2026年2月21日
日本材料技研(東京都中央区)は2月13日、同社が提案した「超軽量薄膜太陽電池に用いる電荷輸送層MXene(マキシン)の開発」が、東京都中小企業振興公社が実施する「宇宙製品等開発経費助成」に採択されたと発表した。人工衛星など宇宙用途向け次世代太陽電池を対象に、MXeneを活用した高耐久・高性能な電荷輸送層材料の開発を進める。
MXeneは、米ドレクセル大学で開発された二次元層状化合物。層状で異方性を持つナノシート構造を特徴とし、表面修飾による電子物性の制御や、インク化・塗布による低温成膜が可能なことから、宇宙用途向け薄膜太陽電池材料としての応用が期待される。
日本材料技研では、ナノシートが積層した多層MXene粉末や、ナノメートル(nm)スケールまで剥離したMXene水分散液のサンプル提供を行うほか、光電デバイスへの応用研究を進め、これまでに有機フォトダイオード型光センサの電子輸送層としての応用可能性を確認している。
同事業では、同社独自のMXeneに関する技術を基盤に、超軽量薄膜太陽電池向けのホール輸送層および電子輸送層材料の開発を行う。
プロジェクトには、東京大学大学院工学系研究科 横田 知之准教授も参画。実用化を見据えた産学連携体制の下、新規組成MXeneの開発や表面修飾技術の高度化、塗工インク化技術の確立に取り組む。宇宙用途に加え、将来的には民生用太陽電池や光デバイスへの展開も視野に入れる。
日本材料技研の発表によると、近年は人工衛星の打ち上げ数が急速に増加し、打ち上げコストの低減や搭載機器の軽量化が重要な課題だという。特に太陽電池は、衛星システム全体の重量の中でも大きな割合を占めることから、発電性能を維持しつつ軽量化を実現する技術が求められる。
東京大学 横田研究室が報告している超薄膜太陽電池は、従来型太陽電池と比べて単位重量当たりの発電量が大幅に高く、実用化されれば打ち上げコスト削減につながる可能性がある。一方、有機材料主体の構成では、宇宙線耐性や長期信頼性が課題とされている。
日本材料技研は今後、同事業を通じて人工衛星の打ち上げコスト低減と宇宙利用の高度化に貢献し、MXene材料の社会実装を加速させる。
記事内容へ
2026年2月20日
パワーエックス(東京都港区)とインターネットイニシアティブ(IIJ/同・千代田区)は2月13日、蓄電システムとコンテナデータセンターを活用した協業について覚書を締結したと発表した。
電力供給とデジタルインフラを融合する「ワット・ビット連携」の具体化に向け、 ユースケースや事業スキームの開発を進めていく。
パワーエックスは、コンテナデータセンター「Mega Power DC」を商品化し、2027年より同社の岡山工場で量産開始する予定だ。同製品は、同社が大型蓄電システムの開発や製造を手がける中で培ったパッケージング、直流電力制御、熱管理などの技術を活用し開発した。蓄電システムを搭載し、約1年程度の短納期で、新設にかかる費用も低コスト(一般のデータセンター比で25%削減)でデータセンターを開設できる。
設置は1台から可能で、都市部の事業所敷地内や駐車場、高架下などを有効活用したエッジ・オンサイトデータセンターの開設から、1ha程度の用地に125台以上設置することでハイパースケールデータセンターとしての展開も可能だ。
両社は、データセンターの開設時に課題となる電力・建設・計算資源確保という複雑に関連する要素を最適化し、電力(Watt)と情報通信(Bit)を効率運用する「ワット・ビット連携」の具体化に向け、以下について検討していく。
・蓄電システムの調整力と演算基盤を一体化したコンテナデータセンターの共同開発
・分散ネットワークを活用したデジタルインフラのユースケース
・蓄電システムによる電力活用スキームの開発
再エネ導入拡大による電力市場価格の変動に対応するため、安価な電力を蓄電しコンテナ内のサーバ機器に使用することや、余剰電力を需要が高い時間帯で蓄電システムから販売することなども検討していく。
IIJは2011年より、島根県松江市でコンテナ型のデータセンター「松江データセンターパーク」を開設し運用してきた。西日本におけるコロケーション/ハウジングサービスの拠点であり、自社サービスの設備拠点として運用している。最大受電容量は4MW、約16000m2の敷地にコンテナモジュール「IZmo(イズモ)」500ラックが稼働する。
同社が独自開発した「IZmo」は、ITモジュールと空調モジュール(直接外部冷却方式)で構成されており、大量のIT機器を効率よく収容できる。
今回の協業で、同社はこの自社データセンターを開発・運用するノウハウを基に、最適な技術要件の検討とコンテナデータセンターの開発支援を行う。
AI需要が高まるにつれ、GPUサーバなどの計算資源を運用する大規模な電力消費を伴うデータセンターの需要が増加している。こうしたハイパースケールデータセンターでの集中処理については、電力の確保、AIのデータ処理を運用する上での最適化などが課題とされる。
その一方で、コンテナデータセンターやエッジデータセンターでの分散処理や、地域電源との連携による安定した電力供給が注目され、データセンターの脱炭素化の推進なども期待されている。
こうした背景を踏まえ、パワーエックスとIIJは、大型蓄電システムとコンテナデータセンターの活用によって、AI社会を支える電力・デジタルインフラの構築・拡大を目指すこととした。
記事内容へ