2026年6月10日
環境省は6月2日、太陽光発電事業を対象とする環境影響評価(環境アセスメント)の規模要件見直しに向け、「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令案」に関するパブリックコメントの募集を開始した。募集期間は7月1日まで。
今回の改正案は、近年各地で発生している大規模太陽光発電事業(メガソーラー)を巡る環境影響や地域とのトラブルへの対応強化を目的としたもの。環境省は、太陽光発電事業に対する環境アセスメントの対象規模を見直し、事業計画の早い段階から環境保全上の配慮を促す考えだ。
改正案では、太陽光発電事業に係る環境アセスメントの対象規模を引き下げる。現行制度では、出力4万kW以上の事業を環境影響評価が義務付けられる「第一種事業」、出力3万kW以上4万kW未満の事業を、個別にアセス実施の要否を判断する「第二種事業」としている。
これを見直し、第一種事業の対象を出力2万kW以上に拡大するとともに、第二種事業の対象を出力1万5000kW以上2万kW未満へ引き下げる。新設工事に加え、発電設備の新設を伴う変更工事も対象となる。
改正により、これまで環境影響評価法の対象外だった中規模の太陽光発電事業も新たにアセス手続きの対象となり、環境影響への配慮や地域との合意形成の促進を図る。
また、現行制度で第二種事業に該当し、改正後に第一種事業へ移行する案件については経過措置を設ける。施行前に既に環境影響評価法に基づく手続きを開始している場合は、施行後も引き続き第二種事業として手続きを進められるようになる。施行日は2027年4月1日を予定している。
環境アセスメントは、大規模な開発事業の実施前に環境への影響を調査・予測・評価し、その結果を事業計画に反映させる制度。太陽光発電事業については、出力4万kW以上の案件が環境影響評価法に基づく第一種事業、出力3万kW以上4万kW未満の案件が第二種事業として区分されている。
環境省はこれまで、有識者による検討会を設置し、太陽光発電事業に対する環境アセス制度のあり方について議論を進めてきた。検討会では、太陽光発電設備の大型化や開発地域の拡大に伴い、森林伐採や土砂災害リスクの増大、景観や生態系への影響などが課題として指摘されていた。
また、再エネ導入の拡大を進める一方で、地域住民の理解や合意形成を確保することが重要との認識も共有されている。こうした背景から、環境省は2025年末に公表した「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を踏まえ、環境アセスメント制度の見直しを進めており、今回の政令改正案はその具体化に当たる。
今回のパブリックコメントは、これまでの検討結果を踏まえた政令改正案について広く意見を募るもの。環境省は寄せられた意見を踏まえて必要な検討を行い、政令改正に向けた手続きが進められる見通しだ。
なお、太陽光発電事業の環境アセス対象規模見直しの具体的な内容や検討会での議論の詳細については、関連記事で詳報している。
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2026年6月9日
大日本ダイヤコンサルタント(東京都千代田区)は6月2日、新潟県妙高市役所にて、雪国環境下における次世代型太陽電池の有効性を検証する実証事業を開始したと発表した。
この事業は、新潟県の補助金を活用し、SOLABLE(同)と共同で実施。PXP(神奈川県相模原市)のフレキシブルな「カルコパイライト型太陽電池」を用いて、雪国における発電性能や災害時を見据えた運用体制を検証する。
PXPのカルコパイライト型太陽電池は、従来型太陽電池の1/10以下の軽さで、柔軟に曲がり曲面にもフィット、衝撃や振動に強く割れないなどの特長を持つ。従来型太陽電池の課題を克服した新技術の太陽電池として、国内でも実用化が期待されている。
今回の実証では、通常時は市役所コラボサロンのガラス面に設置し、通常時の発電性能検証、市民への普及啓発を行う。雪に影響されない「室内での設置効果」や、「雪面からの反射光」をどれだけ効率よく電気に変えられるかを詳細に検証する。
また、非常電源としての活用を想定し、各種イベント時や緊急時に屋外へ迅速に持ち出して利用するための簡易設置・運用手法を検証する。さらに市民へのPRとして、来庁者が次世代のクリーンエネルギーの利用を肌で感じられるよう、体感型の無料充電コーナーを提供する。これらの検証を通じて、実用化に向けたデータの蓄積と運用手順の確立を目指す。
総合建設コンサルタントの大日本ダイヤコンサルタントは、この実証を通じて次世代型太陽電池の導入に向けたFS(実現可能性)調査や事業化手法・導入手法に関する知見を得るとともに、事業協力者とともにPPA(電力販売契約)などの新たな事業を展開していく。また、これらの取り組みを通じて、地域の脱炭素化と防災力向上に貢献していく。
カルコパイライト型太陽電池は、耐荷重制限により導入できなかった古い工場や、カーポートの屋根などに設置することで、PPAビジネスの拡大にも寄与することが期待されている。
PXPの次世代太陽電池には、多くの企業が注目し、出資・業務提携している。東京センチュリー(東京都千代田区)は5月、PXPに追加出資し、製品の優先供給を見据えた業務提携契約を締結したことを発表している。PXPは、カルコパイライト型とペロブスカイト型を組み合わせたタンデム型太陽電池の開発で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業にも採択されている
SOLABLEグループでは、技術革新を通じた社会・環境課題の解決を目指して、森林事業の成長産業化に向けたフォレストソリューションや、テクノロジーソリューションを展開している。テクノロジーソリューションの1つとして、次世代太陽電池の開発・製造を行うPXPに出資、研究開発をサポートしている。
新潟県は、2050年までの脱炭素社会の実現に向けて、積雪地域における再エネの導入を推進している。しかし、積雪地域における太陽光発電の普及には、積雪による荷重や厳しい気象条件への対応が大きな課題となっている。
そこで、今回の実証で活用する新潟県の「次世代型太陽電池実証支援事業補助金」では、商用化されていない次世代型太陽電池を用いた、豪雪地帯での太陽電池の設置に関する課題解決に資する実証事業を支援している。
JFEエンジニアリング(東京都千代田区)など3社は5月、この補助金を活用して、カルコパイライト太陽電池を活用した自治体向け太陽光PPAサービスを開始したことを発表している。
また、新潟県は、この補助金について、2026年度の公募を6月30日まで実施している。補助率は1/2で、補助上限額は1500万円。2件程度に交付する予定。
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