2026年8月3日
オムロン フィールドエンジニアリング(オムロンFE/東京都中央区)とE-Flow(大阪府大阪市)は7月22日、高圧太陽光発電所向け「FIP転ソリューション」において、需給調整市場での調整力取引を開始したことを明らかにした。FITからFIP制度へ移行した発電所に併設する蓄電池を活用し、一次調整力(オフライン)の取引を開始した。売電収益に加え、需給調整市場を活用した収益機会の拡大を図る。
第1号案件は、トーチインターナショナル(東京都港区)が所有する長崎県平戸市の「トーチインターナショナル長崎発電所」で、5月27日に運用が始まった。
両社が提供するFIP転ソリューションは、FITからFIPへの制度移行に伴う各種手続きに加え、発電計画の作成・提出やインバランス対応、蓄電池制御などを一体的に支援するサービス。発電事業者は制度対応や市場運用に関する専門的な業務負担を抑えながら、FIP制度への移行を進められる。
この取り組みでは、オムロンFEがリソースアグリゲータ(RA)として蓄電池の制御・運用を担い、E-Flowがアグリゲーションコーディネーター(AC)として需給調整市場への入札や取引を担当する。両社の役割分担により、需給調整市場での取引機能を追加したことで、売電と調整力提供を組み合わせた運用が可能となった。これにより、市場環境や電力需給に応じて蓄電池を柔軟に活用することで、設備の収益性向上が期待される。
オムロンFEは全国で太陽光発電設備のO&M(運転・保守)サービスを展開しており、設備の安定稼働と市場運用を組み合わせたサービスを提供できる点も強みとなる。一方、E-Flowは関西電力グループのアグリゲーション事業会社として、需給調整市場や卸電力市場での運用ノウハウを有しており、両社の連携によって発電事業者の市場参加を後押しする。
近年、FITの認定期間満了や市場連動型の売電への移行を背景に、高圧太陽光発電所ではFIP制度への転換が進んでいる。FIP制度では、市場価格に応じて売電収入が変動するため、高値の時間帯を狙った売電や蓄電池との組み合わせによる収益改善が期待できる一方、市場価格の変動リスクへの対応も求められる。
オムロンFEによると、一部の発電所では、発電設備が持つポテンシャルを十分に発揮できず、計画通りの脱炭素推進や収益も不安定となるケースが見られるという。
同社は今後、同ソリューションを通じて、現在工事着工中や電力申請手続き中の案件も含め、順次需給調整市場への参入を進める。あわせて、発電事業者の収益性向上に向け、サービスの進化・多様化を図る方針だ。
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2026年8月2日
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA/東京都港区)は7月21日、住宅用太陽光発電の普及拡大に向けた政策提言を公表した。
提言では、新築住宅に加え、既築住宅への太陽光発電の導入を拡大するため、(1)市場を把握する(2)住宅の改修や設備更新に合わせて導入する(3)設置可能な屋根を広げる(4)FIT後も太陽光発電の価値を評価できる市場を整備する、という4段階での制度整備を、一体的に進めるよう求めた。
JPEAは、住宅用太陽光発電の導普及拡大を、エネルギー安全保障、家庭のレジリエンス向上、地域経済の活性化、再エネの主力電源化を支える重要な政策課題と位置付けている。
一方、住宅ストックの大部分を占める既築住宅では、太陽光発電設備の導入が新築住宅に比べて大幅に遅れている。提言では、その要因として、導入目標や統計の不足、推進体制の不十分さ、既存改修との連動不足に加え、FIT後の余剰電力や環境価値、時間価値を適切に評価する市場環境が依然として発展途上にあることを挙げた。
こうした状況を踏まえ、今後の住宅用太陽光発電設備の普及拡大では、新築住宅だけでなく既築住宅を対象とした施策強化が不可欠も指摘。既築住宅への導入に向け、4項目から成る以下の政策提言を取りまとめた。
1.既築住宅の導入目標を策定し、新築・既築別、自己所有・PPAなどの導入形態別、FIT/FIP/非FIT別の導入量を把握できる仕組みを構築する。
2.省エネ改修、外装リフォーム、給湯器更新、耐震補強などの既存の住宅政策に、太陽光発電や蓄電池、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)などのエネルギーマネジメントを組み込む。
3.軽量モジュール支援を技術中立的に設計し、既存軽量モジュールによる当面の導入拡大と、将来の次世代太陽電池への移行を両立させる。
4.卒FIT後の余剰電力・環境価値・時間価値を評価する市場環境を整備し、FIT後も住宅所有者が長期的な導入判断を行いやすい市場環境を構築する。
4つの提言における具体的措置などの概要は以下の通り。
既築住宅市場への民間投資を喚起し、施策の予見可能性を高めるためには、データに基づく継続的な検証が不可欠となる。そこで、政策効果のPDCAサイクルを回すため、既存のFIT/FIP認定申請などのデータを有効活用し行政の事務負担を抑えつつ、住宅における新築・既築別、導入形態別の導入目標の策定、詳細な統計・推進体制を整備する。
具体的措置として以下を挙げた。
・既築住宅への太陽光導入量について、2030年、2035年、2040年を見据えた導入目標または管理指標を設定する。
・FIT/FIP認定申請などの既存手続きで求められる、建物属性や導入形態に関する項目を整理・公表する。
・FIT/FIP/非FIT別、新築/既築別、自己所有/PPA/リース別、蓄電池、エコキュート、EV、HEMSなどのエネルギーマネジメント機器の併設有無を把握できる統計項目を整備する。
・既築住宅太陽光について、所管省庁、自治体、送配電事業者、住宅関連団体、太陽光関連団体が連携する協議体または検討会を設置する。
既築住宅への導入を現実的に進めるため、「給湯器更新」「屋根・外装改修」「耐震補強」といった既存の住宅更新機会を捉え、これらに太陽光発電やエネルギーマネジメントシステム(HEMS・蓄電池など)の同時設置を標準的に組み込む、一体的な支援フレームを構築する。
具体的措置として以下を挙げた。
・屋根葺替え、屋根補修、外壁改修などの外装リフォーム時に太陽光発電を同時設置する場合、補助上限の引上げまたは加算を設ける。
・給湯器更新支援において、エコキュートなどの太陽光自家消費に資する機器と、太陽光発電、蓄電池、HEMSなどの住宅向けエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた導入を、給湯設備の種別による余剰電力活用率の差異も考慮した上で加算対象とする。
・耐震補強や屋根補強と太陽光発電設置を一体的に検討できる支援メニューを整備し、耐荷重確認、必要な補強、設置工事を同時に進められるようにする。
・既築住宅の省エネ改修支援において、太陽光発電の同時設置、または将来設置を見据えた屋根、配線、HEMSなどの住宅向けエネルギーマネジメントシステムへの対応を加点対象とする。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・薄型化によって設置可能な場所を広げる可能性があり、国産技術・産業基盤を育成する観点からも重要である。一方、既築住宅への導入には、セル技術だけでなく、軽量で安全なモジュール、施工方法、防水、耐久性、保証・保守までを含む実装基盤が必要となる。
そこで、将来の国産ペロブスカイト太陽電池の普及に向けて、既築住宅市場と販売・施工・保守の実装基盤を維持・拡大する。そのため、当面の支援制度は、特定の技術名に限定せず、重量、安全性、耐久性、施工性、保証・保守体制などの性能要件に基づき、既築住宅に安全に導入できる軽量モジュールを技術中立的に支援する。
具体的措置として以下を挙げた。
・補助対象は、特定技術名や特定技術に限定するのではなく、重量、安全性、耐久性、施工性、保証・保守体制 などの性能要件に基づいて定義する。
・国は、自治体補助においても性能要件型の制度設計が進むよう、既築住宅向け軽量モジュール支援の考え方や補助要件のモデルを示す。
卒FIT後の住宅用太陽光について、余剰電力、非化石価値・環境価値、需給ひっ迫時やピーク時間帯における時間価値を適切に評価し、住宅所有者がFIT終了後も長期的な導入判断を行いやすい市場環境を整備する。
具体的措置
・卒FIT後の住宅用太陽光の余剰電力について、アグリゲーターや小売電気事業者などが低圧リソースとして集約し、市場取引、相対取引、需給調整などに活用しやすい制度環境を整える。
・住宅用太陽光由来の非化石価値・環境価値を、企業・自治体などの需要家が活用できる形で証明・取引・移転しやすい仕組みを検討する。
・住宅用太陽光、蓄電池、EV、エコキュートなどの需要側リソースについて、DR、ピーク抑制、需給ひっ迫時対応などへの貢献をリソース種別ごとのDR可能量の差異も踏まえて評価できる制度設計を進める。
JPEAは、単なる経済効果にとどまらない多面的な価値を持つ住宅用太陽光について紹介している。住宅用太陽光は、需要地に近く系統の負荷も抑えながら既存空間を有効活用できるだけでなく、地震や台風、豪雨などの自然災害による停電時には、太陽光と蓄電池の組み合わせが非常用電源として機能し、「国土強靭化(防災・レジリエンス強化)」に直結する。また、個々の規模は小さいものの、全体としての潜在量は大きく、家庭のエネルギー消費と直接結び付いている。
蓄電池やエコキュート、EV、HEMSと組み合わせることで、日中の発電電力を家庭内で24時間効率的に活用できるようになり、電力ピーク時の需要抑制にも大きく貢献し得る。さらに、太陽光発電によるエネルギーの地産地消は、地域内での資金循環を生み出すだけでなく、地元の販売・施工・保守事業者に対する継続的な事業機会や雇用の創出にもつながる。
JPEAは、太陽光発電に関わるバリューチェーンにおける206の事業者や団体が加盟する普及団体(2026年7月9日現在)。国、自治体、住宅関連団体、送配電事業者、販売・施工事業者、アグリゲーター、リユース・リサイクル事業者などと連携し、住宅用太陽光発電の導入拡大と長期安定的な活用に向けた制度設計に協力している。あわせて、地域共生の促進や施工品質の向上、適切な維持管理、廃棄・リサイクルへの対応に加え、地域や需要家への情報提供など、太陽光発電をめぐる課題への対応を推進する。太陽光発電を取り巻く制度や事業環境についてレポートや提言も公表しており、たとえば、太陽光発電開発のあり方に関するガイド公開、発電コストとPPAの収益構造、需要家の選好などをまとめた「需要家主導による太陽光発電導入促進」に関する調査報告書の公開、太陽電池出荷統計などを公表している。
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