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2026年8月15日

ペロブスカイト太陽電池の水上発電を実証 シリコンと比較、長野県ダム貯水池

パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)は7月28日、長野県内のダム貯水池において、ペロブスカイトを含む複数の太陽光モジュールを活用した水上太陽光発電設置の実証事業に着手すると発表した。

この実証事業では、大水深かつ大きな水位変動を有するダム貯水池において、水上太陽光発電の適用可能性を実証する。設計・施工・維持管理に関する技術的課題の解決を目指すともに、ペロブスカイト、薄膜シリコン、通常シリコンの適用性比較を行う。

 

水位変動対応型と撤去型フロートで実証

実証設備の設置イメージは、常時残置するケース(フレームタイプ)と、洪水時などの異常時に撤去するケース(いかだタイプ)を想定している。

フレームタイプでは、繊維強化プラスチック(FRP)製フレームと一体化した10m×10mのフロート上に、ペロブスカイト、薄膜シリコン、通常シリコンの太陽電池モジュールを設置する。フロートは、水位変動に対応できるようアジャスター式とする。いかだタイプでは、5m×5mのフロート上にペロブスカイトと薄膜シリコンの太陽電池モジュールを設置し、洪水時などにはリールを用いて引き上げ・撤去する。

同社は、この実証事業を通じて、ダムなどの水インフラ空間を活用した再エネ導入モデルの構築を目指す。この実証事業でダム貯水池への適用性が認められれば、全国の多目的ダムなどの内水面における再エネ導入の推進に加え、港湾などの未利用水面への応用も期待される。

実証設備設置イメージ図(出所:パシフィックコンサルタンツ)

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて再エネの導入拡大が求められる中、ダムや貯水池などの水インフラ空間における新たな活用が期待されている。また、薄くて軽くて曲がるという特長を持つペロブスカイト太陽電池は、太陽電池の設置場所を広げることができる次世代太陽電池として注目されている。

今回の実証事業は、環境省が実施する2026年度「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」に採択されている。パシフィックコンサルタンツは、社会インフラ分野で培った知見を活かし、水インフラ空間を活用した再エネ導入の可能性を検証する。

 

堤防方面の実証実験では安定した発電状況を確認

パシフィックコンサルタンツは、インフラ整備を担う立場から、道路や空港、港湾、浄水場などへの太陽光発電の導入をサポートしている。また、日本全国の堤防やダムの法面・貯水池水面など、さまざまな水インフラ施設へ太陽光発電の適用範囲を広げるため、導入手法の確立に向けた取り組みを進めている。

同社は、愛知県幸田町の菱池遊水地で実施していたペロブスカイトなどを使用した堤防法面太陽光発電設備の実証実験(2025年7月1日~2026年3月20日)を完了している。これは、環境省が実施する2025年度「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」、愛知県が推進する「矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト」の一環として実施したもの。

この実証実験では、ペロブスカイト太陽電池などと法面ブロックを一体化し、配線をブロック内部へ収納した製品を河川(遊水地)堤防法面に設置し、発電性能や維持管理性、防草効果などを検証した。その結果、堤防機能や維持管理への大きな支障なく太陽光発電が可能であることを確認している。発電電力量は事前のシミュレーションと同等の結果となり、堤防法面においても想定どおりの発電性能が得られたと報告している。

 

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2026年8月14日

ソーラーシェアリング「遮光率30%未満」の見直しを、実績整理し提言

自然エネルギー財団(東京都港区)は7月30日、農林水産省が検討を進める営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の「遮光率30%未満」とする規制案に対し、適切な設備設計や栽培方法によって遮光率30%以上でも作物の収量や品質を確保できるとする報告書を公表した。

国内外の研究成果や実証事例を整理し、遮光率のみを一律基準とする制度には課題があるとして、規制の見直しを提言している。

 

遮光率だけでは営農は判断できない

報告書では、太陽光発電パネルによる遮光が作物の生育に与える影響を整理し、遮光率の数値のみで営農の適否を判断することの限界を指摘している。これは、作物が必要とする日射量は品目や品種によって異なり、同じ遮光率でもパネルの配置や高さ、設備形式によって農地に届く日射量は変化するためだ。

また、日光は真上ではなく斜め方向から差し込む時間帯が長く、農地を真上から見た面積比である遮光率が30%であっても、実際に日光が遮られる割合はそれより小さくなる場合が多いという。

さらに、植物は日射量が増えるほど無制限に光合成が進むわけではなく、「光飽和点」を超えると光合成量は頭打ちになる。このため、作物に必要な日射量を確保しながら強い日差しを和らげることで、生育環境が改善する場合もあるとしている。

報告書では、遮光によって土壌水分の蒸発が抑えられ、乾燥ストレスや葉焼け、高温障害の軽減につながるほか、茶などでは品質向上に寄与するケースも列挙。中国で実施された研究では、遮光により45日間の累積蒸発量が約80mmから約50mmまで減少したという結果も示した。

 

遮光率30%超でも収量・品質を維持した事例を紹介
遮光率の異なる3区画:(上) 33%・(中)40%・(下)50%(出典:自然エネルギー財団)

同財団は、遮光率30%を超えても営農を継続している全国各地の事例を取り上げ、作物の特性に応じた設備設計や栽培管理によって収量や品質を維持できると説明している。

長野県で実施した水稲の実証では、遮光率40%でも対照区比83%の収量を確保し、農地一時転用許可の目安となる地域平均単収の8割以上を維持した。一方、遮光率50%では収量が64%まで低下しており、作物ごとに適した遮光率を見極めることが重要だとしている。

このほか、静岡県では遮光率40%で碾茶(抹茶原料)を栽培し、品質向上に活用。沖縄県では遮光率51%でコーヒーを栽培し、強い日射や風雨を抑えることで高品質な豆を生産。福島県では遮光率44%のエゴマ栽培で地域平均の約2倍となる10アール(a)当たり83kgを収穫。愛知県では遮光率50%でニラを栽培している事例を示した。

報告書では、作物の特性に合わせてパネルの高さや間隔、角度などを設計し、必要な日射量と農作業のための空間を確保することが重要だと指摘した。遮光環境で収量や品質を維持するには、土壌改良や施肥、水管理、品種選定など、栽培条件の調整も必要になると指摘。実務上の主な検討項目としては、以下を挙げている。

・パネルの配置間隔や傾斜角の最適化による、農地への均一な日射確保

・作物の光飽和点を考慮した品目選定と設備形式の整合

・遮光環境下での徒長を防ぐための施肥管理や水分調整

・農作業機械の旋回や高さを妨げない支柱配置の設計

 

30%未満でも生育不良が起こるケースも

報告書では、「遮光率30%未満」であっても生育不良が起こる場合が事例にも言及している。

茨城県で6年間実施された水稲の実証では、遮光率27%の設備でも平均23%の減収が確認された。低水温による生育の遅れや穂数の減少、品質低下などが要因と分析されており、「30%未満」であれば問題ないとはいえないことを示す結果となった。

こうした結果を踏まえ、農林水産省が検討する「遮光率30%未満」の基準を見直し、地域の気象条件や作物の特性、設備設計、栽培方法などを踏まえて、営農の適否を総合的に判断するよう求めた。あわせて、行政や農業委員会が保有する収量や品質、営農状況などの情報を地域・作物別に集約し、事業者の計画策定や農地転用許可の審査に活用できるデータベースを整備すべきだとした。

 

農水省が示す「望ましい営農型太陽光」

農水省は4月、有識者検討会で「望ましい営農型太陽光発電」の考え方を示した。案では、発電設備の遮光率を原則30%未満とすることに加え、設備の最低地上高をおおむね3m以上、支柱間隔をおおむね4m以上確保すること、栽培品目として米・麦・大豆など食料安全保障に資する作物を推奨すること、営農者が地域計画に位置付けられた担い手で年間50万円以上の販売実績を有することなどを盛り込んだ。

 

導入6000件超 実績データ共有で普及促進へ

規制強化検討の背景には、営農型太陽光発電の導入拡大と、一部で確認された営農上の課題がある。

営農型太陽光発電は、2013年3月に農林水産省が発出した通知により、農地の一時転用許可を受けて設置できるようになった。制度開始以降、導入件数は増加傾向にあり、2023年度末時点の累計新規許可件数は6,137件、対象となる下部農地面積は1,362haに達している。一方、農水省の調査では、全案件の約24%で単収減少や生育不良など営農上の支障が確認されていた。

 

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