2026年3月26日
パワーエックス(岡山県玉野市)は3月23日、系統用蓄電システムへの中長期的な需要拡大に対応するため、北海道苫小牧市に新工場を開設するとともに、本社工場に大型蓄電システムの製造ラインを増設すると発表した。
これに提携工場を加えた3拠点体制で、2030年に年間7.5GWhの製造体制を構築する。新工場の開設で複数拠点化によるレジリエンス強化と、北海道・東北エリアへの完成品の輸送コストの最適化を図る。
パワーエックスは現在、系統蓄電所や太陽光発電所への併設などの用途で活用される大型蓄電システムなどすべての製品を岡山県玉野市で製造している。日本における再生可能エネルギーの主力電源化が進む中、電力系統の需給安定化に貢献する蓄電システムへの需要は拡大が見込まれている。
こうした市場環境を踏まえ、同社は本社工場、北海道新工場、玉野市内の提携工場を合わせた3拠点体制で、蓄電システムの国内生産を強化する。これにより、3拠点合計の生産能力は2026年の1.2GWhから2030年には7.5GWhへ拡大し、6倍超の増強を見込む。
この体制において、本社工場はマザー工場として製造技術・品質管理の中核を担う。本社工場「Power Base」では、これまで中型蓄電システムと蓄電池型超急速EV充電システムの製造を行ってきたが、新たに大型蓄電システム「Mega Power 2500」(10 ftコンテナ型)の製造ラインを増設する。生産能力は年間800台(約2GWh)。2027年1月の製造開始を予定しており、総事業費は20億円を見込んでいる。
この製造ラインは、既存設備を活用して増設する。同社は、検討中の第二製造棟については2030年以降の稼働を想定している。
北海道苫小牧市の新工場「Power Base Hokkaido」では、2027年6月より大型蓄電システム「Mega Power 2500」(10ftコンテナ型)を製造する。生産能力は年間800台(約2GWh)。総事業費は30億円を見込んでいる。
新工場の敷地面積は25,073m2、延床面積は約8,200m2で、既存建屋5,705m2を改修する。所在地である苫小牧市は、苫小牧港や新千歳空港に隣接し、物流・人員移動の両面で優れた立地条件を備える。また、既存の工場建屋に改修を施すことで短期間での立ち上げが可能となった。建物と土地の取得に関する契約は3月23日付で締結している。
製造ラインは、稼働開始時は1ラインで立ち上げるが、最大2ラインまでの拡張が可能なレイアウトとしている。さらに、同社が開発を進めるコンテナデータセンターについても、混合生産の実施を検討する。
北海道は国内有数の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する一方、本格的な導入には蓄電システムをはじめとする調整力の確保が必要となる。
パワーエックスは新工場での蓄電システムの製造・供給を通じて、北海道における再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向けて、地元企業やパートナーとともに取り組んでいく。
パワーエックスは、⼤型蓄電池や量産型コンテナデータセンターの開発・販売を手がけている。蓄電池の普及と、電力の安定供給を支える技術を通じて、持続可能な未来の実現を目指している。
同社の蓄電システムは、ユーラスエナジーホールディングス(東京都千代田区)や大和ハウス工業(大阪府大阪市)の蓄電池所などで採用されている。また、ニシム電子工業(福岡県福岡市)、丸紅新電力(東京都千代田区)と太陽光併設型蓄電池・系統用蓄電池パッケージ商品の提供を開始している。
蓄電池を活用したコンテナデータセンターの量産に向けては、インターネットイニシアティブ(同)と協業している。
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2026年3月25日
東京ガス(東京都港区)と子会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES/同)は3月19日、強化学習AIを実装した熱源機器の最適制御AIを、「TAKANAWA GATEWAY CITY」(同)にエネルギー供給を担うエネルギーセンターへ導入したと発表した。
このAIでは自律的に最適運転ポイントを探索し、熱源機器を制御することで省エネを実現する。新設の地域冷暖房施設への導入は国内初となる。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、東日本旅客鉄道(JR東日本/東京都渋谷区)が主導する複合再開発プロジェクトで、3月28日に本格始動する。
今回、「熱源機器 最適制御AI(熱源AI)」を導入したエネルギーセンターは、TAKANAWA GATEWAY CITYをはじめ、近隣の再開発ビル等へのエネルギー供給を担う拠点でJR東日本グループのえきまちエナジークリエイト(えきまちエナ/同)が運営する。
同施設には、エネルギー供給を担う拠点として、国内最大級の蓄熱槽(20,500m3)と20,000冷凍t(家庭用エアコン約3.2万台分相当)の冷房能力を持つ冷熱源設備を備える。さらに、高度な中央監視装置を導入し、熱需要予測・熱源機器の運転計画立案と制御を行う。
熱源AIは、中央監視装置と連携し、この施設に設置された多種多様な熱源機器の特性を自律的に学習しながら熱源機器が最適に運転するポイントを探索する。これにより出力バランス調整と制御指令をきめ細かく行うことで、省CO2とエネルギーコストの削減に貢献する。
熱源AIは、東京ガス・TGESが「脱炭素」「最適化」「レジリエンス」を提供する事業ブランド「IGNITURE」のソリューションの一つで、東京ガスが特許を持つ。
熱源AIの取り組みは、東京都の2025年度「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」にも採択されている。都は、熱源AIがエネルギーセンターに導入されたことを受けて、GX関連の新たな技術・サービスが導入されたと報告している。
熱源AIは、東京ガスグループの業務提携先で、機械制御分野における先進的AI技術を有するエイシング(東京都港区)と共同開発したもの。熱源AIを構成する機器の設計と導入は、東京ガスとTGESが行った。また、熱源AIとシステムの基盤環境には、東京ガスが開発・販売を手掛ける、インフラ、工場・ビルの統合的な設備監視・制御とデータ収集を目的とした自動化システム「SCADAソフトウェア」の「JoyWatcherSuite」を活用している。
熱源AIについては、オフィスビルや商業施設(延床面積:約5~6万m2、冷却能力1,000~2,000RT規模)を対象として行った実証試験で、制御安定性と約5~6%の高い省エネ効果が確認されている。東京ガスは、熱源AIに実装するアルゴリズムとして、強化学習AIのみならず、より高い省エネ・省コスト性能を目指し、機械学習や数理最適化を活用した独自のアルゴリズム開発を進めている。
今後、今回の施設における取り組みを通じて培った実績・知見を元に、新設の大規模地冷のみならず、建物ごとに設置されるような比較的小規模かつ既設の熱源施設においても熱源AIの導入を推進する。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、「環境」「モビリティ」「ヘルスケア」の3つのテーマの下で国内最大級のまちづくりが進められてきた。
環境面では、CO2排出量「実質ゼロ」の環境先導型まちづくりを掲げ、小型物流拠点に集約した荷物をFCトラックを活用して街に配送する次世代型の物流やビルイン型バイオガス設備の実装などに取り組んでいる。
水素利活用のファーストトライアル(フェーズ1)では、再エネ由来の水素を用いたオフサイト型水素サプライチェーンを構築し、2025年3月から運用を開始したほか、エネルギーセンターにCO2回収装置を設置し、ガス機器の排気に含まれるCO2を回収、洗剤にアップサイクルし現地消費するサービスも開始した。
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