局でグリーン水素を活用した純水素燃料電池の実証を進めている。今回はその成果を踏まえ、3年間にわたる長期運用へ移行する。
同実証の一部は、国が行う基地局の強靭化対策において、同社が総務省から受託し実施する「携帯電話等基地局の強靭化対策に関する調査・実証」のうち「水素燃料電池等を活用した基地局強靭化対策に係る課題の検証」として行われるもの。
また、石川県が創造的復興プランに掲げる「強くしなやかで使いやすく、経済・社会・環境の面からサステナブルで新たな価値を創造するインフラの実現」に資する取り組みとして、災害に強く環境負荷の少ないインフラの実現にもつなげる。
通信各社では、基地局の環境負荷低減や、災害対応力を強化する取り組みが広がっている。
ドコモと北海道電力は2月2日、北海道内の携帯電話基地局に設置された災害対策用のバックアップ蓄電池を、平時にはデマンドレスポンス(DR)の調整力として活用する運用を開始した。停電時の通信サービス継続に備える非常用電源を、通常時には電力需給の安定化に役立てる取り組みで、遊休化しやすい基地局蓄電池の有効活用と収益化を図る。
また、ソフトバンク(東京都港区)は1月8日、通信インフラの脱炭素化および基地局の省電力化を図る取り組みの一環として、「太陽光・風力の再生可能エネルギー(再エネ)による自家発電型基地局の実証」と、「AI(人工知能)を活用して基地局のスリープ(Cell Sleep)を動的に制御するシステムの開発・導入」を、それぞれ開始したと発表した。同基地局を活用することで、基地局の使用電力について再エネ比率を高め、通信インフラの脱炭素化に向けたモデルを新たに構築する。災害時などでの活用を想定し、2026年度以降に一部地域への拡大を検討すると発表した。
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2026年8月18日
AGC(東京都千代田区)とそのグループ会社のAGC硝子建材(同・台東区)およびノザワ(兵庫県神戸市)の3社は7月30日、鉄骨造建物の壁面へ太陽光発電パネルを垂直設置する専用工法「アスロックレールファスナー太陽光発電パネル設置工法」の本格販売を開始すると発表した。鉄骨造建物の壁面に太陽光発電パネルを垂直設置する工法としては、国内初の本格販売となる。
政府は2030年までに太陽光発電の導入量100GW以上を目標に掲げる。一方、設置場所の確保が課題となっており、商業施設や工場、倉庫、データセンターなど非住宅建築物への導入拡大が期待されている。
こうした状況を踏まえ、3社は2022年に開発した外壁向け設置工法について、実案件で施工性や運用面を検証するとともに受注体制を整備。今回、本格販売に踏み切った。
同工法では、壁材メーカーのノザワが持つ「アスロックレールファスナー技術」と、AGCグループの壁面向け太陽光発電設備の設置・施工ソリューション「SUNBRICK」を組み合わせたもの。押出成形セメント板(アスロック)に3社で特許出願する専用のファスニングシステム(固定方法)を採用することで、外壁を貫通・加工することなく太陽光発電パネルを取り付けることが可能になるという。
外壁と太陽光発電パネルを一体的に挙動させる構造とすることで、鉄骨造建物特有の外壁材の変位にも対応。地震時でも外壁本来の動きを妨げない設計とした。大地震を想定した層間変位角1/100rad(ラジアン)の動的変位試験では、パネルの破損や脱落がないことを確認している。
太陽光発電パネルは最新型を採用し、発電効率は従来製品「アスロックソーラーウォール」と比べて約50%向上した。標準仕様は、発電効率17%・18%・21%の3タイプ。
施工面では、アスロックに太陽光発電パネルを取り付けるためのファスナーを設置できるため、大がかりな鉄骨下地工事が不要となる。乾式工法採用により、パネル交換や高性能品への更新も可能だ。
設置スペースが限られる都市部や、積雪の影響により屋根設置が難しい降雪地域向けに販売を進める。
SUNBRICKは、AGCグループが提供する壁面向け太陽光発電設備の設置ソリューションで、強度や安全性、施工性、意匠性に配慮した設計・施工が特徴。2025年には、環境省の「窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業」の補助対象にも選定されている。
3社は、商業施設や工場、物流施設、データセンターなど非住宅建築物を中心に提案を進め、建築物での再エネ利用拡大を目指す。
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